モデルナ出資のビリオネア、小規模バイオ企業への賭け奏功－株価５倍

新型コロナウイルスワクチンを開発して一躍有名になったバイオテクノロジー企業、米モデルナを支援しビリオネアになった共同創業者ヌバー・アフェヤン氏がさらに資産を増やしている。成功率の低い別の企業への賭けの１つが５倍に値上がりしたからだ。

バイオテクノロジー企業のシギロン・セラピューティクスの株価は29日、イーライリリーによる同社買収合意を受け、株価が438％上昇し21.15ドルを付けた。アフェヤン氏のベンチャー・キャピタル（ＶＣ）会社フラッグシップ・パイオニアリングのファンドは、シギロン株31.9％を所有していることが最新の議決権行使勧誘書類の届け出に示されている。

アフェヤン氏は、シギロンが特定のベンチマークを達成すれば、さらに多くの支払いを受ける可能性がある。すべての条件が満たされれば、買収価格は１株当たり126.56ドルにまで引き上げられ、アフェヤン氏の会社の利益は１億100万ドル（約146億円）に跳ね上がる。

もっとも、シギロンが126.56ドルの満額で買収されるために乗り越えねばならないハードルは高い。シギロンの株主は取引取引終了後、総額3460万ドル（１株当たり14.92ドル相当）を受け取る。

残りの金額を得るには、シギロンの製品が３つのステップを完了する必要があり、最終的かつ最大の支払いは、特定製品の規制当局による承認が条件となる。

同社は29日の提出書類で、この付随的事柄に関して「何らかの支払いが行われる保証はない」と説明した。ＢＴＩＧのアナリスト、トーマス・シュレイダー氏は１回目の支払い条件が満たされる可能性は非常に高いとし、２回目の支払いについては「可能性は五分五分」との見方を示した。

29日の終値はイーライリリーの最初の支払い額14.92ドルを上回っており、少なくとも幾つかのハードルはクリアされるとの投資家の見方を映した。

シギロンは先月、株価があまりに低く上場廃止の危機にあったが、13株を１株とする株式併合を実施。ナスダック上場継続の最低条件を満たすのに十分な株価上昇を実現していた。