【コラム】事業低迷のウォール街が高給用意、その理由とは－デービス

利上げ打ち止めを示唆した瞬間、業務は爆発的に増える－ゴーマン氏

モルガンＳやゴールドマン、人件費が収入上回って上昇－人材に需要

声高に言う人は少ないが、ディールメーキングと資本市場活動の大幅な回復が近いと考えている投資銀行幹部は多いようだ。大手米銀のアドバイザリー収入がここ数年で最も低迷する中、「レインメーカー」と呼ばれる敏腕投資銀バンカーを確保するための闘いが水面下で繰り広げられている。

モルガン・スタンレーのジェームズ・ゴーマン最高経営責任者（ＣＥＯ）は18日の７－９月（第３四半期）決算発表に際し、最も明確にこう語った。連邦準備制度が利下げを開始する必要はない。企業やプライベートエクイティー（ＰＥ、未公開株）投資会社は、買収提案や株式公開をする前に、金利がピークに達したことを知りたいだけなのだ。

ゴーマン氏は決算発表の電話会見で、「金融当局が利上げ打ち止めを示唆した瞬間、Ｍ＆Ａ（企業の合併・買収）や引き受けの業務は爆発的に増えるだろう。大量の活動が先送りされ積み上がっているからだ」と語った。数カ月内に退任する意向の同氏は「残念ながら、私はそれを楽しむまでここにはいない」と付け加えた。

同氏の楽観論は投資家を喜ばせることはできなかった。第３四半期の助言手数料収入はアナリスト予想を下回り、ウェルスマネジメント部門の収入はさらに大きく届かなかったため、同社株は18日に一時９％近く下落した。

それでも多くの中小アドバイザリー会社の行動には、今後に希望が持てる兆しが見られている。ジェフリーズ・ファイナンシャル・グループは、年末までにマネジングディレクターとも呼ばれるシニアバンカーの数を20％増やす予定だと16日の投資家向け説明会で明らかにした。ジェフリーズは過去２年間、同様の積極的な採用を行ってきた。

ＵＢＳグループのアナリスト、ブレナン・ホーケン氏によれば、エバコアやモーリス、ＰＪＴパートナーズ、そして今年まではラザードも、ここ数年活発に採用。積極的な採用は長期的には有益だが、短期的には収入に対する報酬の比率を上昇させ、株主への利益還元の低下を意味する可能性がある。

このような動きは、大手銀行の報酬引き上げに拍車を掛けるとともに高報酬の隠れみのにもなっている。モルガン・スタンレーは、期待される好景気に備え人員を確保したいため、今年に入ってから人件費が収入を上回るペースで上昇している。投資銀行およびトレーディング部門では、ゴールドマン・サックス・グループと同様、第３四半期に収入が減少したにもかかわらず報酬原資を増やした。

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その結果、両行の報酬比率は上昇し、2019年またはそれ以前以来の高水準を記録した。バンカーの報酬は業績に応じて支払われるものだが、市場全体があまりに低迷しているため、銀行はこれをある程度無視している。