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概要:[ロンドン 30日 ロイター] - 金融市場は9月の連邦公開市場委員会(FOMC)について、金融政策の変更がない「消化試合」と見なし、それより11月会合の利上げについて考えを巡らせているようだ。しかし9月会合時に発表される政策金利見通し(ドットプロット)は、引き締めサイクルの終了を見極める上で鍵を握る可能性がある。
[ロンドン 30日 ロイター] - 金融市場は9月の連邦公開市場委員会(FOMC)について、金融政策の変更がない「消化試合」と見なし、それより11月会合の利上げについて考えを巡らせているようだ。しかし9月会合時に発表される政策金利見通し(ドットプロット)は、引き締めサイクルの終了を見極める上で鍵を握る可能性がある。
金融市場は9月の米FOMCについて、金融政策の変更がない「消化試合」と見なし、それより11月会合の利上げについて考えを巡らせているようだ。しかし9月会合時に発表される政策金利見通し(ドットプロット)は、引き締めサイクルの終了を見極める上で鍵を握る可能性がある。写真は2008年3月、ワシントンのFRBで撮影(2023年 ロイター/Jason Reed)
米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は25日のジャクソンホール会議の講演で、けんもほろろにインフレ抑制の決意を繰り返した。講演では目立った政策修正が示唆されず、市場は今度こそ、インフレ退治にひたすら専念する議長の姿勢を得心したようだ。
米経済が7月に再加速したことで、市場は高金利が長期間続くことを再確認せざるを得なくなり、数週間にわたって動揺した。そうしてようやく、トレーダーはFRB当局者が6月以来唱え続けてきたこと、つまり「あと1回利上げがある」という考えを受け入れたようにみえる。
3月上旬のシリコン・バレー銀行破綻と地銀危機以降で初めて、金利先物市場は今週、10月31―11月1日のFOMCまでに政策金利が5.50─5.75%に引き上げられる可能性を60%織り込んだ。
このことは、「ターミナル金利」についてのFRBと市場の考え方が以前よりずっと一致してきたことを示している。
年初からの動きを振り返ると6週間を除くすべての期間で、ドットプロットの予想中央値が示す年末金利の方が、金利先物が示す数値より高かった。
<中央銀行とは闘うな>
市場の政策金利予想が低めだったのは、もちろん3月の銀行危機に惑わされた面がある。当時は多くの人が、FRBによる利上げの影響が1年遅れで表れ、銀行へのストレスを通じて信用に大きな打撃を与えていると考えていた。しかし信用創造が実際に急減速してもなお、インフレ率の低下や労働市場の持続的な逼迫、実質賃金の上昇が需要を押し上げている。
そのためアトランタ連銀が各種統計からリアルタイムで米国内総生産(GDP)の伸びを試算する「GDPナウ」は、先週時点で本四半期が実質5.9%ほどと、昨年1月以来の高水準に加速した。この間、FRBが計500ベーシスポイント(bp)以上の引き締めを行ったにもかかわらずだ。
印象深いのは、FRB当局者がこの春に市場が疑心暗鬼に陥っているときにも、年末の金利予測の中央値を引き下げることはなかったことだ。それどころか銀行危機が拡大する中で予想を0.5%幅引き上げて5.6%とした。変動しがちな金利先物よりもドットプロットの動きに注目した方が、その後数カ月の市場の展開や、この夏の債券や株式の低迷を見通す良い指針になっただろう。
投資家はFRBが経済統計をもう2、3カ月分見極めてから利上げを打ち止めにするかどうか判断すると見込んでいるため、金利先物は足元、追加利上げがあるとすれば9月19─20日の次回会合ではなく11月だと予想しているようだ。
しかし9月会合で公表されるドットプロットではFRBによる利上げ打ち止め見通しが示されそうなため、同会合が市場を大きく左右する可能性は残っている。
今年に入ってからのFRBの金利パス予想の正確さと、春までの景気回復力への信頼を考えれば、ドットプロットは市場に大きなパンチを見舞いそうだ。
ドットプロットの中央値がもう1回引き上げられれば、年内2回の利上げが示され、金利6%が突然視野に入る可能性がある。
そして今月の債券市場で「高金利の長期化」を巡る不安が渦巻いたことを考えると、2024年に政策金利が130bp低下して4.3%になるという現在の予想中央値も、低下幅が小さくなる方向へ大幅に修正されるかもしれない。
<偶然か、意図的か>
占い師のように先を見通すFRBに、ついに市場がひれ伏したのか。それともFRBは自分自身の行動をうまく予想しただけであり、実体経済が堅調なのは単にラッキーだったのか。
サンフランシスコ地区連銀の研究者であるアンドリュー・フォースター氏とジニア・マルティネス氏は先週、経済の底力とインフレの粘着性についての見方が大きく分かれるにつれ、FOMCメンバーの予想のばらつきが再び大きくなっていることを示した。2010年以降、こうした不一致は小さくなり、パンデミック中には無視できるほどだった。
今年の見通しだけでなく、1年後、2年後の見通しでも予想のばらつきは広がっている。
つまりFRBは見かけほど確信を持って先を見通してはいないということだ。
また経済の「ソフトランディング」を巡っては、懐疑的な見方が消えない。
JPモルガンのエコノミストによると、先進国全体で大規模かつ足並みをそろえた形で金融引き締めが行われた後で景気拡大が持続した歴史的前例はない。ただし、少なくともFRBだけが計2.5%ポイント利上げした後、米国が3年以上続けて成長した例は1960年以来3回ある。
米国がこの成功例を踏襲するには、企業は増益が鈍化しても雇用を維持し続け、FRBは最後の利上げから6カ月以内に緩和を行う態勢を整え(今のところその可能性は低いようだ)、供給サイドからも成長に新たな追い風が吹く必要があると、JPモルガンは結論付けている。
そうだとすれば、勝利の美酒に酔うのはまだ早い。
(筆者はロイターのコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)
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