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概要:政府が7日に公表した新たな「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」の原案では、潜在成長率が1%を割り込んでいる低成長からの脱却に不可欠な生産性の引き上げをもたらす「ピース」が欠落している。日本企業の多くに見られる低い業務効率の向上に必要なクラウドサービスは大部分をGAFAに代表される米国系企業に依存し、サービス収支は年5兆円を超す大幅赤字に直面している。
[東京 8日 ロイター] - 政府が7日に公表した新たな「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」の原案では、潜在成長率が1%を割り込んでいる低成長からの脱却に不可欠な生産性の引き上げをもたらす「ピース」が欠落している。日本企業の多くに見られる低い業務効率の向上に必要なクラウドサービスは大部分をGAFAに代表される米国系企業に依存し、サービス収支は年5兆円を超す大幅赤字に直面している。
政府が7日に公表した新たな「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」の原案では、潜在成長率が1%を割り込んでいる低成長からの脱却に不可欠な生産性の引き上げをもたらす「ピース」が欠落している。日本企業の多くに見られる低い業務効率の向上に必要なクラウドサービスは大部分をGAFAに代表される米国系企業に依存し、サービス収支は年5兆円を超す大幅赤字に直面している。写真はスカイツリーから見た東京都内の景色。2021年8月撮影(2023年 ロイター/Marko Djurica)
クラウドサービスや足元で注目されている生成AI(人工知能)を日本企業によって供給する体制を早急に構築するための「サポートシステム」を導入するべきだ。それが、稼げる産業を生み出すための第一歩になると考える。
<生産性引き上げに不可欠なクラウドサービス>
骨太の原案では、半導体など戦略分野への投資促進や、水素産業の拠点集約などが盛り込まれ、これまで貧弱だった成長戦略がようやく動き出した印象を受ける。
しかし、過去30年を超す期間に低成長が「常態化」した日本経済を反転させるには、依然として力不足であると言わざるを得ない。
日本の潜在成長率は1%を割り込み、0.5%程度で推移しているとの試算が多く出ているが、2023年1─3月期の国内総生産(GDP)が年率2.7%成長を達成した背景には、累次の経済対策によって需要を膨らませてきた効果がある。
財政出動のサポートなしに2%前後の成長を達成するためには、数多くの懸案や課題をこなす必要があるが、中でも大きな課題は企業の生産性引き上げである。
例えば、社内の様々な業務管理のために大企業は自前のシステムを構築し、膨大な入力の時間をかけているケースが多かったが、クラウドを使った管理システムを導入し、業務管理に投入する時間が圧倒的に短縮されたケースが続出していると思われる。
このクラウドサービスを提供している企業の大部分を米国の企業が占めている。
<クラウドサービスの国産シェアアップ目標を設定すべき>
クラウドサービスを含むサービス収支は、8日発表の4月国際収支で6465億円の赤字となっている。
サービス収支の詳しい内訳が出ている2022年度の国際収支をみると、クラウドサービスが含まれる通信・コンピュータ・情報サービスは1兆6560億円の赤字を計上。サービス収支全体では、5兆2765億円の赤字となっている。
足元で注目度が急速に上がってきているChatGPTなどの生成AIの使用頻度が企業の間で高まれば、サービス収支の赤字はますます増加することが予想される。
これは、国際収支における赤字要因が増えるということにとどまらず、日本経済の成長性や日本企業の競争力を高める点からも見逃せない点である。
クラウドサービスを米国企業並みに提供できるような日本企業を育成するための支援計画を作成し、日本政府の財政支援によって国内のクラウドサービスにおける日本企業のシェアを一定程度に引き上げることを目指すべきだ。
将来的には、GAFAのようにクラウドサービスを輸出できるようになるまで競争力を高めることも目標に掲げるべきだ。
<資金投入へ求められる政府の決断>
現状、米国勢だけでなく、中国勢にも大きく水を開けられている生成AIだが、一部で日本語に特化した生成AIの開発に着手する動きも出てきている。政府は著作権の侵害が発生しないように法的な枠組みに関する検討を始めたようだが、同時に日本企業による生成AIの開発に政府の支援を提供できる枠組みを早急に構築するべきだ。
米国では「インフレ抑制法」が2022年に制定され、電気自動車(EV)関連の産業への補助など総額4300億ドル規模の予算が計上されている。財政赤字が積み上がり、防衛費や子ども子育て予算の拡大という状況の下で、さらに先端産業への膨大な投資は無理だとの声もあるだろう。
しかし、「稼げる産業」を生み出していくには、これまで説明してきた分野への資金投入も欠かせない。骨太の方針に追加されて「クラウド赤字」から脱却する方針を打ち出してほしい。
●背景となるニュース
・政府が骨太原案提示、賃上げ持続や資産所得拡大 6月中旬に決定へ
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