「ドルに歴史が味方する９月」６年連続アウトパフォームする理由

「少なくとも当面は全ての要因がここからのドル上昇に有利に働く」

• 四半期末の買い、株価の下げで悪名高い10月を控えてリスク回避も

ドル強気派は９月に入ると歴史が味方に付く。この月は過去６年連続でドル相場が騰勢を強めた。

ブルームバーグ・ドル指数が2017年以降、毎年９月に上げているというだけでなく、９月の平均上昇率はこの間1.2％と、他の全ての月をアウトパフォームした。四半期末の買いに加え、株式相場が下げる月として悪名高い10月を控えて、安全な投資先への需要が一般に増加することも理由の一つとストラテジストらは指摘する。

クレディ・アグリコルＣＩＢのＧ10通貨調査＆戦略責任者バレンティン・マリノフ氏は「９月はドルにとって良い月になる傾向があり、リスク回避が顕在化しがちというのがよくある説明だが、これは利回りが高く、Ｇ10のセーフヘイブンキングである通貨の需要を高める」と分析する。

「ＶＩＸ指数のようなリスク回避指標の季節性分析もその結論を裏付けているようだ」と同氏は説明した。

Dollar Performs Well in September

Source: Bloomberg

タカ派色が比較的強い米連邦準備制度や高い米国債利回りなど、ドルを来月下支えする可能性がある2023年特有の多くのファンダメンタル要因が存在すると他のストラテジストも考えている。

ナショナルオーストラリア銀行の通貨ストラテジスト、ロドリゴ・カトリル氏も「少なくとも当面は全ての要因がここからのドル上昇に有利に働くと思われる」との見解を示す。

９月のドル高に備える市場のポジションを示すさらなる兆候がオプション取引からうかがえる。

ブルームバーグ・ドル指数に基づくリスクリバーサルでは、ドル下落に備えるヘッジに対し、ドル上昇に備えるプロテクションにプレミアムが上乗せされている。