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概要:猛暑がもたらす総コストは、これまで知られていたよりも高額であることが新たな研究によって明らかになりつつあります。
2023年7月18日、イタリア・ローマのコロッセオに入るために待つ観光客たち。
2023年の猛暑は人々の健康と労働生産性に悪影響を及ぼしている。
猛暑の影響には経済的な損失が伴っており、研究者たちはその総額を把握し始めている。
研究によると、猛暑によって世界各国の経済は1993年から2013年の間に平均して推定16兆ドルを失ったという。
世界中を襲っている猛暑が経済に打撃を与えていることは疑いの余地がなく、危険な状況下で労働者は自宅にとどまるか、短時間勤務を余儀なくされており、企業は一時的に休業しているところもある。
しかしながら、この灼熱の気温の代償は、これまで理解されていたよりもはるかに甚大であることが新たな調査で明らかになり、その総額に注目が集まっている。
「多くの研究が、この極端な暑さが健康や死亡のリスクに与える影響だけでなく、農業や建設業などの特定の部門における労働生産性に与える影響を調べている」とアメリカのダートマス大学(Dartmouth College)で地理学を教えるジャスティン・マンキン(Justin Mankin)准教授はInsiderに話している。新たに入手可能になった経済データとより高度な気候モデルによって、猛暑が世界経済に与える影響を測定することが可能になった。
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マンキンが2022年に共同執筆した研究によると、1992年から2013年にかけて、気候危機の影響による猛暑に見舞われ、世界各国は平均で16兆ドル(約2277兆円)の損失があったと推定されることが明らかになった。猛暑による損失は熱帯の貧しい国では非常に大きく、1人当たりのGDPが最大6.7%減少している。一方、裕福な地域では1人当たりのGDPは1.5%の減少となっている。
特に豊かな国々が最大の汚染源であることが分かったため、この調査結果は、気候危機がもたらす不平等な負担を浮き彫りにしたとマンキンは述べている。低所得国の経済は農業が基盤であり、労働人口の大部分が屋外労働者で、エネルギーインフラがストレスに強くないため、猛暑やその他の災害に対してより弱い傾向がある。
この調査はまた、何もしていないことの代償も浮き彫りにしたとマンキンは補足している。
「猛暑による経済的コストは、気候変動による経済的コストのすべてを含んではいない」とマンキンは言う。
「つまり、我々の経済と我々の経済を介して確保される我々の幸福は、以前理解していたよりもはるかに気候に敏感であることを意味している」
特に、記録的な猛暑となった2023年の7月を生き抜いた我々は、この敏感さを証明するような見出しを世界中で目にした。
アメリカでは、酷暑時の労働生産性が低下するだけで、年間1000億ドル(約14兆3000億円)のコストがかかることが明らかになった。エイドリアン・アルシュト ロックフェラー財団レジリエンス・センター(Adrienne Arsht-Rockefeller Foundation Resilience Center)の調査によると、この数字は2030年までに倍増し、GDPの0.5%に達すると推定されるという。農作物の収穫量が減少し、人々の健康にも悪影響を及ぼすこともこのコストの増加に拍車をかけている。
テキサス州の州総生産は2023年、95億ドル(約1兆3523億円)の打撃を受ける可能性があり、これは成長率が0.47%低下することに相当する。
2023年は、イタリア、スペイン、ギリシャ、チュニジアなどの南ヨーロッパや北アフリカの国々も猛暑に見舞われている。CNNの報道によると、この暑さは観光業に打撃を与え、いくつかの都市では労働者が仕事を辞める事態になっているという。
欧州連合(EU)では1980年から2021年の間の異常気象によって600兆ドル(約8京5484兆円)以上の損失が出ており、その13%は熱波によるものだったとEU圏の環境機関が発表した。
これらの損失は最終的にはさらに大きくなる可能性があるとマンキンは話している。
「平均気温が上昇しているため、統計的にはさらに多くの場所で猛暑が発生することになる。今の猛暑の特異な点は、影響を受けている人口だ。この暑さは長く続き、さらに広い地域に広がっている」
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