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概要:米連邦公開市場委員会(FOMC)は、米長期債利回りの急上昇で追加利上げの必要性が低下しているとのシグナルを発した。ただ米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は、インフレ抑制に向け追加利上げの選択肢を残した。
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2023年11月2日 3:07 JST
金融状況はここ数カ月に顕著に引き締まった-パウエル議長
FF金利誘導目標は5.25-5.5%-政策決定は全会一致
米連邦公開市場委員会(FOMC)は、米長期債利回りの急上昇で追加利上げの必要性が低下しているとのシグナルを発した。ただ米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は、インフレ抑制に向け追加利上げの選択肢を残した。
パウエル議長は12月の次回FOMC会合で利上げを決定することはあり得ると示唆した一方、引き締め局面が終了した可能性も認めた。インフレ率を当局目標の2%に戻す上で金融政策が十分に景気抑制的かどうか、まだ判断に確信を持てないとも議長は述べた。
政策当局者の過半数がなお年内の追加利上げを見込んでいるのかとの質問に対し、議長は「われわれが答えを求めているのは『さらに引き上げるべきか』という問いだと言えよう」と答えた。
動画:パウエルFRB議長の記者会見(一部抜粋)
Source: Bloomberg
FOMCは10月31-11月1日に開催した定例会合で、前会合に続き主要政策金利を22年ぶり高水準で据え置くことを決定。一方、最近の米国債利回り上昇が経済とインフレに影響を与える可能性があると示唆した。フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジは5.25-5.5%。
FOMC声明:金融・与信の引き締まり、経済や物価に影響する可能性
会合後に発表された声明では、「家計と企業向けの金融・与信状況の引き締まりは、経済活動や雇用、インフレに影響を及ぼす公算が大きい」と記述。前回の声明では引き締まりに関して与信状況のみ触れていたが、今回は「金融」の文言を付け加えた。
動画:FOMC政策決定に関するブルームバーグTVのリポート
Source: Bloomberg
また「こうした影響の度合いは不確かなままだ。委員会は引き続き、インフレリスクに細心の注意を払っている」と前回声明の文言を繰り返した。
米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は会合終了後の記者会見で、金融状況は「複数ある要因の中でも特に長期債利回りの上昇により、ここ数カ月に顕著に引き締まった」と述べた。
パウエル議長はこれまでの利上げが経済活動とインフレに下向きの圧力をかけているとしつつ、引き締めの効果はまだ完全には感じられていないと指摘。
「不確実性とリスク、これまでの進展を考慮し、委員会は慎重に進んでいる」とし、「今後も会合ごとに判断を下していく」と語った。
さらに、経済成長が継続的に潜在成長率を上回っている兆候、ないし労働市場の引き締まりがもはや緩和していない兆候が新たに見られた場合、インフレに関する一層の進展にリスクが生じる可能性があり、追加利上げが正当化され得ると述べ、前回9月の発言を繰り返した。
全会一致
5.25-5.5%のFF金利誘導目標レンジは2001年以来の高水準。今回の政策決定は全会一致だった。
声明での文言変更は最小限にとどまった。表現が変わったのは経済の成長ペースに関する部分で、前回の「堅調な」から「力強い」に上方修正された。9月会合の後に発表された経済データの改善を反映した。
その上で、「インフレ率を時間とともに2%に戻すために適切となり得る追加的な政策引き締めの程度を決定する上で、委員会は金融政策の累積的な引き締めや、金融政策が経済活動とインフレに与える影響の遅効性、経済や金融の情勢を考慮する」と改めて記した。
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