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概要:日本の物価動向を判断する上で、今年8月以降のデータは要注目だ。日銀は2023年度の消費者物価指数(除く生鮮食品、コアCPI)の上昇率を2.5%と予想しているが、年度後半に上昇率が鈍化しなければ、3%台で着地する可能性が高まる。カギを握るのは、サービス価格、原油価格、賃上げ原資確保のための値上げの三つだ。3%の物価上昇が続けば、日銀の政策判断にも影響が出てくるだろう。
[東京 24日 ロイター] - 日本の物価動向を判断する上で、今年8月以降のデータは要注目だ。日銀は2023年度の消費者物価指数(除く生鮮食品、コアCPI)の上昇率を2.5%と予想しているが、年度後半に上昇率が鈍化しなければ、3%台で着地する可能性が高まる。カギを握るのは、サービス価格、原油価格、賃上げ原資確保のための値上げの三つだ。3%の物価上昇が続けば、日銀の政策判断にも影響が出てくるだろう。
日本の物価動向を判断する上で、今年8月以降のデータは要注目だ。
<増える外国人訪問客、日本のサービス価格押し上げ>
民間調査機関の予測によると、25日に発表される8月東京都区部CPIは、コアの中央値が前年比プラス2.9%となった。2%台に低下すれば昨年9月以来となるが、3%台を維持する可能性もある。
その動向を左右するのが、サービス価格の行方だ。7月東京都区部では6月の前年比1.5%から同1.9%に上がった。宿泊料が6月の同5.5%から7月に同16.2%へと大きく上がったことが影響した。
訪日外国人の増加が宿泊料の上昇に直結しており、この傾向は8月も継続するとみられ、サービス価格の上昇幅を拡大させる要因になる。それ以外でも7月の外食が同7.1%、通信・教養娯楽関連サービスが同6.0%と上がってきている。
中国からの団体旅行が8月に解禁され、訪日外国人の増加率はさらに高まることも予想されている。宿泊料は時間の経過とともに上昇幅が大きくなる可能性があり、サービス価格の上昇は当面、継続すると筆者は予想している。
<80ドル台の原油価格、年度後半のCPI減速に逆風>
また、ここにきて原油価格の下落が止まり、1バレル=80ドル前後での推移が続いていることも日本のCPI上昇率に影響しそうだ。中国経済の減速懸念で原油価格には下押し圧力がかかっているものの、サウジアラビアを筆頭にした産油国の減産意思が固く、当初の想定通りに原油価格が下がっていない。
もし、9月以降に80ドル台での推移が続けば、10月以降の前年比はプラスになる展開も予想され、足元で低下している輸入物価の基調を変化させ、国内企業物価の上昇率鈍化の基調を転換させる要素になる。
物価の上流での価格低下圧力が鈍化すれば、23年度後半にCPI上昇率が鈍化するという想定の大前提が崩れかねない。
<賃上げ原資としての値上げ>
さらに恒常的な賃上げを企業戦略に採用し、すでに2024年の賃上げ方針を表明している企業も複数ある。凸版印刷は27年まで4%の賃上げを実施すると公表し、AGCは24年以降も継続して賃上げする意向を示している。
人手不足を逆手に取り、手持ち資金が豊富な企業は高い賃上げを提示することによって優秀な人材を囲い込み、競争他社と差を付けようという戦略を練っているようだ。このことは、賃上げ原資の一部を値上げで補うという企業行動につながると筆者はみている。
デフレ時代において値上げに臆病だった企業は、原材料価格の上昇という外圧を受けてこの2年間で複数回の値上げを実施。売上高増と市場での高評価につながるという成功体験を得たからだ。
実際、帝国データバンクの調査によると、今年10月における食品の値上げは4262品目となり、23年の値上げは合計で3万品目を突破するという。
<日銀に物価見通し引き上げの余地>
足元の物価動向をチェックしてみると、7月CPIの中で生鮮食品とエネルギーを除いたコアコアCPIは前年比4.3%上昇、前月比0.4%上昇と勢いに衰えが見えない。コアCPIの前年比は3.1%だが、政府のガソリンや電気・ガス料金の支援策で0.99%ポイント押し下げらており、実態は4%上昇と言っていいだろう。
上記に示した理由で23年度後半にCPI上昇率の減速が見られない場合、23年度のコアCPI上昇が3%台で着地する可能性が高まるだろう。
したがって日銀はどこかの段階で23年度のコアCPI上昇率の見通しを2.5%から引き上げるのではないか。その際に24年度の見通しをどのように予想するのかが、今後の日銀の金融政策の展開を判断する上で極めて重要になる。
24年度の見通しが上振れそうだと日銀が判断した場合は、次のステップとして政策を修正することになるだろう。
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