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概要:[20日 ロイター] - ドル/円の上昇ペースが加速してきた。4月20日には129円台と20年ぶりの高値圏に達している。終わりのみえない円売りを警戒する声も日増しに強くなっており、130円を単なる通過点とみる向きも台頭しつつある。
[20日 ロイター] - ドル/円の上昇ペースが加速してきた。4月20日には129円台と20年ぶりの高値圏に達している。終わりのみえない円売りを警戒する声も日増しに強くなっており、130円を単なる通過点とみる向きも台頭しつつある。
<実は迫力を欠くドル高>
今後の動きを展望する上で、はじめに米ドルの動きからみておこう。年初来、大幅な金利上昇を受けて、ドルは多くの通貨に対して上昇している。米国でもインフレ傾向が強まっており、米連邦準備理事会(FRB)による利上げも加速する見通しだ。4月19日時点の国債利回りをみると、米国では2年物、10年物が年初に比べ、それぞれ186bps、143bpsも上昇しており、いずれも主要10通貨(注:1)の中で最大だ。
もっとも、対円で12%にもおよぶ年初来のドルの上昇率は、円を除く通貨に対しては平均して約2.4%にとどまっており、大幅な金利上昇の割に、ドル高の程度は限定的だ。先物市場における非商業部門のドルの持ち高をみても、買い越し額(ネット)は、1月4日をピークに縮小傾向をたどっている。
過去最大規模に迫る経常赤字が示唆する通り、ドルは既にかなり割高な水準に位置している。さらに、ニューヨーク連銀によるオーバーナイトリバースレポの取引状況をみても直近でドルは約1.7兆ドルもの余剰となっている。
以上を踏まえると、米国の金融政策によるイメージとは裏腹に、金利上昇に対するドル高の感応度はそれほど高くない。今後ともドル高の程度は控え目な程度にとどまるだろう。
<ドル/円上昇、推進役は円安>
このため、ドル/円上昇の主たる推進役は円安であり、今後のカギを握るのはその持続性となりそうだ。円安の主な背景は、インフレ期待の上昇に伴う実質金利の低下と日銀の金融緩和スタンスだ。
現在、日本にもインフレの波が押し寄せており、3月の企業物価指数は前年比プラス9.5%と42年ぶりの伸びを記録。2月の生鮮食品を除いた消費者物価指数(コアCPI)も前年比プラス0.6%まで上昇している。川下でのインフレは控え目だが、それでも携帯電話通信料の引き下げによる物価への押し下げ効果がはく落する4月以降、一気に2%程度への上昇が見込まれている。
これを受け、日本の10年物ブレークイーブン・インフレ率は0.9%台と7年ぶりの水準まで上昇(実質金利は低下)。実質金利と高い相関を保つ円相場への強力な下押し圧力になっていると考えられる。こうした中、日本でも長期金利に自然と上昇圧力が加わっているが、日銀の指し値オペによる金利上昇の封じ込めが、市場の円安期待を強めている。
これは市場からみると、明らかに政策のミスマッチと映るためだ。このようなすきを突いて、相場の限界を探るのは自然な市場参加者の心理であり、相場の特性でもある。インフレ高進と金利上昇の封じ込めが併存する限り、円安の流れはそう簡単に収束しそうになく、130円の上抜けは時間の問題となってきた。
<円売りの担い手は投機筋>
赤字に転じた日本の貿易収支も、円安の一因と指摘されている。しかし、新年度入りした直後に、輸入企業が採算を度外視してまで慌ててドル/円を買い上げていくことは、通常では考えにくい。
また、新年度入り後の日本勢による対外証券売買契約等の状況(週次・指定報告機関ベース)をみても、株式・投資ファンド持ち分、中長期債ともに大幅な処分超を記録している。このため、足元の円売りの主な担い手は投機筋と考えられる。
実際、先物市場における非商業部門の円の売り越し額(ネット)は3月中旬から急激に拡大しており、円安が加速した時期と整合的だ。このことは、こうしたポジションの巻き戻し(円の買い戻し)が起こった際の円高への調整幅が、相応の幅に達する可能性を示唆している。
特に、国際通貨基金(IMF)が公表する昨年末時点の購買力平価(ドル98.25円)と実勢とのかい離幅は3割を超えており、歴史的にみて足元のドル/円は、既にかなりのオーバーシュートの領域に達しているとみられる。
とは言え、政策のミスマッチが解消されない限り、根雪的な円の売り越し額が一掃されるとは考えにくい。本格的な相場の反転には、日銀の政策スタンスの明確な転換が必要だろう。
<日銀のスタンス変化あれば、円安ブレーキに>
その点、ここ最近になって急激な円安への懸念や批判の声が日本国内で強まっており、日銀が政策の再考を迫られる可能性がマーケット参加者の中で浮上している。日銀の黒田東彦総裁は18日、衆院決算行政監視委員会において、過度に急激な変動が不確実性の高まりを通じ、経済にマイナスに作用する可能性に言及した。
特にこれから夏の参院選に向け、インフレの抑制が政治的なテーマとなる可能性もあり、政治サイドから政策への注文が飛び込んでくるかも知れない。もっとも、生鮮食品とエネルギーを除いた日本の2月のコアコアCPIは、前年比マイナス1.0%といまだにデフレを脱していない。デフレ脱却まで日銀に強い金融緩和へのコミットを求めた政府と日銀の共同声明も残っており、日銀の緩和姿勢はそう簡単には揺るぎそうにない。
このことは、黒田総裁による「円安が経済全体としてはプラスという評価を変えたわけではない」との発言からも垣間見ることができる。市場では次なる節目として、2002年の高値である135円台が意識されているが、円安の収束が見通せない状況だ。
2015年6月にかけて円安が進んだ場面では、円の続落に懐疑的な見方を示した黒田総裁の国会答弁を受け、それまでの流れが変わった。ただ、当時は前年からの原油相場の急落や不安定な動きをみせ始めた新興国経済などを横目に、日本のインフレ期待がピークアウト。実質金利が上昇に転じており、円安に歯止めがかかるお膳立てが、もともとでき上がっていたと言える。
対照的に現在の状況は、世界的にインフレへの警戒が高まったままで、日本のインフレ期待のさらなる上昇や高止まりが見込まれる。このため、仮に日銀の政策スタンスに変化がみられた場合でも、円安に歯止めがかかるか疑念が残る。
注:1)主要10通貨は、米ドル、豪ドル、ニュージーランドドル、円、スイスフラン、ノルウェークローネ、スウェーデンクローナ、ユーロ、英ポンド、加ドル。ユーロは独、仏、イタリア、スペインの金利を名目GDP比に応じて加重平均した。
編集:田巻一彦
内田稔氏は、高千穂大学商学部准教授。慶應義塾大学卒業後、東京銀行(現・三菱UFJ銀行)入行。マーケット業務を歴任し、2012年から2022年まで外国為替のチーフアナリスト。22年4月から現職。J-money誌の東京外国為替市場調査では2013年より9年連続個人ランキング1位。国際公認投資アナリスト、証券アナリストジャーナル編集委員、公益財団法人国際通貨研究所客員研究員。
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