電気自動車に訪れた停滞期…市場シェアは7％が上限？

Dünzl\ullstein bild via Getty Images

• 現在のEV市場の成長は｢維持できない｣とアナリストは述べている。

• アーリーアダプターから次へのシフトが大きな成長への痛みとなるという。

• 急成長するEVの市場シェアの上限は7％程度と考えられている。

急速な成長を続けてきた電気自動車（EV）市場は、踊り場を迎えようとしている。

何年もの間、EVは市場の1％強を占めるにすぎず、選択肢は限られており、普及も遅々として進まなかった。しかし、2020年以降、新モデルが続々と登場し、充電インフラが改善され、業界がEV購入の啓蒙活動を強化したことで、その成長は加速している。

JDパワー（JD Power）によると、アメリカでのEV販売台数は2022年、全自動車販売台数の約6％という記録を打ち立てたが、2023年はそれを上回る勢いで、6月だけで個人顧客への販売台数の約9％を占めている。

その成長に伴い、多くの野心的な目標も生まれていた。 テスラ（Tesla）は2023年に初めて200万台を生産することを目指しており、フォード（Ford）は2023年に60万台のEVを生産すると発表し、ゼネラルモーターズ（General Motors、GM）は同約15万台のEVを生産する計画を立てていた。

もっと知る

2023年に登場するクールな電気自動車8台【最新版】

しかし、一部のアナリストは、熱心なアーリーアダプターが不足しているため、このセグメントの停滞期が近づいていると述べている。 その最初の兆候は7月、フォードのディーラーがInsiderにマスタング・マッハE（Mustang Mach-E）の販売割り当てを拒否する必要があると語ったことだった （フォードはその後、需要の伸びの変化を反映してEV生産目標を調整した）。

｢ここ数年の壮大な成長は維持できない。不可能だ｣と、オートフォーキャスト・ソリューションズ（AutoForecast Solutions）のグローバル車両予測担当バイスプレジデント、サム・フィオラニ（Sam Fiorani）は述べている。

｢この成長曲線が進めば進むほど、次のレベルに到達するのは難しくなるだろう｣

EV市場の新たな｢ワイルドウェスト｣

EVを所有することや品質に関する問題に耐えうるアーリーアダプターから、より平均的で実用的な自動車購入者へとシフトするという業界にとっての次の大きな成長には、痛みを伴うことになるとアナリストは言う。EV購入者の新しい層が市場に参入してくる今後数年間の需要を予測することは、企業にとってほぼ不可能だろう。

フィオラニ氏は｢この業界は20年代以降、最も西部開拓時代に近い｣と言う。

EVへの参入障壁が低くなり、このセグメントには新たな競合他社が続々と参入しているため、新型EVは販売店での山積みになっている。6月、ディーラーの店頭には、ガソリン車の2倍のEVが並んでいた。

iSeeCarsの最近の調査によると、電気自動車の販売シェアが最も大きい州は、最も販売台数が伸びていない州でもある。カリフォルニア州、オレゴン州、ワシントン州は、EVの販売台数が市場の約7％から10％を占めているが、現在最も伸び悩んでいる州だ。

iSeeCarsのアナリスト、カール・ブラウアー（Karl Brauer）氏は｢いくつかの州では、市場シェア7％から10％の間には、自然な抵抗があるようだ｣と述べている。

｢それが上限のようで、それ以上に伸ばすのはかなり難しくなるだろう｣