仏高級ブランドＬＶＭＨにＥＳＧファンドが熱視線、保有株170億ドル

仏高級ブランドグループ、ＬＶＭＨモエヘネシー・ルイヴィトンがＥＳＧ（環境・社会・企業統治）促進の旗振り役をうたうファンドの間で人気を集めている。

ブルームバーグがまとめたデータによれば、1200余りのＥＳＧファンドがＬＶＭＨの株式を保有している。また約500のファンドがＬＶＭＨを間接的に保有している。人気のＥＳＧ銘柄リストで、ＬＶＭＨはベスタス・ウインド・システムズやテスラといったグリーン銘柄の代表格を大きく引き離している。

これらのファンドはＥＳＧ原則の「促進」をうたうか、ＥＳＧを「目標」に掲げる、あるいは単に名称にＥＳＧが入っているもの。ブルームバーグのデータによると、合計でＬＶＭＨ株式を170億ドル（約２兆4500億円）余り保有している。ＬＶＭＨ株は新型コロナウイルス流行初期以降、195％値上がりしており、高インフレや利上げ、エネルギー危機、ハイテク株急落などで厳しかった2022年にＥＳＧ戦略を助けた。

仏銀クレディ・アグリコルはＥＳＧファンドを通じて約17億ドル相当のＬＶＭＨ株を保有しており、最大のエクスポージャーを抱える。その大半は欧州連合（ＥＵ）ルールでＥＳＧを「促進」する金融商品として「８条」に区分されるファンド経由だ。

ＬＶＭＨはブルームバーグのコメント要請に対して、「（ＥＳＧの）社会の面については、ジェンダー間の賃金格差解消がジェンダー平等の達成に向けた重要な柱だ」と回答し、これには2025年までの賃金格差解消やグループ内要職の50％を女性とすることが含まれると説明。要職に占める女性の割合が2007－22年に23％から45％に上昇するなど、こうした取り組みが「すでに大きな進展をもたらしている」と述べた。

欧州のＥＳＧファンドの年初来リターンは平均10％程度と、ストック欧州600指数の約７％をアウトパフォームしている。とりわけ人工知能（ＡＩ）などハイテクに特化したファンドのリターンは40％を超えるなど、好調が際だっている。