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概要:17日の外為市場でドルは146円台へ上昇し、昨年9月に24年ぶりの円買い介入が行われた水準を上抜けた。市場では、介入への警戒感は増しているものの、昨年とは経済を取り巻く環境が変わったとして、介入ラインが150円付近まで切り上がったのではないか、との指摘が出ている。目先は神経質な取引の中、ドルの上値を探る動きが続きそうだ。
[東京 17日 ロイター] - 17日の外為市場でドルは146円台へ上昇し、昨年9月に24年ぶりの円買い介入が行われた水準を上抜けた。市場では、介入への警戒感は増しているものの、昨年とは経済を取り巻く環境が変わったとして、介入ラインが150円付近まで切り上がったのではないか、との指摘が出ている。目先は神経質な取引の中、ドルの上値を探る動きが続きそうだ。
8月17日、外為市場でドルは146円台へ上昇し、昨年9月に24年ぶりの円買い介入が行われた水準を上抜けた。
<「第1次円安防衛ライン」決壊、短期筋の誤算>
政府・日銀が昨年、ドル売り/円買い介入を初めて実施した9月22日の高値は145.90円。市場ではこの水準を、政府・日銀が円安阻止に動く「第1次防衛ライン」と位置付ける形で警戒感が強まっていた。しかし、米金利上昇によるドル高が続き、市場が思い描いていた「警戒水域」はあっさりと破られた。
米10年債利回りは現在4.29%付近と、昨年10月以来10カ月ぶりの高水準へ到達した。「米国景気が想定以上の強さを見せており、9月利上げの可能性も完全には排除できない」(みずほリサーチ&テクノロジーズ総括・市場調査チームの東深澤武史氏)情勢となったことが、介入警戒を跳ねのけてドル高が進んだ原動力だという。
短期筋の間で、根拠の乏しい「防衛ライン」への過剰な期待が、裏目に出たことも影響した。ドルが140円台に乗せて以降、再介入による急速な円高進行を期待して、ドルの上値では「介入待ち」ともいえるドル売り/円買いを入れる動きが活発化した。
その結果「ドルの上値に(損失確定のドル買い戻し/円売り戻し注文を入れる)ストップロスが多数設定され、それを刈り取ろうとするドルの買い仕掛けが相次いだ」(FX会社幹部)ため、ドル高が加速した面もあったという。
さらに、急速なドル高に後れを取った実需の買いが、底堅さを支える役割を果たしている。「多くの輸入企業は、できれば140円近辺でドルを手当てしたかったが、あまり買えていない。どうしよう、といった感じで、むしろ追いかけて買わなければならない状況になりつつある」(都銀ディーラー)。
<第2次防衛ライン、予想は150円付近 状況変化で切り上げ>
145円付近で実弾介入に対する緊迫感が今一つ高まらなかった理由として、前回介入のあった昨秋と比べて、経済・金融環境が大きく変化していることが挙げられる。
ひとつは、米国の利上げサイクル終了が近く、「日米金利差がどんどん拡大していく可能性は低い」(三井住友銀行チーフ為替ストラテジストの鈴木浩史氏)との見立てが強まってきたことだ。年内あと1回の利上げはあっても、金融引き締めが進んでいた昨年と比べて、米金利の上昇余地はそこまで大きくないとの見方が優勢となってきた。
国内要因を見ても、輸入物価の落ち着きやインバウンド(訪日客)受け入れ再開の影響などが注目を集めている。22年9月の輸入物価(前年同月比)は48.5%増だったのに対し、23年7月は同14.1%減だった。三井住友DSアセットマネジメント・チーフマーケットストラテジストの市川雅浩氏は「輸入物価の上昇が落ち着き、円安に対する(当局の)懸念も昨年の介入時と比べると弱まっている」と指摘する。
実際、鈴木俊一財務相が15日の会見で円安に言及したものの、その内容は「6月末とそこまで大きく変わった発言ではなかった」(野村証券チーフ為替ストラテジストの後藤祐二朗氏)との受け止めが市場では優勢。足元の円安に対する当局の切迫感はそれほど強くないとの見方が、介入警戒感の後退につながっている。
16日に公表された7月25─26日の連邦公開市場委員会(FOMC)では、大半の参加者がインフレリスクに対する警戒感が高いと判明した上、追加の利上げについても言及された。一方、日銀は緩和姿勢を維持しており、「日米の金融政策のスタンスの違いで日米金利差があり、この状況が大きく変わらない限りは、ドル高が進みやすい。146円台に定着したら、次は147円トライが意識される」(IG証券・シニアマーケットアナリスト、石川順一氏)との見方も聞かれる。
野村証券の後藤氏は、次の介入警戒ラインとして150円近辺が意識されやすいと指摘する。足元では、再び原油価格が上昇基調にあり、商品市況高への警戒感が政治的な問題につながるリスクも考慮しなければならないという。「水準として意識されやすいのは150円付近だが、節目を超えるごとに毎回、毎回、当局の発言の強弱を見極めなければならない」と話している。
みずほリサーチ&テクノロジーズの東深澤氏は、昨年9月の円買い介入は、7月安値をつけた日から58日後に行われ、その間のドル/円の上昇率は8.2%だったと指摘。変動の「スピード」に焦点を当てて、足元の状況に当てはめると、「7月安値からみた150円付近から、8月安値からみた153円付近にかけてが、介入への緊張感が高まるラインということになる」と話した。
(浜田寛子、基太村真司 編集:橋本浩)
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