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概要:23日の米株式相場は反発。6月以来の大幅高となった。欧米の経済統計を受けて、リセッション(景気後退)を防ぐために利上げが停止されるとの観測が広がった。
円は上昇、対ドル144円台後半-米PMI統計でドル下落、国債上昇
原油は3日続落、約1カ月ぶり安値-金は3日続伸
23日の米株式相場は反発。6月以来の大幅高となった。欧米の経済統計を受けて、リセッション(景気後退)を防ぐために利上げが停止されるとの観測が広がった。
株式 | 終値 | 前営業日比 | 変化率 |
---|---|---|---|
S&P500種株価指数 | 4436.01 | 48.46 | 1.10% |
ダウ工業株30種平均 | 34472.98 | 184.15 | 0.54% |
ナスダック総合指数 | 13721.03 | 215.16 | 1.59% |
S&P500種株価指数はハイテク株が上昇を主導。引け後に発表されたエヌビディアの決算を受けて、ナスダック100指数に連動した規模2000億ドル(約28兆9500億円)の上場投資信託(ETF)は上昇。エヌビディアが示した売上高見通しは予想を上回った。
キャピタル・エコノミクスの欧州担当チーフエコノミスト、ジェニファー・マキューン氏は8月の米総合購買担当者指数(PMI)について「金融引き締めはサイクルのピークに達した、あるいは近いことが強く示唆された」と述べた。
住宅セクターからも懸念すべき兆候が示された。住宅ローン申請指数はほぼ30年ぶり低水準を記録。新築一戸建て住宅販売は約1年半ぶりの高水準となった。住宅ローン金利の急伸で中古住宅の在庫が極端に薄いことが背景にある。米労働統計局による年次ベンチマーク改定の速報値によれば、3月までの1年間の雇用者増は30万6000人下方修正されそうだ。一部のエコノミストが予想していたほど大幅な下方修正とはならなかった。
パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は25日、カンザスシティー連銀がワイオミング州ジャクソンホールで開く年次シンポジウムで講演する。政策金利の軌道について手がかりを得たい投資家の注目を集めている。
FOMC、22年ぶり高水準に金利引き上げ-追加利上げの可能性残す (3)
最近に至るまで進むべき道は明確だった。急ピッチのインフレを抑制するために利上げを続ければ良かった。だが、インフレ鈍化が続き、さらにどれだけの取り組みが必要かを巡って当局者間の意見が分かれる段階へと移ってきた。議長は今回の発言の場を利用して、追加利上げの是非を米金融当局がどのように判断し、利下げに転じる時期をどのように決定するかについて概略を示す可能性が高い。
個別銘柄ではコールズとアーバン・アウトフィッターズがいずれも決算が予想を上回り、株価は上昇。スポーツシューズ小売りのフットロッカーが急落。同社は通期の業績予想を下方修正。決算はウォール街の予想を下回った。
チャールズ・シュワブのセンチメント調査によると、トレーダーは米国株に対して強気な姿勢を強めている。今後3カ月については、44%が強気、35%が弱気となった。第2四半期は強気が32%、弱気が52%だった。
米国債
米国債相場も株式と同様に上昇。20年債の入札後も上昇を維持した。8月の米総合購買担当者指数(PMI)が芳しくなかったことを受けて、2年債利回りは5%を割り込んだ。
国債 | 直近値 | 前営業日比(bp) | 変化率 |
---|---|---|---|
米30年債利回り | 4.27% | -13.3 | -3.03% |
米10年債利回り | 4.19% | -13.0 | -3.01% |
米2年債利回り | 4.97% | -7.9 | -1.57% |
米東部時間 | 16時47分 |
ショートカバーも米国債相場上昇の一因とみられる。今週の市場で10年債利回りは一時上昇。9月の連邦公開市場委員会(FOMC)で金利が据え置かれたとしても、インフレ抑制のための高金利が長期にわたって続くとの見方から、2007年終盤以来の高水準に跳ね上がっていた。
エバコアISIのクリシュナ・グーハ副会長は「債券利回りが最近上昇したことで、住宅ローン金利と企業の借り入れコストが押し上げられ、株価下落につながったほか、ドルに上方向の圧力をかけている」と解説。「9月利上げの是非も含め、FOMCは向こう数カ月の会合で金融環境の引き締まりについて考えなくてはいけないだろう」と述べた。
外為
ドル指数は8月の米総合PMIを受けて下落。円は上昇し、1ドル=144円台後半。ユーロ圏民間部門の経済活動が8月に一段と縮小したことを受けて、欧州中央銀行(ECB)の利上げ停止観測が広がり、ユーロは一時大きく下げたが、後に上昇に転じた。
為替 | 直近値 | 前営業日比 | 変化率 |
---|---|---|---|
ブルームバーグ・ドル指数 | 1237.41 | -3.60 | -0.29% |
ドル/円 | ¥144.89 | -¥1.00 | -0.69% |
ユーロ/ドル | $1.0864 | $0.0018 | 0.17% |
米東部時間 | 16時47分 |
ノムラ・インターナショナルの通貨ストラテジスト、ジョーダン・ロチェスター氏はユーロ圏PMIについて、「それほどの驚きではなかったはずだ。結局のところ中国クレジット関連の衝撃に導かれている状況であり、対ドルでのユーロ相場がもっと大きく下げる可能性も示唆されている」と述べた。
原油
ニューヨーク原油先物相場は3日続落。制裁が科されている産油国イランとベネズエラに関して、米国との関係改善の兆しが見られることが材料視された。一方、米政府の在庫統計を受けて、この日の安値からは下げを縮めた。
ウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物は1バレル=79ドルを下回り、約1カ月ぶり安値で引けた。バイデン米政権は、ベネズエラが公正な選挙を行うことと引き換えに制裁を緩和することを目指し、同国と協議を進めている。一方、イランでは今月、確認された原油輸出が急増。米国による水面下での外交努力が功を奏し、イランへの圧力は後退しつつあるとみられる。
一方でこの日は政府の在庫統計が発表され、これが相場の下げ縮小につながった。統計では、需要減速の可能性を巡る懸念が広がる中でも供給が依然タイトな状況にあることが示された。米国の原油在庫は2022年12月以来の低水準に減少。米最大の原油貯蔵拠点であるオクラホマ州クッシングの在庫は21年10月以来の大幅な落ち込みとなった。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のWTI先物10月限は前日比75セント(0.9%)安の1バレル=78.89ドルで終了。ロンドンICEの北海ブレント10月限は82セント下げて83.21ドル。
金
金スポット相場は3日続伸。米国の企業活動を示す指数が縮小圏に近づいたことを受け、米国債利回りが大きく下げたことが背景にある。市場では政策金利の予想を見直す動きが広がった。
S&Pグローバルが発表した米国の製造業・サービス業を合わせた8月の総合PMI速報値は、6カ月ぶり低水準となった。製造業は縮小圏が続き、サービス業も低下した。これを受け、スワップ市場では米金融当局による追加引き締めの織り込み具合が後退した。
米総合PMI、8月の企業活動は辛うじて拡大圏-顧客需要が低迷
金市場は、堅調な米経済を受けて金融当局が政策金利を高水準で維持するかどうかに注目している。高金利継続は、利子を生まない金にとってマイナス要素となる。
金スポット相場はニューヨーク時間午後2時36分現在、前日比1%高の1オンス=1916.59ドル。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物12月限は22.10ドル上げて1948.10ドルで引けた。
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