简体中文
繁體中文
English
Pусский
日本語
ภาษาไทย
Tiếng Việt
Bahasa Indonesia
Español
हिन्दी
Filippiiniläinen
Français
Deutsch
Português
Türkçe
한국어
العربية
概要:バイオベンチャーのユーグレナが2023年12月期第2四半期決算を発表しました。計画通りの決算ですが、協議を進めているバイオ燃料商業プラントの計画の動向が気になるところです。下半期の最終投資判断に向けた動向が注目されます。
ユーグレナが開発する、バイオジェット燃料とバイオディーゼル燃料。
バイオベンチャーのユーグレナは今、2025年に持続可能な航空燃料(SAF)やバイオディーゼル燃料(HVO)といったバイオ燃料を製造する商業プラントの稼働を目指し、世界のエネルギー大手であるイタリアのエニ社、マレーシアのペトロナス社と協議を進めている。
8月17日に開かれた決算説明会では、その最新状況が見えてきた。
永田暁彦CEOは、
「3社間のジョイント・ベンチャー(JV)の仕組みが全て整理された状態でゴーサインを出す目標スケジュールが“年内”というところでございます」
と、もともと予定していた年内の最終投資判断に向け準備を進めていると、2023年12月期第2四半期決算説明会で語った。下半期、ユーグレナが長年研究開発に取り組んできたバイオ燃料事業に、大きなターニングポイントが訪れるかもしれない。
上半期の決算とともに、バイオ燃料事業の現状を確認していく。
主力のヘルスケア事業は堅調「役割が変わってきた」
ユーグレナは、決算説明会にさかのぼる8月14日に上半期の決算を発表。売上高は前年同期比5.7%増の228億円。営業損失は前年同期の14億2200万から約半減の7億6000万円だった。同社が独自に指標としている調整後EBITDAは、前年同期の22億2000万円から12億7200万円に減少した。
なお、通期の業績予想に対して売上高の進捗は51%と順調に推移。調整後EBITDAなど含めて、業績予想は据え置きとなった。
ユーグレナのヘルスケア事業の進捗。
永田CEOは、
「2Qのヘルスケア事業の売上高が、全チャネル1Q比で増加しているところが大きな進捗と思っています。全体の売り上げの70%以上を占めている通販ビジネス(直販)の定期購入者数も1年半振りに増加しています」
とヘルスケア事業は順調に進捗していると説明した。
2021年に連結子会社化した青汁で知られるキューサイを含むヘルスケア事業は、ユーグレナの売り上げを構成する主力事業だ。第2四半期は、キューサイの一部商品が流通チャネル(ドラッグストアなど)で好調だったことに加えて、直販の売り上げが伸びた。
「この1年間しんどかったのが、(顧客数が)減少するブランドの減少幅をなかなか止められなかったことが大きかった。増加ブランドで顧客を増やしても、減少ブランドが上回ってしまっていた」
永田CEOは、直販の定期購入者が減少していた実態をこう説明する。
化粧品ブランドの「one」や、飲料の「C COFFEE」など、定期購入者が減少していたブランドに対して、広告運用などを「経済合理性のある形」(永田CEO)で実行。定期購入者数は「減少傾向」から「横ばい」になった。
加えて、もともと定期購入者数が増加していたブランドに継続的に投資をした結果、全体として定期購入者数が増加に転じた。
下半期には、化粧品の新ブランドで好調な「NEcCO」など、伸びているブランドに引き続き広告投資を集中しながら、伸びが鈍いブランドの減少幅を抑える戦略を続けていく。また、グループ企業である広告運用会社・はこ社を通じたマーケティング支援や、キューサイの工場でのユーグレナブランド商品の委託製造など、グループ内での効率化によって収益性の改善を進めていく方針だ。
また、永田CEOは、バイオ燃料事業の商業フェーズが近づいてきたことから、ヘルスケア事業の役割が2015年頃と今では大きく変わってきたと話す。
「(2015年)当時は、エネルギービジネス(バイオ燃料事業)のゴール地点が遠かったこともあり、いかにヘルスケア事業を急拡大させるかがミッションでした。現在のヘルスケア事業は、しっかり利益を出し、安定した成長を目指す。そういう役割を果たしていくことがポイントになると考えています」(永田CEO)
バイオ燃料事業、年内に整理された状態に
ユーグレナは2025年の稼働を目指し、マレーシアでのバイオ燃料商業プラント建設に向けた協議を進めている。商業プラント計画が予定通りに進めば、2026年段階でユーグレナはバイオ燃料事業単独で500億円規模の売り上げが実現することになる。
現在は、冒頭で説明した通り2023年内の最終投資決定に向けて、イタリアのエニ社、マレーシアのペトロナス社とJV設立に向けた協議を進めている。条件面については当初の計画から変わりはない。
協議の詳細について話せることは限定的ではあるものの、永田CEOは、
「順調に計画通り進捗しています。
キャペックス、ファイナンスの仕方、さまざまな観点で、3社間のJVの仕組みが全て整理された状態でゴーサインを出す目標スケジュールが年内というところでございます」(永田代表)
ユーグレナはこれまで、商業プラントの建設計画を進めながら、商業化後の調達、販売インフラなどの仕組みづくりのためのテスト取引を続けてきた。この5月には、広島で開催されたG7(主要7カ国首脳会議)において、政府専用機、瀬戸内海汽船のチャーター高速船、広島電鉄のメディア用シャトルバスと、陸・空・海の全ての乗り物に、ユーグレナのバイオ燃料が搭載された。
こういった中で、第2四半期には「大口の取引」(永田CEO)が実行されたとして、バイオ燃料事業だけで過去最大となる約8億5000万円を超える売り上げも立った。
今後、商業プラントの稼働までのスケジュールの詳細が決まっていく中で、ユーグレナとしてはテスト取引の規模をさらに拡大していく方針だ(ただし、具体的な数値目標はない)。
永田CEOは、
「取引自体は増やしていく方針で組織づくりもしています。基本的に、拡大できる限り増やしていくことを目指しています。
今後より量が増えていけば、ロジスティクスについても一定の課題は出てくる可能性がありますので、そういう課題を先に潰しておくために、一定規模の事前取引を実行しようとしているところです」
なお、エニやペトロナスといったグローバル企業と協力するからといって、海外での販売を2社に任せるわけではない。ユーグレナ自身も海外を目指す。
具体的な海外での供給実績やパートナーに関するBusiness Insider Japanの質問に対し、永田CEOは「競争環境が非常に高まっているため、(グローバルで)誰が顧客、パートナーになっているのかは開示できない」としながら、グローバルでの原料調達や燃料供給に向けたトレーニング、テスト取引を広げていると語った。
2024年には、国際民間航空機関(ICAO)が定めたカーボン・オフセットの枠組み「CORSIA」が本格的にスタートする。これに伴い、世界でのSAFの需要はさらに高まっていくことが予想される。SAF製造時に合わせて生じるHVOの需要も、今後は飛躍的に拡大する見込みだ。
商業プラントの計画が確定する見込みの下半期は、ユーグレナにとって大きなターニングポイントになるのではないだろうか。
免責事項:
このコンテンツの見解は筆者個人的な見解を示すものに過ぎず、当社の投資アドバイスではありません。当サイトは、記事情報の正確性、完全性、適時性を保証するものではなく、情報の使用または関連コンテンツにより生じた、いかなる損失に対しても責任は負いません。