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概要:サードパーティCookieの終焉が近づくにつれ、勝者と敗者が見え始めてきました。米DIGIDAYの調査から、エージェンシー各社はサードパーティCookieの終焉を受け、IT最大手ビッグ3のうち勝者はAppleだと考えていることが明らかになりました。
サードパーティCookieの終焉が着々と近づくにつれ、どうやら勝者と敗者が見え始めてきた。DIGIDAYリサーチで、50名を超えるエージェンシー関係者を対象に調査を実施したところ、エージェンシー各社は、誰が勝者で誰が敗者なのかまだ決めかねているものの、漂う悲壮感はこれまでよりも明らかに薄れている。
米DIGIDAYの調査から、エージェンシー各社はサードパーティCookieの終焉を受けたIT最大手ビッグ3の勝者について、Appleであると考えていることが明らかになった。エージェンシー関係者は半数以上(53%)がサードパーティCookie廃止後、「Appleは大いに利益を出す」または「Appleはわずかに利益を出す」と回答、「大いに利益を出す」と回答したのは20%だった。一方、「Googleは大いに利益を出す」または「わずかに利益を出す」と回答したのは43%、「メタ(Meta)は大いに利益を出す」または「わずかに利益を出す」と回答したのは32%だった。
メタについては、エージェンシー関係者が米DIGIDAYに話したところによると、「ビッグ3のなかで敗者になる」という。59%がサードパーティCookie終焉で「メタは大いに損失を出す」または「メタはわずかに損失を出す」と回答した(「メタは大いに損失を出す」と回答したのは27%)。また、エージェンシー関係者の43%が「Googleは大いに損失を出す」または「Googleはわずかに損失を出す」と回答、「Appleは大いに損失を出す」または「Appleはわずかに損失を出す」と回答したのは17%だった。
2022年にあった悲壮感はない
しかしおもしろいのは、同調査でCookie終焉に関してエージェンシーが示した、2022年第3四半期と2023年第2四半期の悲壮感に大きな違いがあるとわかった点だ。2022年第3四半期時点で悲観的だったエージェンシーの割合が、2023年第2四半期には大幅に減少している。
たとえば2022年第3四半期には、米DIGIDAYに回答したエージェンシー関係者のうち43%が、サードパーティCookie終焉で「メタは大いに損失を出す」と回答していたが、その数字が2023年第2四半期には27%に落ちた。また、2022年第3四半期には26%が「Googleが大いに損失を出す」と回答していたのに対し、2023年第2四半期にはその数字がわずか16%だった。Appleに関しても同じような傾向が見られており、2022年第3四半期には「Appleは大いに損失を出す」と回答したエージェンシーの割合は15%だったが、2023年第2四半期に同じ回答をしたのは、わずか2%である。
ただし、サードパーティCookie終焉で「メタはわずかに損失を出す」と回答したエージェンシー関係者の割合が2022年第3四半期の24%から2023年第2四半期には32%に上昇し、Googleが「わずかに損失を出す」と回答した割合も同時期には19%から27%に上昇していることも注目に値する。
さらに、「Appleは大いに利益を出す」と回答したエージェンシー関係者の割合は2022年第3四半期から2023年第2四半期で30%から20%に減少した。「Googleは大いに利益を出す」と回答した関係者は22%から14%に減少したものの、「Googleはわずかに利益を出す」と回答した関係者は15%から29%に増加している。
サードパーティCookieの廃止で影響を受けるグループに関して(特定の企業に限定せず)全般的にみると、Cookieレスの世界において全面的な勝利を収めるグループがエージェンシー各社にはわからないようだ。先頭を走るのはパブリッシャーではあるものの、エージェンシー関係者のうち27%しか、Cookie終焉で「パブリッシャーは大いに利益が出る」または「パブリッシャーはわずかに利益が出る」と回答していない。
エージェンシーの意見では、敗者の予測はさらに接戦であることがわかった。最も負けそうなのはベンダーで、同調査ではエージェンシー関係者の64%がサードパーティCookie終焉で、「ベンダーは大いに損失を出す」または「ベンダーはわずかに損失を出す」と回答している。しかし、ブランドも決して油断できない状況であり、エージェンシー関係者の62%がブランドが損失を出すと答えている。そのあとにはパブリッシャー(61%)が続く。
おもしろいのは、損失が最も少ないのは自分たちエージェンシーだと考えている点だ。とはいえ、エージェンシーが損失を出すと考えているエージェンシーは多くいる。エージェンシー関係者の46%が、Cookieがなくなれば「エージェンシーは大いに損失を出す」または「エージェンシーはわずかに損失を出す」と回答している(とくに、「エージェンシーは大いに利益を出す」または「エージェンシーはわずかに利益を出す」と回答したエージェンシー関係者はわずか10%)。
Cookieレスの懸念は時間経過とともに変化
米DIGIDAYの調査によると、Cookieの廃止を受けて出るのは利益なのか、損失なのかという問題に関しては、それぞれの意見を持つグループ間でもビッグ3と同じように時間経過で変化が見られた。なかでも興味深いのは、2022年第3四半期以降、エージェンシー関係者が絶望的観測をかなり拭い去っているという点だ。
2022年第3四半期にはエージェンシー関係者の41%が、サードパーティCookie終焉で「ベンダーは大いに損失を出す」と考えていたが、その割合が2023年第2四半期には26%に減少した。また、ブランドにも同じような減少が見られ、同時期に44%から22%に減少している。「エージェンシーは大いに損失を出す」と回答したエージェンシー関係者の割合も、2022年第3四半期の35%から2023年第2四半期の14%と落ちている。
パブリッシャーにも同様の減少が見られ、割合が44%から36%に落ちている。このグループに関して言えば、「パブリッシャーはわずかに損失を出す」と回答したエージェンシー関係者の割合も2022年第3四半期から2023年第2四半期で減少しており、具体的には2022年第3四半期は37%で、2023年春は25%と下降を見せた。
さらにエージェンシーは2022年第3四半期以降、パブリッシャーの収益増加も予測しており、2022年第3四半期にはエージェンシー関係者の9%がポストCookie時代に「パブリッシャーはわずかに利益を出す」と回答し、2023年第2四半期にはその数字が18%に伸びている。また、2022年第3四半期にはゼロ回答だった「パブリッシャーは大いに利益を出す」が、2023年第2四半期には9%の回答を得た。
しかしながら、各グループとも「大いに損失を出す」と回答したエージェンシーが減少している一方で、同時期の「わずかに損失を出す」は回答が増加している。たとえば、Cookie終焉で「ブランドはわずかに損失を出す」と回答したエージェンシー関係者の割合は、2022年第3四半期の30%から2023年第2四半期の40%に大きく伸びている。また、同時期には「ベンダーはわずかに損失を出す」と回答した関係者の割合も30%から38%に上昇した。
さらに、エージェンシー全体については、「どちらとも言えない」と回答したエージェンシー関係者の割合が2022年第3四半期から大幅に上昇している。つまり、2022年第3四半期には24%のエージェンシー関係者がサードパーティCookie終焉でエージェンシーは利益も損失も出さないと回答していたが、その割合が2023年第2四半期には44%に急増した。
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