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概要:50年以上、世界の指標金利であり続け、ウォール街の不正の象徴にもなったロンドン銀行間取引金利(LIBOR)が姿を消す。
50年以上、世界の指標金利であり続け、ウォール街の不正の象徴にもなったロンドン銀行間取引金利(LIBOR)が姿を消す。
ニューヨーク時間30日午前6時55分(日本時間同日午後7時55分)前後に最後のLIBORが設定される。かつて世界で数百兆ドル規模の資産の金利の基準だったLIBORが、静かに消えていく。
LIBORは金融システムのこれほど重要な部分になることは意図されていなかったが、結局、金利スワップやローン担保証券(CLO)、学生ローン、住宅ローンなどの金利がLIBORに基づいて決まるようになった。
しかし、LIBOR設定の基になる取引が減少し、金融危機の後に規制当局は世界の大手銀行が自らを利するようにLIBORを操作していたことを発見した。
銀行に巨額の制裁金を科し、当局はLIBOR廃止を決めた。米国では米連邦準備制度理事会(FRB)が支援する移行グループが担保付翌日物調達金利(SOFR)を後継の指標金利に決めた。
ある程度の生みの苦しみを経て、SOFRは最終的にほとんどの市場でLIBORにとって代わるだろう。いまだにLIBORに連動している商品は一握りに過ぎない。
TDセキュリティーズの米金利戦略責任者、ジェナディ・ゴールドバーグ氏は「LIBORほど基本的であったものを変えるということは、現状に対する大いなる破壊だった。このような移行の例は金融の歴史の中でも極めて限られている」とした上で、「人々は新たな金利と市場慣行に移行し、新しいやり方に慣れることに前向きだ」と話した。
LIBORは、銀行がさまざまな通貨で相互に貸し付ける際の金利について、バンカーの日々の申告に基づいて設定された。ただ、銀行が申告するのは推計であり、十分な取引の裏付けのないものだった。当局者の多くはLIBORからの移行を決めたのはこれが主因だと述べている。
大手行が自らの利益になるように操作した数字を申告していたことが告発され、多くの人にとってLIBORのイメージは修復不可能なまでに傷付いた。銀行は合わせて90億ドル(現在のレートで約1兆3000億円)以上の制裁金を支払った。
米当局は2014年に、代替参照金利委員会(ARRC)を設置。民間部門と規制当局、取引所が集まってドル建てLIBORの代替を模索し始めた。
その結果、アクセスしやすく操作されにくいSOFRが代替の指標金利となった。
当初の足踏みの後、最終的には大半の市場が新たな指標金利を受け入れるようになった。消費関連や変動金利ローンが最初に移行した。一部のデリバティブ(金融派生商品)や証券化商品はより時間がかかり、当初は21年末に設定されていたドル建てLIBOR廃止時期が先送りされた。
米議会は昨年3月、代替の指標がまだ定義されていない数兆ドルの債務が宙に浮くことを防ぐ法案を通過させ、移行の最後のハードルの一つが取り除かれた。
ローン市場
それでも、市場ウオッチャーによれば、金融システムの一角はLIBOR廃止後に幾分か混乱に陥る可能性がある。
ウオッチャーらは1兆4000億ドル規模の米レバレッジドローン市場を来週、注視するだろう。同市場は多くの重債務企業にとって極めて重要な変動金利での調達源だ。
レバレッジドローンは借り手企業と貸し手グループとの間の契約という形を取る。このため、指標金利を変更するためには契約文書の中に特定の文言が必要になる。まだSOFRに移行していないローンの多くは既に契約文書の中に必要な文言があり、7月1日に円滑に移行できるはずだ。
ただ、そうではないローンの一部もあり、このところ契約文書を修正する大急ぎの取り組みが見られた。LIBORから移行するための修正は1月の14件から5月には84件、6月には200件以上に増えた。フィッチ・ソリューションズ傘下のレブフィン・インサイツのデータが示した。
市場ウオッチャーによれば、一握りのローンは間に合わない可能性がある。その場合はプライムレート(最優遇貸出金利)が採用される公算が大きい。プライムレートはSOFRより3ポイント程度高く、金利上昇で既に苦境にある企業にとっては壊滅的かもしれない。
シンジケートローンの業界団体LSTAの次席法務顧問、テス・ビルマニ氏は「ローン市場にとっては決して電気のスイッチを切ったり入れたりするような簡単なものではなかった」と述べた。
Libor Amendments
Amendments to switch leveraged loans from Libor to SOFR spiked in June
Source: LevFin Insights, a Fitch Solutions Company
しかし、それ以外の市場では、LIBORの恒久的な公表停止は恐らくほとんど気付かれもしないだろう。
実際、この10年の大半を移行を進めるために費やしてきたウォール街のベテランの多くは既に次の仕事に移行したか、その過程にある。
TDセキュリティーズの元世界金利戦略責任者でARRCメンバーのプリヤ・ミスラ氏は8月に、JPモルガン・アセット・マネジメントで新しい役割での仕事を開始する。JPモルガン・セキュリティーズのリニアレーツトレーディング責任者だったトーマス・プルータ氏はトレードウェブの社長に就任した。同氏もARRCのメンバー。
元ニューヨーク連銀の国内市場責任者で職権上ARRCに参加したナタニエル・ワーフェル氏は最近、バンク・オブ・ニューヨーク・メロンに市場構造責任者として加わった。
ARRC委員長を4年間務めたモルガン・スタンレー副会長のトム・ウィプフ氏は、同社とARRCの両方を去る。
後任のARRC委員長となるのは元米財務省当局者で、現在シティグループで法人顧客グループの最高管理責任者(CAO)を務めるピーター・フェラン氏だ。
同氏はインタビューで「移行の最終段階で、われわれはもう一度これをやらなくて済むようにARRCの仕事を締めくくることに集中している」とし、ARRCは「堅固な参照金利市場を維持することを共同で勧告した。われわれは、そのような力強い市場を確立し、このプロセスを決して繰り返さなくて済むよう努力してきた」と語った。
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