ウォール街のインターン報酬急増、時給１万7000円も－人材獲得合戦

2023年6月28日 4:14 JST

米金融業界のインターン報酬中央値、前年比19％増－調査

ハイテク業界が人員削減する中、優秀な人材を呼び込む狙いも

ウォール街の金融機関で働くインターンの報酬が今年、増加している。

米金融業界では上位16社でインターン報酬の中央値が前年比19％増加したことが、報酬データを収集するサイト「Levels.fyi」の調査で明らかになった。同サイトは利用者が提出したデータを分析する。ヘッジファンドや自己勘定取引を手掛ける企業では伸びがさらに大きく、時給は29％増の111ドル（約１万6000円）と急増。40時間労働の週間では税引き前で4400ドルとなる。

シタデルとシタデル・セキュリティーズでは、インターンの報酬中央値が今年は約25％増の時給120ドル（約１万7300円）に跳ね上がった。月給にすると、週40時間の標準的なベースで１万9200ドル（税引き前）になる。当然ながら、こうした報酬増加は求職者の注意を引いている。資産家ケン・グリフィン氏率いる両社には、2023年のインターンシッププログラムに前年より65％余り多い６万9000件超の応募者があった。広報担当者が明らかにした。

シタデルの学生リクルーティング責任者、マット・ミトロ氏は「学生たちがキャリアの選択肢について一段の情報を得るにつれ、また当社のインターンシップは学習や成長、インパクトを提供する唯一無二の機会だとの認識が深まるにつれ、彼らはテクノロジーと金融が交差する分野でキャリアを開始するにはシタデルとシタデル・セキュリティーズが最善の場所だと判断している」とコメントした。

新卒者にウォール街回帰の流れ、人員削減のテクノロジー業界に見切り

大手銀行は今年のボーナスを減額し、雇用削減を続けているが、ウォール街の優秀な人材を巡っては多くの資金が動いている。テクノロジー業界の人員削減に多くの野心的な学生が幻滅を覚える中、こうした若者を呼び込もうとインターン報酬を増やしている金融機関がある。

インターンの報酬は職種や学歴、企業の種類などの要因によって異なり得る。バークレイズでは米国の夏季の投資銀行インターンに年率ベースで11万ドルを支給。シティグループは時給50ドル。バンク・オブ・アメリカ（ＢｏｆＡ）では全米の時給中央値は41ドルだが、夏季にニューヨークで働きたいインターンには46ドルを支払う。