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概要:ゴールドマン・サックス、モルガン・スタンレーと言えば、巨大投資銀行の代表格ですが、意外にも、給与やボーナス、福利厚生など、全ての面で少数精鋭の小規模ファームのほうが、と評価する声が若手の間で高まっています。
Insiderが11月2日付の記事で報じたように、ブティック(少数精鋭)型投資銀行で働く1年目アナリストたちは、いわゆる「バルジ・ブラケット(大手グローバル投資銀行)」の新人たちに比べて、高い仕事満足度を示している。
民間調査会社オデッセイ・サーチ・パートナーズによれば、ジュニアバンカー(新人アナリスト)1000人超を対象とした調査(実施期間は2021年11月から2022年1月まで)のうち、仕事に対する10段階評価のランキング上位4行はいずれもブティック型投資銀行だった【図表1】。
【図表1】投資銀行の仕事内容・職場・給与待遇などに対する総合評価ランキング(平均値の比較、10点満点)。1年目アナリスト1000人超が調査対象。
Odyssey Search Partners
上位10行まで広げてみても、バルジ・ブラケットは4位のモルガン・スタンレー(Morgan Stanley)と9位のクレディ・スイス(Credit Suisse)の2行にとどまった。
多くのジュニアバンカーがブティック型投資銀行を高く評価し、惹かれるのはなぜなのか。
その理由を探るため、Insiderはオデッセイ調査で上位にランクインした、ニューヨークのブティック型投資銀行に勤務する新人アナリストに取材した。
以下に彼女が自らの言葉で語ったストーリーを紹介しよう(なお、全体の長さは圧縮し、意味合いが明確になるよう編集してある。また、Insiderはこの人物の身元を確認済みだが、取材に応じたことで何らかの不利を受けないよう、特定につながる詳細は伏せる)。
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投資銀行に就職したいと考えるようになったのは大学1年生の時でした。
正直言って、最初は薄っぺらな興味から始まりました。大学入学情報ポータルのカレッジ・コンフィデンシャル(College Confidential)に掲載された記事に、アイビーリーグ(ハーバード、コロンビアなど米名門8大学)出身者以外には門戸の閉ざされた最高の役職だとか、素晴らしい夢のようなキャリアとして投資銀行のことが書いてあったのです。
私が通っていた公立大学には高度な金融人材を養成するプログラムが開設されていましたが、そうは言っても、金融に強く数多くの卒業生を投資銀行やコンサルファームに送り込んできた(米ペンシルベニア大学)ウォートンスクールの比ではありません。
ゴールドマン・サックス(Goldman Sachs)がドアを蹴破って履歴書を取りに来るなんてことはなかったし、実際、カレッジ・コンフィデンシャルには私の大学などほとんど登場しないので、一流企業がその卒業生に目を向けることなどまずありえませんでした。
そんなわけで、大学生活も2年目に入ってインターンシップの募集が始まる頃には、投資銀行を目指す同期生たちの多くは(大手は捨てて)中堅クラスに狙いを絞り込んでいました。
けれども、私が最も尊敬していたトップレベルの優秀な先輩たちは違って、最初からブティック型投資銀行を狙っていたのです。私も彼らのようになりたいと思いました。
そこで、面接やスーパーデー(投資銀行の採用面接プロセスにおける最終ステップ)、インターンシップのオファーが届き始めた2回生の春学期、私は大手の有名どころには目もくれず、ブティックファームを目指すことにしたのです。
あれから3年。就職活動から採用内定、夏季アナリストインターンシップを終え、フルタイムの勤務が始まって数カ月が過ぎたところです。当時ブティック型投資銀行に狙いを定めた自分の選択が、典型的な融資中心の銀行を選ぶより賢明だったと思える理由はいくつもあります。
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ここには自分の仕事を心から大切にする人たちがいる
数十億ドル規模のディールをまとめ、1日の半分以上をオフィスで過ごすことも多いウォール街の住人たちは、ことごとく頭が切れて仕事熱心です。
ただ、私が現在勤務する投資銀行からのインターンシップ(終了後にフルタイム従業員として採用される条件付き)オファーを受けた理由は、面接を通じて話した他行のバンカーたちに比べて、はっきり言ってずっと頭のいい人たちが揃っていると思ったからです。
しかもそれだけではなく、ここのバンカーはみな自分たちの仕事を楽しんでいるように見えました。
ここで働いている人たちと話すたびに私が感銘を受けたのは、彼らの知性だけでなく、自分の仕事をとても大切にしている様子です。他社のアナリストなりアソシエイトなりと話してみたら、人生にうんざりしているように感じられました。
実際のところ、フルタイムで働くようになって、実は私の同僚たちも何か人生にうんざりしていることに気づいてしまいました。それでも、良い仕事をしようという思いはやはり他社より強いと思います。
ブティック型は給与も賞与も高い
リクルート時にもさかんに強調されていたことですが、私にとっての最大の決め手は、ブティックファームは他社に比べて給料が高いことでした。
私の2022年の基本給は12万ドル(約1680万円)で、ゴールドマン・サックスの新人アナリストは11万ドル(約1540万円)、カナダロイヤル銀行(RBC)にいる友人はもっと少なくて10万ドル(約1400万円)と聞いています。
そして、最も差がつくのがボーナスの支給額。私のところも含めて、一般的なブティック型投資銀行のボーナスは、私の友人たちが働く融資業務中心の一般的な銀行より相当に高いようです。
私がボーナスを受け取れるのは2023年になってからなので、現時点では具体的にいくらだとは言えません。
2022年は年明けから市場の低迷が続いたので、誰もがボーナスの減少を予想しています。私が小耳に挟んだ話では、2021年のボーナスが10万ドル以上だった2年目アナリストもいるとか、アソシエイトの年収が30万ドル台半ばとか、そんな感じだそうです。
結論を言えば、同じ銀行業界に務めるにせよ長く働きたいなら、報酬の良いブティック型投資銀行を選んだほうがいいと思います。
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実務経験を積み上げる場として最適
ブティックファームは小規模なので、ディールを担当するそれぞれのチームに無駄な人員はいません。平たく言えば、一つひとつのプロジェクトに携わる人数が少ない分、一人ひとりの責任が重くなるので、他行ではあり得ないようなきわめて貴重な経験を得られるわけです。
例えば、私のところでは、新人アナリストの私とバイスプレジデント、マネージングディレクターの計3人で一つの案件をまるごと仕切るケースもあります。
これがグローバル大手行だと、一つの案件にアナリスト5人、アソシエイト3人、バイスプレジデント2人、その上にマネージングディレクターが何層にも、といった手厚い配置になるかもしれません。
私のところでは、チームの上司にあたるマネージングディレクターは私の名前を知っていますが、投資銀行業務を担当するアナリストがクラスごとに何百人もいる巨大銀行でそんなことはあり得ないでしょう。
一方、ブティック型にもネガティブな面はあります。仕事量が多いので、ただでさえ地獄のような労働時間の長さを指摘される投資銀行業界にあって、その平均的な水準以上に長く働かねばならない可能性があることは、まさにそれです。
ブティック型は大手行に比べて「苛酷すぎる」イメージが定着している感がありますが、私の現場経験を通じた実感からすれば、残業時間が長いか短いかは会社によって違うというより、チーム次第で変わってくるのだと思います。
どこの投資銀行にも毎日朝5時まで働くチームはあるでしょうし、同じ銀行でも夕方6時までに全員がオフィスからいなくなるチームもあるでしょう。もちろん、どんなセクターを担当しているか次第でディールの流れも違うので、働き方にも自ずと差が出てくるはずです。
ちなみに、私の所属するチームでは朝4時退社も珍しくありません。ただ、ここ数週間は夜8時くらいまでには退社できています。
逆にポジティブな面をもう一つ挙げるなら、新人アナリストやジュニアバンカーでも活躍できるチャンスが少なくないことです。自分の例で言えば、入行してまだ2カ月半ながら、セルサイド案件の財務モデリングをまるごと担当しています。他行ではまずあり得ません。
DCF(ディスカウントキャッシュフロー)モデル、LBO(レバレッジド・バイアウト)モデル、アクリーション(増価)/ダイリューション(希薄化)など、数え上げたらきりがないほどの案件を私はこなしてきましたが、他行に勤務する友人たちから聞いたところでは、新人アナリストが担当する職務内容ではなさそうです。
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転職のチャンスも豊富
大学2回生時の就職活動では、バルジ・ブラケット、ミドルマーケット、さらにブティックファームと、複数の面接を掛け持ちして進めました。
ただ、進路を決断する最終段階に至って、私はその指針を真剣にこう考えるようになりました。「投資銀行ではやり切った、と感じた時に、次の選択肢を最も広げてくれるのはどこか」と。
そして、将来どんなキャリアを歩むにしても、常に採用候補として優位に立てると考えたのが、ブティックファームだったのです。
特に、大学での金融プログラムを終えてからはプライベートエクイティ(非公開企業に投資して経営支援に関与して企業価値を高め、新規株式公開や売却を通じて利益を得るファンド)をやろうと決めていたので、選択は間違っていなかったと思いました。
先輩行員たちは人脈が広く、新しい仕事へのキャリアアップを目指す私たち後輩アナリストの意欲を後押ししてくれます。
実際、キャリアアップを狙える機会は多いのです。フルタイムでの勤務が始まって最初の1週間は、プライベートエクイティのヘッドハンターからスカウトされまくりました。
彼らが優秀な人材の確保を企図して競争を繰り広げる秋の採用週間(オンサイクル)に、入行初年から色気を見せるつもりは私には端からありませんでしたが、ブラックストーン(Blackstone)やアポロ(Apollo)、KKRといった有名どころからの面接オファーがずらりと並び、さすがに有頂天でした。
もし私が本気で求職を始めれば、小規模なチームで大きな役割を担ってきた実務経験を武器に、早い段階から財務モデリングを手がけることで得た専門的スキルをアピールできるので、他行のアナリストに比べて際立った存在になれると思います。
私のところでは、アソシエイトやバイスプレジデントら先輩行員との間でオープンに転職の話ができます。そもそも同僚を支える職場環境ということもありますが、(辞めた後も元行員というだけでなく)将来のクライアント候補になるとの理解があるからではないでしょうか。
他のブティックファームやグローバル大手行で、この手の話題をオープンに語る人はいないと思います。ゴールドマン・サックスに勤務している人にプライベートエクイティの採用週間での経験談を聞いたことがありますが、やはり面接を受ける時はオフィスを離れてコソコソやらなくてはいけなかったそうです。
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ブティック型は福利厚生も素晴らしい
フルタイム勤務を始めて、実際に職場の空気を味わってみて実感したことなのですが、基本的にこの会社は他の大手行より私のことを細かく気にかけてくれているように感じます。従業員の士気を高める施策から、オフィス備え付けのアメニティのようなちょっとしたものまで、枚挙に暇がありません。
とりわけ私が所属するチームでは、おそらく他のメンバーの多くも同じように感じていると思いますが、仕事以外でも一緒に何かをすることが多いです。毎月のグループ活動や勉強会を開いたり、みんなで集まって夕食やお酒を楽しんで、会計が全員分で3000ドルにもなったり。それらの費用はすべて会社が喜んで負担してくれます。
他ではそういうことはないでしょう。企業風土の違いが大きいと思います。他行で働く友人たちは、何かがタダということはありません。何かをもらうことはないのです。
ところが、そうした大手行と違って規模が小さくなると、従業員のためにお金を使う余裕が出てきます。私たち従業員に良い待遇を与えれば、もっと喜んで仕事をするようになるという考えなのかもしれません。
もう一つ、私のオフィスでは軽食(スナック)が無償提供され、無料のランチが提供されることも少なくありません。
数週間前に社内のカフェテリアに行ったら、ざっと100箱以上のピザが積んでありました。会社としては、従業員をランチでもてなしたい、ただそれだけなのです。プロテインバーやチョコレート、チップス、ヨーグルト、飲み放題ドリンクなどが常に用意されているのは言うまでもありません。
バカバカしいと思うでしょう。無料のグラノーラバーがそんなに大したことなのか?と。おそらく大したことではないでしょうね。それでも、職場生活の質を高めることに役立っているとは思います。他社なら(カプセル式コーヒーマシンの)キューリグのポットの底で焦げついたコーヒーとか、自動販売機とかがせいぜいかもしれません。
他にも、仕事とプライベートを分けられるように携帯電話が支給されたり、毎晩相当な額面の食事券が支給されたり、些細なことではありますが、私にとっては大きな違いと感じられます。
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ネガティブ面は限定的
ブティックファームの欠点は、実際、ウォール街の外でブランドが認知されていないことくらいだと思います。
例えば、私の祖母でもゴールドマン・サックスやモルガン・スタンレーの名前はさすがに知っています。でも、私が働く投資銀行の名前は絶対間違えるんです。彼女はそれが何なのか、本当に知らないんです。
金融業界以外の人は、センタービュー(Centerview)やペレラ(Perella)、モーリス(Moelis)といったブティック型投資銀行の名前を知りません。本当に聞いたこともないかもしれない。
そんな感じで知名度がかなり低いので、ブティック型投資銀行でインターンやアナリストを経験してから、金融業界以外に転身したいと考えている人にとっては、ちょっと厄介です。
また、小さな銀行は、小さな会社との小さなディールしか取り扱えないと広く信じられていて、実際にブティックファームの一部にはそれが当てはまるかもしれません。しかし、そうでないケースも多々あります。
私のところのようなトップクラスのブティック型投資銀行では、大企業との巨大なディールを扱うのは日常茶飯事。企業名など詳細を明かすことはできませんが、私の所属するチームでは現在、数百億ドル規模のセルサイド案件が進行中です。
投資銀行業界ひいては金融業界では、自分の意見や経験をオープンにする若手が少ないので、それを変えるきっかけになればと思い、ここで私の意見と経験を共有させてもらいました。この記事が、現在、そして未来のアナリストたちを勇気づけることを願っています。
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