名ばかりＡＩ企業への投資、「全力で避ける」とアート・ホーガン氏

現時点ではドットコム・ブームのような投機バブル起きていない

エヌビディアの独擅場、グーグルとマイクロソフトも主要プレーヤー

株式市場では人工知能（ＡＩ）に焦点を絞った銘柄が熱狂の渦を巻いている。マーケットのベテラン、アート・ホーガン氏はＡＩ産業と本当の意味で結びついていないのにブームに乗ろうとする企業には気をつけるよう、注意を促した。

Ｂ・ライリー・ウェルスのチーフ市場ストラテジストを務めるホーガン氏は、ブルームバーグのポッドキャスト「ホワット・ゴーズ・アップ」で、ＡＩ投資について見解を述べた。

名ばかりのＡＩ熱狂と本物のＡＩ投資をどう区別して考えているのかとの質問に対し、ホーガン氏はインターネット革命が騒がれた1995年から2000年にさかのぼり、社名に「ドット・コム」と付けただけの企業を含め853社が株式を公開した例を挙げて説明。現在のＡＩブームにおいて、そのような新興企業の新規株式公開（ＩＰＯ）が大量に起きていないことから、「投機バブルは起きていない」と指摘した。

その上で、投資家として早めに言っておきたいことが２つあるとホーガン氏。「確かにこれは新しい現象であり、エキサイティングだ。どこまでビッグになるのか分からない」と述べた上で、「エヌビディアが明らかなリーダーだ。今は独擅場だが、いずれ競争が始まる。しかし現時点でポートフォリオにいくらか入れておきたいとすれば、これが安全な投資先だ」と指摘。そして「ＡＩ戦略を直ちに実戦配備し開発する能力を持つハイパースケーラー」としてグーグルとマイクロソフトを挙げた。「この３社が明らかなプレーヤーだが、私ならゴールドラッシュの現場で実際に道具を売る企業をオーバーウエートとする。それが現時点ではエヌビディアだ」と述べた。

しかし最大の心配は「ＡＩに特化、あるいはＡＩ関連を自認する新興企業」の株式公開が大量に起こることであり、そうなれば「私は全力でそれらを避ける。これらの企業にはモデルが欠落している可能性が高いからだ」と述べた。熱狂の下でこうした企業の株価は公開価格を上回るだろうが、最終的には誰もが後悔するような事態に行き着くだろうと述べた。