简体中文
繁體中文
English
Pусский
日本語
ภาษาไทย
Tiếng Việt
Bahasa Indonesia
Español
हिन्दी
Filippiiniläinen
Français
Deutsch
Português
Türkçe
한국어
العربية
概要:米国債市場は、ほぼ間違いなく世界で最も重要な市場だ。激動の時期における投資家の避難所であり、事実上全ての他の資産のベンチマークでもある。しかし、米政府の持続不可能な借り入れと米連邦準備制度の量的引き締め(QT)により市場に米国債があふれ、ストレスが高まっている。
米国債市場は、ほぼ間違いなく世界で最も重要な市場だ。激動の時期における投資家の避難所であり、事実上全ての他の資産のベンチマークでもある。しかし、米政府の持続不可能な借り入れと米連邦準備制度の量的引き締め(QT)により市場に米国債があふれ、ストレスが高まっている。
米国債市場が不安定要因にならないよう、米当局は早急に何らかの調整を行う必要がある。
米国債が人気な理由の一部は、概して流動性が極めて高い、つまり大きな価格変動を引き起こすことなく売買するのが容易なことだ。この特徴は、プライマリーディーラーと呼ばれる少数の大手銀行がいつでも取引に応じ、バランスシート上に大量の証券を保有していることに依存している部分がある。しかし近年、米国債の発行残高が膨大になり、自己資本規制が厳しくなったことで、ディーラーは従来の役割を果たせなくなっている。突然に取引が急増し、価格変動が大きくなった時には特にそうだ。
他の参加者もこれまで以上の役割を担うようになり、それが脆弱(ぜいじゃく)性に拍車をかけている。アルゴリズム取引会社が提供している流動性は幻影だ。わずか数マイクロ秒の間だけ証券を保有し、市場が機能するためにその存在が最も必要とされる不安定な相場では撤退する。
一方、ヘッジファンドは、米国債の現物市場と先物市場における価格のわずかな乖離(かいり)を利用しようと、膨大なレバレッジをかけている。「ベーシストレード」と呼ばれるこの取引は市場をより効率的にするが、不安定な時にはレバレッジに対する追加担保の請求にファンドが応じるために大量の米国債を売却しなければならなくなるという大きなリスクを伴う。このような強制的な売りは、ポジションの大きさと集中度を考えると、不安定化の要因となり得る。
ではどうすればいいのか。リスクを軽減する3つの方法があると思われる。
第1に、十分に拡大可能なバランスシートを持つ誰かが、本物の信頼できる流動性を提供しなければならない。この目的で、米連邦準備制度理事会(FRB)は米国債を担保に資金を貸し付ける常設のレポファシリティーを全ての米国債保有者が利用できるようにすべきだ。これによりヘッジファンドなどが大規模な売却をせずに、迅速に現金を調達できるようになる。
FRBは、このファシリティーが緊急の事態にのみ利用されることを確実にするよう、レポ市場で通常適用される金利よりも若干高い金利を課すのがいいだろう。より広範な市場参加者と直接対話する代わりに、プライマリーディーラーを代理人とし、銀行のバランスシートに負担をかけないようにすることができる。
第2に、米政府はすべての米国債取引が中央清算機関を通して行われることを義務付けるべきだ。これにより、より多くの参加者がお互いの信用力を心配することなく、直接取引を行うことが容易になる。また、複雑に絡み合った当事者間取引を中央清算機関へのより小さなネットエクスポージャーに統合することで、システム全体へのリスクを低減できる。
第3に、レバレッジを効かせた米国債ポジションに対する当初の担保要件を十分に高く設定し、ボラティリティー上昇時に積み増しが必要にならないようにする。こうすればヘッジファンドが過剰なレバレッジを活用する可能性は制限され、追加担保の要求増加が強制的な売りを促し、それがまた追加担保の要求増加につながる悪循環のリスクも軽減される。
この適切な水準は、規制当局がどの程度ディストレスの可能性を減らしたいかによるだろう。常設レポと中央清算機関に関する筆者の提言が採用されるなら、要件は恐らくそれほど厳しくならない。
理想的なのは、政府が財政規律を回復することで役割を果たすことだ。しかし残念ながら、議会が近いうちにそうすることはなさそうだ。債券市場の自警団が戻ってきて、建設的な対応を政治家に強いない限りは無理だろう。それだけに、問題が起こる前に市場の脆弱性に対処する必要がある。FRBの関与は、筆者が提案した他の改善策とともに、不安を落ち着かせ、市場がメルトダウンに陥るリスクを減らすはずだ。
(ニューヨーク連銀の前総裁、ウィリアム・ダドリー氏はブルームバーグ・オピニオンのコラムニストです。このコラムの内容は、必ずしも編集部やブルームバーグ・エル・ピー、オーナーらの意見を反映するものではありません)
免責事項:
このコンテンツの見解は筆者個人的な見解を示すものに過ぎず、当社の投資アドバイスではありません。当サイトは、記事情報の正確性、完全性、適時性を保証するものではなく、情報の使用または関連コンテンツにより生じた、いかなる損失に対しても責任は負いません。