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概要:アラブ首長国連邦(UAE)のドバイ首長国は経済が新型コロナウイルスのパンデミックによる落ち込みから急速に持ち直し、人や資本を取り込んで長期的な成長を目指す取り組みを加速させつつある。かつて苦しめられた債務危機の再燃も避けられると期待している。
[ドバイ 19日 ロイター] - アラブ首長国連邦(UAE)のドバイ首長国は経済が新型コロナウイルスのパンデミックによる落ち込みから急速に持ち直し、人や資本を取り込んで長期的な成長を目指す取り組みを加速させつつある。かつて苦しめられた債務危機の再燃も避けられると期待している。
6月19日、 アラブ首長国連邦(UAE)のドバイ首長国は経済が新型コロナウイルスのパンデミックによる落ち込みから急速に持ち直し、人や資本を取り込んで長期的な成長を目指す取り組みを加速させつつある。
ドバイが狙うのは、何十年にもわたって掲げてきた華々しい経済成長モデル、つまり不動産投資や観光、外資導入を重視する戦略の復活にほかならない。
実際、ドバイの不動産市場は、ウクライナでの戦争に伴うロシア人の需要や居住規制の緩和に後押しされ、再び活況を帯びてきている。しかも、アナリストによると、2008年の世界的な信用ひっ迫後にドバイが襲われた数々の問題が、また起きるのを防ぐ枠組みも整備されている。
そうした中でドバイは高い目標を追求している。「D33」と呼ばれる10カ年計画で経済規模を今の2倍に伸ばし、ドバイを世界4大金融センターの一角に食い込ませるつもりだ。
現在の21キロに及ぶ公共ビーチの総延長を2040年までに105キロにすることや、08年の金融危機でいったん放棄された人工島「パーム・ジュメイラ」の再生もこの計画に盛り込まれた。
今年の観光客数は、ほぼ2019年の水準に戻っている。ナイト・フランクの調査に基づくと、昨年のドバイは超高級不動産市場で1000万ドル超の住宅物件販売が219件と世界第4位だった。
ただ、不動産価格高騰と高額物件需要の高まりで思い出されるのは、過去のバブル崩壊だ。08年の世界金融危機はドバイに手ひどい打撃を与え、資本や人が逃げ出して不動産価格は急落。多額の借金を抱えた政府系企業は返済に四苦八苦し、最終的には豊富な石油収入があるアブダビ首長国による金融支援につながった。
09年までドバイ政府の金融部門責任者だったナセル・アル・シェイク氏はロイターに、ドバイは暮らしていけないほど住居費がかかり過ぎる場所になる危険があり、新たな開発計画では人口増加に呼応して高まる中間層向けの不動産需要を確実に満たす供給が必要になると強調した。
シェイク氏は「民間ディベロッパーが提供できないなら、政府や政府系企業がより大きな役割を果たし、不動産価格を妥当な水準にとどめることができるはずだ」と話す。
昨年、ドバイの総人口は355万人を突破し、21年比で2.1%、20年以降では4%増加している。スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)の試算では、総人口は26年までに400万人を超えるという。
<経験に学ぶ>
グローバルソース・パートナーズの湾岸地域アナリスト、ジャスティン・アレクサンダー氏は「(政府系企業が)不動産販売を巡る非現実的な見通しに基づいて、新たに大規模な借り入れを行うリスクは常に存在するが、過去のサイクルで得られた教訓がこのリスクを小さくしてくれると期待している」と述べた。
ドバイは昨年、債務管理庁を立ち上げて一部債務の返済や再編を進めてきた。また、資金調達や金融市場の懐を深くする目的で、政府が株式を保有する10社の上場も計画している。
シェイク氏は、今の金融当局者は過去15年間にわたる経験から学習していると指摘。「ドバイには戦略があり、資本市場の発展はドバイの財政状況の重要な一端を担っている。流動性を生み、債務を返済するというだけでなく、金融セクター内で資本市場を深化させるという面でも」と付け加えた。
<安全地帯>
UAEの中でドバイは商業の中心という位置付けにあるだけに、社会やビジネスの改革、あるいはデジタル技術などの分野に資源を投入してきた。一方で、アブダビとは異なり、石油収入は国内総生産(GDP)の2%弱に過ぎない。
CBREによると、第1・四半期の不動産平均価格は12.8%上昇し、超高級物件のヴィラの価格上昇率は約15%。ヴィラの販売件数は直近の最高だった2014年を上回っている。ベターホームズ取り扱い物件の5月の国別の買い手を見ると、インドと英国に続いてロシアが第3位に入った。
ベターホームズのグループ・マネジングディレクター、リチャード・ウェインド氏は「ドバイは世界の中の安全地帯という立場を確立してきた」と語り、政治的にも金融上でも安定しているとの見方を示した。
さらに「ドバイはもはや投機的な市場ではない。本当の投資に支えられた市場だ。これは08─09年当時や恐らく直近のピークだった14年との非常に大きな違いだと思う」と言い切った。
市場の持ち直しによって、ドバイの財政状況も改善。S&Pの見積もりでは、グロスベースの一般政府債務の対GDP比は20年の78%から今年末までに51%に下がる。
20年のパンデミックが最も深刻だった時期に316ベーシスポイント(bp)まで跳ね上がっていたドバイの5年物クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)のプレミアムは、今年3月8日に歴史的な低水準となる66bpを付けている。
<透明性に懸念>
英紙フィナンシャル・タイムズの報道によると、ドバイは昨年、外国からの直接投資額が128億ドルに達したもようだ。これはサウジアラビアが呼び込んだ約80億ドルを上回っている。
しかし、ロイターが取材した複数の関係者は、特に政府系企業に関するデータや透明性が欠如している点が懸念され、ドバイのファンダメンタルズをより適切に評価するのを難しくしていると強調した。
昨年には世界的な金融犯罪を監視する国際組織「金融活動作業部会(FATF)」が、ドバイを含めたUAEを監視強化対象の「グレーリスト」に追加した。資本流入が細って合併・買収(M&A)が減少し、投資家の信頼を失うリスクが高まりつつある。
他方で、楽観的な有力投資家もいる。豪華リゾート施設を運営するケルツナー・インターナショナルのフィリップ・ズーバー最高経営責任者(CEO)は「ドバイは(世界で)最も強じんな地域の1つだ」と述べ、コロナ禍でもずっと国境を開き、各種ビジネスは堅調を維持したと説明した。
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