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概要:楽天グループの三木谷浩史社長が横浜で来月開くビジネスカンファレンス「楽天オプティミズム」に登壇する。同社が今年開催する最大のイベントだ。
楽天グループの三木谷浩史社長が横浜で来月開くビジネスカンファレンス「楽天オプティミズム」に登壇する。同社が今年開催する最大のイベントだ。
同社はウェブサイトで「Rakuten Optimism =より明るい未来」とうたっているが、楽観主義ないしは楽天主義と訳されるオプティミズムは、最近の楽天グループを想起させるものではない。
同社は過去16四半期のうち15四半期で赤字となり、危機的状況にあるように見える。株価は金融危機後の日本株低迷時以来の安値水準で取引されている。
かつて楽天グループには、米アマゾン・ドット・コムや中国のアリババグループに匹敵する日本の大手電子商取引・テクノロジー企業として大きな期待が寄せられていた。だが、2017年にすでに激しい競争を繰り広げていた日本の携帯キャリア市場に参入するという決断を下したことで、5年余りにわたり全く身動きが取れなくなっている。
振り返って考えれば、この決断は大失敗だった。三木谷氏は、楽天グループがモバイル決済や人工知能(AI)などの分野を成長させる取り組みに優位に立つことができたかもしれない未来を見据えるのではなく、過去に目を向けた。
三木谷氏がどのように揺れ動いたかは、容易に想像がつく。 NTTドコモ、「au」のKDDI、ソフトバンクの3社はモバイル市場で大きな利益を上げている。3社とも、政府による度重なる、そしてますます厳しくなっている利益圧縮の試みにもかかわらず、国内最大で最も収益性の高い企業の一角を占めている。
楽天グループへの携帯電話事業の認可は、政府のこうした目標達成に向けた一部であるように思われた。しかし、ユーザーは楽天モバイルが提供するネットワークの質に不満を抱いており、同社はそのネームバリューを新規加入者獲得の強みに変えることができないでいる。ユーザー数はライバル各社より1桁少なく、さらに悪いことに成長が止まっている。
モバイル事業の赤字は縮小しているものの、黒字転換には遠く、財務状況は悪化している。この1年、楽天グループはこうした紛れもない苦境を和らげるために、不愉快な決断を迫られてきた。
日本銀行がゼロ金利を下回る金利を維持し続け、市場全体が縮小している日本から売上高の85%近くを得ている企業としては、目を覆いたくなるような12%もの利回りでドル債を発行。西友の持ち株をわずか2年で売却し、アマゾンに対抗しオンラインでスーパーマーケット事業を展開する計画を断念した。
すでに不満を抱いていた株主をさらに失望させる希薄化を伴う新株発行を通じ3000億円近い資金も調達。金融部門、楽天銀行の新規株式公開(IPO)を行い、持ち分を3分の1減らした。
次はオンライン証券会社の楽天証券ホールディングスを上場させる予定だ。すでに昨年、みずほフィナンシャルグループに20%を売却している。
ブルームバーグ・インテリジェンスのアナリストによると、楽天グループは資金不足を補うため、来年末までにさらに資産を売却する可能性があるという。選択肢は少なくなっており、ライドシェアリング大手、米リフトの株式8.5%や、スペインの同業、キャビファイの保有株が含まれるかもしれない。
三木谷氏に楽天グループを売却するという選択肢もあるだろう。同社がマネジメント・バイアウト(MBO)を検討しているといううわさが先週、「選択」誌に掲載され、投資家にとっては数カ月ぶりの朗報となった(同社はこの報道に関するコメントを控えている)。
三木谷夫妻はすでに楽天グループの株式25%以上を保有している。しかし、13年に米デルがこのような買収を行った際、資金調達は今よりもはるかに容易だった。楽天グループは負債圧縮を続けるために資本市場へのアクセスを強く必要としている。
同社はモバイル事業の立て直しに望みを託している。直近の決算説明会の半分近くで、日本一のキャリアになるという高い目標が語られた。期待されているのはネットワーク品質の向上であり、つながりにくさが消費者からの評判を下げている最大の理由である。
楽天モバイルは今秋にも700MHz帯の「プラチナバンド」を割り当てられると期待しているが、KDDIとのローミング契約も拡大する。
ソフトバンクは2000年代半ばに巨額の出費をいとわず携帯電話市場に参入した後、同じような低評価という苦境を乗り越えた。孫正義氏のソフトバンクは米アップル創業者スティーブ・ジョブズ氏との関係を生かし、「iPhone」を日本で独占的に提供することができた。当時、日本のモバイル市場はすでに成熟していたかもしれないが、スマートフォンへのシフトは始まったばかりで、まさにこれがゲームチェンジャーとなった。
楽天グループに同じような絶好のチャンスが訪れるとは考えにくい。ドコモとKDDIが独自の割引オプションを拡大する中で携帯キャリアの乗り換えはかつてないほど容易になっているが、楽天モバイルにとってはもろ刃の剣(つるぎ)だ。
割安ブランドとして何年も売り込んできた楽天モバイルがどのように消費者にアピールし、ユーザー1人当たりの平均売上高を増やすつもりなのかも不明だ。日本市場で多くのブランドが長年にわたり目にしてきたように、業界最安値はしばしば負け組の戦略だ。
楽天グループの主力事業は好調だ。しかし、モバイル事業の評判が楽天ブランド全体に影響を与えるリスクが一段と高まっている。売却するものがなくなる前に、MBOではなく携帯電話事業からの撤退を検討すべき時が迫っている。
(リーディー・ガロウド氏はブルームバーグ・オピニオンのコラムニストです。このコラムの内容は必ずしも編集部やブルームバーグ・エル・ピー、オーナーらの意見を反映するものではありません)
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