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概要:外為市場で夏の風物詩だった「8月の円高」が消え去りつつある。今年も円安となる公算が大きく、夏の円高傾向が鮮明になった1998年以降、過去25年間でみると、初の4年連続の円安となる。貿易赤字の長期化などで円相場の構造変化が進んでいるためだが、こうした状況では、流れに逆らう円買い介入の難しさも浮き彫りになっている。
[東京 30日 ロイター] - 外為市場で夏の風物詩だった「8月の円高」が消え去りつつある。今年も円安となる公算が大きく、夏の円高傾向が鮮明になった1998年以降、過去25年間でみると、初の4年連続の円安となる。貿易赤字の長期化などで円相場の構造変化が進んでいるためだが、こうした状況では、流れに逆らう円買い介入の難しさも浮き彫りになっている。
8月30日、 外為市場で夏の風物詩だった「8月の円高」が消え去りつつある。写真は米ドル紙幣。3月撮影(2023年 ロイター/Dado Ruvic)
<今は昔「日本の夏、円高の夏」>
29日の海外市場で、ドルは147円前半と昨年11月以来9カ月ぶり高値を更新した。直後に発表された米経済指標が相次ぎ下振れたことで、145円後半へ一時急反落したが、きょうの東京では146円前半まで切り返した。月初の142円前半を大きく上回っている状況は変わらず、このまま月末を迎えれば、今年は8月月間で4円近い円安が進むこととなる。
8月は酷暑とともに、日本の輸出企業にとって厳しい円高が進む印象が強い。円高が続いた1998年以降、去年までの25年間をみると、円高が16回、円安は9回だった。
一方、変動相場制が始まった1973年までさかのぼると、円安は26回、円高が24回とほぼきっ抗しており、8月が特に円高に振れやすいという事実はない。
プラザ合意前後の80年代半ば、アジア通貨危機やイラク戦争と世界が揺れた05年にかけて8年連続で円高が進んだことなどが、「夏の円高」を印象付けたようだ。
<ファンダメンタルズに沿った円安>
73年以降、8月円安の最長記録は93年から97年までの5年間。当時は95年4月に主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議が為替の「変動を秩序ある形で反転させる」と明言し、後に「七夕介入」と呼ばれる日米協調介入が実施されるなど、各国当局が連携してドル安を是正した官製相場の色彩が濃厚だった。
それに対し、最近の円安は貿易赤字の長期化や対外直接投資の増加、各国との金利差拡大といった経済の実態、見通しに応じて発生しているのが特徴だ。
政府・日銀は昨年9月、3兆円弱の円買い介入を実施したが、円の下げに歯止めはかからなかった。SMBC日興証券の牧野潤一チーフエコノミストは「(昨秋の円買い)介入が失敗したのは、財務省がファンダメンタルズに反して、強引に円安を止めようとしたからだ」と断ずる。
<お盆の薄商いで貿易赤字が表面化>
そもそも、なぜ「夏は円高」だったのか。市場には諸説ある。1)休暇入りする投資家が資金を一時的に安全資産の米国債へ移すため、米金利が低下してドルが売られやすくなる、2)米国債の利払いで日本勢の間でまとまった円転需要が発生する、3)休業中の日本の輸出企業のドル売り注文を狙った仕掛けが入りやすい、といったものが代表的だ。
ただし、いずれの説にも否定的な見解が存在する。例えば「ドルで受け取った国債の利払い費をわざわざ円に替えることははほとんどなく、金利の高いドルのまま再投資に回ることが多い。円転の話は円金利が高かった時代のこと」(都銀ディーラー)という。
確かなのは、多くの参加者が休暇に入るため取引が減少して、値が振れやすくなることだ。普段は取引の過半を占める投機マネーの動きが鈍ることで、残された輸出入の決済や企業間の資本移動といった実需に関連した売買がむき出しとなり「円が抱える需給環境が顕在化しやすくなるのが盆休み」(みずほ銀行チーフマーケットエコノミストの唐鎌大輔氏)になる、というわけだ。
8月月間の貿易収支は、この10年間で2017年と20年を除く8回が赤字で、その前の10年間、02年以降は08年と11年、12年を除く7回が黒字だった。モノの移動と書類の決済、当局への報告、為替取引が必ずしも同時に行われるわけではないが、赤字になる年が増えると同時に、円安へ振れる機会が増えているのは間違いない。
<キャリートレード、15年ぶり高水準に接近>
市場では、マイナス金利政策を堅持する日本の円が、他の主要国通貨に対して売られやすい状況が続くとの見方が大勢。円キャリートレードの趨勢を示すとされる在日外銀の本支店勘定は、最新の6月時点で13兆円台と、昨年10月につけた15年ぶり高水準となる14兆円へ迫り、円売りが勢いづいてきた様子を示している。
6月に1年11カ月ぶりに小幅黒字へ転じた貿易収支は、7月には予想に反して再び赤字を計上した。原油先物価格も再び上昇し始めた。円は前回介入のあった150円付近へ向かって下落するとの予想が根強い。
牧野氏は、それでも政府・日銀がまだ介入に踏み切らないのは「ファンダメンタルズは円安方向にあり、介入しても効果が薄いと(当局が)考えているからかもしれない」とみる。大きな効果を狙うなら「米利上げ打ち止めが期待が高まり、ドルがピークアウトした時」だという。
(基太村真司 編集:橋本浩)
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