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概要:7月12日に発表された6月の米消費者物価指数(CPI)は前年比3.0%と、前月の同4.0%から大幅に鈍化。2021年3月以来約2年ぶりの小幅な伸びとなった。食品とエネルギーを除くコアCPIも同4.8%と、伸び率は前月の5.3%、市場予想の5.0%を下回った。これを受けてドル円は下落。14日には一時137円台前半を付ける場面もみられた。
[東京 20日] - 7月12日に発表された6月の米消費者物価指数(CPI)は前年比3.0%と、前月の同4.0%から大幅に鈍化。2021年3月以来約2年ぶりの小幅な伸びとなった。食品とエネルギーを除くコアCPIも同4.8%と、伸び率は前月の5.3%、市場予想の5.0%を下回った。これを受けてドル円は下落。14日には一時137円台前半を付ける場面もみられた。
7月12日に発表された6月の米消費者物価指数(CPI)は前年比3.0%と、前月の同4.0%から大幅に鈍化。
<昨年秋の逆CPIショック、1日で6円下落>
このことは、22年11月10日の「逆CPIショック」を彷彿とさせる。米連邦準備理事会(FRB)はインフレの加速を抑制するため、22年6月以降、7月、9月、11月と4会合連続で0.75%もの大幅な利上げを実施した。その後、11月10日に発表された10月の米CPIは、前年比7.7%(前月8.2%、市場予想7.9%)、コアが同6.3%(前月6.6%、市場予想6.5%)と、いずれも前月と市場予想を大きく下回った。FRBは同年3月から利上げを開始していたが、4月以降9月まで、ほぼ毎月(7月を除き)コアCPIは市場の事前予想を上回る結果が続いていた。
そのため、10月の結果が市場予想をハッキリと下回ったことは市場参加者にとってサプライズとなり、この日、米10年債利回りは4.1%から3.8%台まで急低下。ドル円も1ドル=146円台から140円台へと、たった1日で約6円下落したことは記憶に新しい。それまでは、「CPIショック」といえば、事前予想を上回ってインフレが加速し、これに伴うFRBによる大幅利上げへの警戒を意味していたが、10月については、逆方向のサプライズだったことから、この現象は「逆CPIショック」と呼ばれるようになった。
<ドル円の下落トレンド入り、インフレ鈍化の継続性カギ>
「逆CPIショック」があった22年11月以降、今年1月16日に付けた安値の127円23銭まで、ドル円は下落トレンドが続いた。これには、22年12月に公表された11月の米コアCPIが前月から鈍化し、2カ月連続で市場予想を下回ったため、市場の利上げ観測が大きく後退したことが背景にある。
今回も、ドル円がこのまま下落トレンドに入るかどうかは、6月に続き7月の米インフレが連続して鈍化するかどうかがカギとなりそうだ。そうなれば、昨年11月以降の相場同様、追加の利上げ観測の後退と利下げ観測の高まりとともに、ドル円は下落トレンドを描くことになりそうだ。
もっとも、6月の米CPIは依然として高止まりしているうえ、これを財とサービス価格に分解すると、サービス価格は前年比6.2%と高水準を維持している。これは、労働需給の逼迫が続くなか、賃金インフレが高止まりしていることが原因だ。したがって、今後発表される6月のJOLTS求人件数や7月の雇用統計で、労働需給の緩みが確認できるかどうかも、7月のCPI同様、これまで以上に重要になってくるだろう。
また、6月の米CPI減速をけん引した航空運賃は、FRBが目標とするPCEデフレーターの基礎統計ではなく、PCEデフレーターの算出に使われるPPIの旅客サービスはCPIほどには下がっていない。このため、PCEデフレーターで見ると6月のインフレはさほど抑制されていない可能性もある。さらに、ミシガン大学の調査による、消費者の5―10年先の長期期待インフレ率が、7月に前年比3.1%と、前月の3.0%から上昇していたことも気がかりだ。
<FRBのタカ派姿勢でドル一時反転も>
これらの点を総合的にみれば、FRBのインフレ警戒姿勢はまだ当面緩みそうにない。したがって、7月25、26日(現地時間)の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、0.25%の利上げが見込まれるとともに、パウエル議長の記者会見でのメッセージは、相当程度タカ派的なものになると予想している。連続利上げに対する市場の期待は先述のCPI減速で既に大きく後退しているため、FRBのタカ派姿勢がサプライズとなり、今一度ドルが上昇する可能性も視野に入れておきたい。
ドル円は200日移動平均線(137円10銭付近)を割らずに反発しており、テクニカル上はいったんの調整局面は終了したと思われる。7月のFOMCがタカ派的な内容となれば、ドル円は再びCPI発表前の142―143円付近まで戻りを試すかもしれない。しかし、本稿でこれまでも述べてきた通り、ドル円が145円を大きく超えて上昇トレンドに向かう可能性は低いように思われる。
<過剰貯蓄、どこまで消費を支えるか>
今年5月8日に、サンフランシスコ連銀がリリースした米国の「過剰貯蓄」に関する興味深い調査レポートがある(“The Rise and Fall of Pandemic Excess Savings”)。同レポートでは「過剰貯蓄」を、パンデミック前の家計貯蓄のトレンドと実際の貯蓄との差と定義づけ、過去の不況と比較して、パンデミック以降給付金などで、家計が前例のないレベルの過剰貯蓄を急速に積み上げたと指摘している。
同レポートによれば、この「過剰貯蓄」は21年8月のピーク時には2.1兆ドルに達し、同年12月にかけては月340億ドルのペースで取り崩され、22年を通して月々1000億ドルのペースへ加速。23年の1-3月期は月々850億ドルのペースで取り崩され、これが、これまでの米国の個人消費を支えてきたとしている。
ただ、今年5月時点でこの過剰貯蓄は5000億ドルまで減少しており、今後も同様のペースで取り崩されるとすれば、23年末には過剰貯蓄は底をつき、これまで米経済を支えてきた個人消費のエンジンも、そろそろ燃料切れとなる計算となる。もっとも、過剰貯蓄が今後同じペースで減少するかは不明なうえ、インフレの減速による実質所得の増加が、引き続き米国の個人消費を支える可能性もあるだろう。
<ドル円、年末予想130円で据え置き>
ソニーフィナンシャルグループはこれまで、今年10-12月期から米国経済が浅い景気後退に入ると予想してきた。背景としては、FRBの急速な利上げに伴い米国の逆イールドが長期にわたり続くなか、米銀の貸出態度が急速に厳格化していること、また、貸出態度の厳格化は12カ月ほどのタイムラグをもって、実際の貸出の悪化につながる傾向があり、今年秋頃には実際の貸出の伸びが前年比でマイナスに陥る公算が大きい点が挙げられる。
銀行が貸し出しに対して消極的になれば、企業や個人にとっては借り入れコストの上昇につながり、景気に悪影響を及ぼす。それでも前述した過剰貯蓄は暫く米国の個人消費を支えるとみられるため、場合によっては景気後退のタイミングが1四半期程度後ズレする可能性はあるかもしれない。しかし、これもいずれ底を尽きるとなれば、遅かれ早かれ米国経済は今後悪化し、日米実質金利差の縮小に伴って、ドル円が年末にかけて下落するとの当社の予想は不変である。したがって、ドル円の年末予想値も130円で今のところ据え置いている。
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