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概要:インドからシンガポールに至るアジア市場で、主にスタートアップ企業に融資する「プライベート・クレジット・ファンド」が台頭している。スタートアップ企業は株式資本市場の資金調達で、評価額が前回増資時に比べて急低下する「ダウン・ラウンド」の恐れが強まったため、調達手段をクレジット・ファンドに切り替えている格好だ。
[シンガポール 30日 ロイター] - インドからシンガポールに至るアジア市場で、主にスタートアップ企業に融資する「プライベート・クレジット・ファンド」が台頭している。スタートアップ企業は株式資本市場の資金調達で、評価額が前回増資時に比べて急低下する「ダウン・ラウンド」の恐れが強まったため、調達手段をクレジット・ファンドに切り替えている格好だ。
6月30日、インドからシンガポールに至るアジア市場で、主にスタートアップ企業に融資する「プライベート・クレジット・ファンド」が台頭している。写真は上海の株価ボード。2022年10月撮影(2023年 ロイター/Aly Song)
ロイターの計算では、今年上期にアジア市場で組成済み、もしくは組成を計画している新規プライベート・クレジット・ファンドは少なくとも25億ドルに上る。
アジアを対象とする同ファンドの組成は昨年、前年比76%増えて過去最高の112億ドルに達していた。業界団体グローバル・プライベート・キャピタル・アソシエーション(GPCA)によると、アジア全体を対象としたファンドとインド専門のファンド、双方がけん引役となった。
市場関係者は、今年下期に増加に弾みが付くと予想している。世界的に経済・市場環境が厳しいため、多くの投資家がスタートアップ企業による増資に背を向けるようになり、代わりにプライベート・クレジット・ファンドへの関心を高めそうだからだという。
関係者らによると、近く組成が予定されているのは、シンガポールのシータウンによる15億ドル規模のファンドや、モデュラス・オルタナティブズによる1億5000万ドルのインド専門ファンド、欧州の21イールドによる2億ドルの東南アジアファンドなどだ。
<米国に続く>
アジアに先立ち米国でもこうした傾向が強まっていた。相次ぐ地銀破綻を受けて銀行融資が絞られ、プライベート・クレジット・ファンドに新たなチャンスが生まれたからだ。
調査会社ピッチブックによると、北米では昨年、未公開企業による債務を通じた資金調達は1501億ドルと、2012年の492億ドルに比べて3倍に膨らんだ。アジア市場にも拡大余地がありそうだ。
多くのIT企業を顧客に持っていた米シリコンバレー銀行の破綻に伴ってITの資金調達市場に開いた穴を埋めようと、大手投資会社やプライベートエクイティ企業もプライベート・クレジット市場に進出している。
プレキンのアナリスト、ニコラス・マイロン氏は「IPO(新規株式公開)市場の凍結状態と、引き締め的な金融政策はしばらく続きそうなため、借り手にとってプライベート・クレジット・ファンドは今後も相対的に高い魅力を保つだろう」と述べた。
法律事務所ベーカー・マッケンジーのパートナー、ロバート・ライト氏は、アポロ、ブラックストーン、KKRなど、アジアを重視する大規模ファンドに国際投資家からの資金流入が続くことで、アジアのプライベート・クレジット市場は一段と興隆すると予想した。
これに対し、日本を除くアジア太平洋地域でのプライベートエクイティ(PE)案件は昨年来、下降軌道をたどり続けている。この結果、スタートアップ企業の評価額は急低下し、大型上場の望みは遠のいた。
リフィニティブのデータを見ると、PEを後ろ盾とした案件は上期に660億ドルと、前年同期比で21%減少した。
「ビジョン・ファンド」を運営するソフトバンク・インベストメント・アドバイザーズもプライベート・クレジット・ファンド導入の可能性を探っていると、ロイターが先月報じた。
アジアのスタートアップ企業は過去数年間、著名投資家がこぞって出資したことで評価額が高騰したが、今ではダウン・ラウンドの恐れに直面している。
法律事務所シドリー・オースティンのパートナー、パルシブ・リシ氏は「ダウン・ラウンドが起こると『烙印』を押されるため、創業者と投資家は代替的な資金調達手段に目を向けている」と話した。
ただ、プライベート・クレジット・ファンドなどを通じた資金調達も、コストが低いわけではない。融資は通常、担保付きで、変動金利ベースだ。
法律事務所デチャートのパートナー、シュー・カム・ブーン氏は、プライベート・クレジットには企業の経営方法などを巡る厳しいコベナンツ(特約事項)が付いているため、特定の成長段階の企業には向いていない場合もあると指摘した。
(Yantoultra Ngui記者)
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