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概要:1990年代以降、退職者は蓄えを枯渇させないよう「4%ルール」を遵守するよう推奨されてきました。これは、その後に広まったFIREムーブメントでも言及されます。しかし、最新調査では、この数字は現代の市場環境にそぐわないようです。
専門家は退職後の社会保障の加入を遅らせることを推奨している。
1990年代以降、退職者は蓄えを枯渇させないよう「4%ルール」を遵守するよう推奨されてきた。これは、その後に広まったFIREムーブメントでも言及されることが多いものだ。
しかし、新たな調査結果では、現代の不安定な市場環境において、退職基金からの引出率は3.3%にとどめた方が良いと示唆されている。
この件について、2人のマネーのプロにアドバイスを求めたところ、自分に合った引出プランの作成と公的年金の受給繰り下げが対応策として考えられるようだ。
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過去30年間、退職者は「4%ルール」を守り、退職基金からの引出率を4%未満に抑えるべきと推奨されてきた。4%ルールは1994年にファイナンシャル・アドバイザーのウィリアム・ベンゲン氏が考案したもので、退職者のポートフォリオは株式60%、債券40%をベースにしている。この数字は、その後に広まったFIREムーブメントでも言及されることが多いものだ。
しかし4%ルールが広く知られ渡った数年後に、その生みの親であるベンゲン氏でさえも、このルールがあまりに単純化されて使われていることに警鐘を鳴らし、退職者は毎年の資金ニーズを見直し、4%ルールが自分に合っているかどうか確認すべきだと述べている。
投資調査会社モーニングスター(Morningstar)が発表した新たな調査結果は、市場のボラティリティ(変動率)が高まっているため、退職基金からの毎年の引出率を3%に抑えることを推奨している。
例を挙げてみよう。退職基金が50万ドル(約7000万円)のとき4%ルールを採用すると、退職者は年間の生活費として2万ドル(約280万円)引き出せるが、引出率が3.3%になると引出額は1万6500ドル(約230万円)に下がる。
引出率の変更は、生活の質を劇的に変えてしまう恐れがある。そこで、ファイナンシャル・プランナーのジル・ジャノラ氏と、ハー・リタイアメント(Her Retirement)の共同創業者であるリン・トーミー氏に、資金を枯渇させないためにどのような対策を打てるか聞いてみた。
1.4%ルールはあくまで参考、自分だけの退職プランを
ジャノラ氏は共著『(仮訳)独身女性とお金:自分の収入で豊かに暮らす方法(Single Women and Money: How to Live Well on Your Income)』の中で、「自分だけの退職プランを立てる」というリタイアに向け重要なアドバイスを提供している。
ジャノラ氏はInsiderのインタビューにこう答えた。
「貯蓄や投資から4%以上引き出す必要があるかもしれない。あるいは、保守的で成長性の低い投資に固執すれば、毎年の引出額を減らさなければならないだろう。オンライン上で利用できる計算機能を使って、自分のニーズに合った引出率をはじいてみよう」
2.より保守的な支出プランを立てる必要があるかも
退職後かなり経ってから予想外の医療支出に直面するかもしれない。なので、退職してすぐは倹約生活に勤めることが大事だ。
トーミー氏は退職者に、退職前の所得の75~80%で生活する心構えを持つように伝えている。だが、前述のモーニングスターが推奨する新しい引出率(3.3%)になると、退職者はさらに支出を切り詰める必要があるだろう。トーミー氏が推奨する支出削減方法の1つが、小さな家に引っ越すことだ。
「退職者が自宅を60万ドル(約8400万円)で売却し、新たに30万ドル(約4200万円)の家を購入すれば、投資勘定の収入が簡単に増える。そうしたら、自動引出を設定すれば良い」
ジェノラ氏も物価の安い土地への移住や、不要な物やサービスの断捨離を推奨する。
3.公的年金の受給を遅らせる
公的年金の受給を可能な限り遅らせることができれば、人生の後半で使えるキャッシュ・フローが増える。
日本なら公的年金の受給開始年齢は65歳だが、最長75歳まで繰り下げられる。現在、老齢基礎年金を65歳から受給すると、満額で年79万5000円受け取れる(67歳以下の場合)。老齢基礎年金と老齢厚生年金は別々に繰り下げることが可能で、1カ月繰り下げると0.7%増加する。例えば、老齢基礎年金の受給を65歳から66歳に1年繰り下げると、0.7%×12カ月=8.4%年金が増加するので年間86万1780円になる。これを最長75歳まで繰り延べた場合、年金増加率は84%になるため受給額は146万2800円にまで増える。
トーミー氏は、公的年金の受給を繰り下げる場合は特に、毎年どの口座から退職基金を引き出すかを戦略的に決める必要があると言う。
「慣習的には、まず課税投資から資金を引き出し、その後個人退職勘定(IRA)のような非課税投資から資金を引き出すのが良い。1つの戦略としては、公的資金の受給を繰り下げながら、課税口座から引き出すというものだろう。もう1つは、ホームエクイティ・コンバージョン・モーゲージ(HECM)、別名リバース・モーゲージを借りる戦略だ。公的資金の受給を繰り下げながら、リバース・モーゲージで得た資金を、収入と支出の差を埋めるために非課税の資金源として活用するのだ」
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