简体中文
繁體中文
English
Pусский
日本語
ภาษาไทย
Tiếng Việt
Bahasa Indonesia
Español
हिन्दी
Filippiiniläinen
Français
Deutsch
Português
Türkçe
한국어
العربية
概要:三菱UFJ信託銀行の資産運用部チーフ・ファンドマネージャー、井上裕之氏は、日銀のイールドカーブ・コントロール(YCC)運用柔軟化について、事実上のYCC撤廃との見方を示したうえで、次の一手はマイナス金利の解除だと指摘した。
[東京 4日 ロイター] - 三菱UFJ信託銀行の資産運用部チーフ・ファンドマネージャー、井上裕之氏は、日銀のイールドカーブ・コントロール(YCC)運用柔軟化について、事実上のYCC撤廃との見方を示したうえで、次の一手はマイナス金利の解除だと指摘した。
8月4日、三菱UFJ信託銀行の資産運用部チーフ・ファンドマネージャー、井上裕之氏は、日銀のイールドカーブ・コントロール(YCC)運用柔軟化について、事実上のYCC撤廃との見方を示したうえで、次の一手はマイナス金利の解除だと指摘した。写真は2017年7月、都内で撮影(2023年 ロイター/Issei Kato)
円債市場に関しては、9月以降は日銀の決定会合が近付くたびに動意づき、長期金利は年度内に新たな上限の1.0%を試す可能性もあるとみている。
インタビューは2日夕方に実施した。主なやり取りは以下の通り。
──先週(7月28日)の日銀会合結果の受け止めは。
「当日未明に観測報道があったので、我々もYCCの修正があるかもしれないと考えて色々なパターンを想定して準備していたが、市場にとって反応しづらい結果だった」
「まずは展望リポートの物価見通しが注目だったが、前回見通しから上方修正されるかと思った24年度見通しが、むしろ下方修正されたので、『マイナス金利の解除』は相当、遠のいたことになる。これは売り材料とは言えない」
「一方、プラスマイナス0.5%は変えずに指し値オペの利回りを1.0%に修正したのは、事実上の『YCCの撤廃』だ。そうなれば10年金利も相応に上昇するかと思ったが、その日はほとんど売られず、市場の反応も金利上昇は0.55%程度。総裁会見を聞かないと何とも見極めがつかないと思った」
「昨年12月にYCC修正があって、もう一段の修正があるだろうとはずっと言われており、警戒されていたので、市場参加者に買いの余力が相応にあったのは事実。このため修正があれば材料出尽くしで動くはずが、28日の結果は中途半端で、実力ベースでは(金利の居どころが)どこなのか、もうちょっと真の姿を見極めないと動けないという状況だった」
「金利は0.5%から1.0%の間で市場に委ねるなどのコメントがあったが、総裁会見で注目したのは、10年金利の居どころに対する日銀のスタンス。基本はプラスマイナス0.5%だが、経済情勢によっては0.5%を超えていくのを認めるとのことで、会見はタカ派的との印象を受けた」
──今週の国債市場の動きについて。
「(週明け)31日は誰もが同じことを考えていたようで、米国債が買われたにもかかわらず、日本は結構売られて始まった。残存5─10年対象の臨時オペが3000億円入り、長期・短中期まではそれで金利上昇が落ち着いたのである程度効果はあったかもしれないが、金利上昇を止めるには足りない。目先は効くかもしれないが、本当に止める気があるのかなという感じ。超長期は臨時オペが入らず、金利上昇余地を試す状況で、イールドカーブのスティープ化が進んでいる」
「1日の10年債入札は少し流れた(弱い結果だった)。大きく流れたわけではないが、やはり市場も本当にこの程度で金利上昇が止まるのか、不安視している証左になったと思う。それで今まだ上昇余地を探っている段階」
「2日の全ゾーン対象に入った(通常)オペは、さすがに超長期は少しオファーが増額されると予想していたが、いずれも前回と同額だった。市場は最初はあまり反応しなかったが、姿勢として『市場に任せる』というのが徐々に浸透してきてじわじわ売られ、金利上昇余地を少しずつ試す展開になった」
──今後の相場展開をどう読むか。
「不透明感が強く、金利上昇がどこで止まるのか分からない状態で、手探りするように10年債入札を迎えた。結果が強ければこの水準で買っていいとの示唆になるかもしれないが、実際は微妙な結果で買い安心感は生まれず、オペも、日銀がどこかのゾーンのオファーを増やしていれば、日銀も止めに来ているのでここで買えると解釈されたかもしれないが(増額はなかった)」
「今週は(カーブが)ベアスティープ化する展開となっているが、買い安心感がない中で入札はたくさんある。毎回無難にこなせるかには不安があり、流れるケースも想定される。こういうことが今後しばらく続く可能性がある。日銀のオペもあるし、米金利や為替、補正予算など色々な材料をみながらになるだろう」
「ただ9月の日銀決定会合が近付いたら、今はまだ遠いとみている次の一手のマイナス金利解除は本当に無いのか?という話になると思う。仮に1%でもあり得るとの見方があれば、やはり買えないだろう。そうなると徐々に金利は切り上げていくのではないか。決定会合のある月には本当にボラティリティーが出るだろう。賃金や物価が変わってきて、ひょっとしてマイナス金利解除が近いのではないかとなれば、また動きはあると思う」
「マイナス金利解除のタイミングについては、当面ないとの見方が大勢だろう。ただ、今やっている多角的レビューが最短で終わる可能性がある来年4月や、レビュー終了を待たずに次の展望リポートがある10月会合という可能性についても、頭の体操くらいはしておきたい」
「金利は上昇余地を探り、一本調子ではないが(カーブは)ベアスティープ化しやすい展開が続くだろう。10年金利は年度末までに0.75─1.0%程度まで上昇する可能性があるとみている」
(インタビュアー:植竹知子 編集:橋本浩)
免責事項:
このコンテンツの見解は筆者個人的な見解を示すものに過ぎず、当社の投資アドバイスではありません。当サイトは、記事情報の正確性、完全性、適時性を保証するものではなく、情報の使用または関連コンテンツにより生じた、いかなる損失に対しても責任は負いません。