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概要:日本の10月貿易収支は、大幅な円安にもかかわらず2兆2992億円(季節調整済み)の赤字となった。このペースが続けば2022年度は20兆円を超す過去最大の貿易赤字を記録するだけでなく、巨額赤字が継続する公算も大きくなっている。
[東京 17日 ロイター] - 日本の10月貿易収支は、大幅な円安にもかかわらず2兆2992億円(季節調整済み)の赤字となった。このペースが続けば2022年度は20兆円を超す過去最大の貿易赤字を記録するだけでなく、巨額赤字が継続する公算も大きくなっている。
日本の10月貿易収支は、大幅な円安にもかかわらず2兆2992億円(季節調整済み)の赤字となった。このペースが続けば2022年度は20兆円を超す過去最大の貿易赤字を記録するだけでなく、巨額赤字が継続する公算も大きくなっている。
こうした赤字拡大は、月間2兆円を超す円売り要因ともなり、円安バイアスが継続する。輸入物価上昇を受けて消費者物価指数(CPI)の上昇が長期化すれば、物価上昇局面の短期収束を想定している日銀にとって「不都合な物価上昇」が継続する可能性もある。物価上昇圧力の高まりと景気失速懸念が併存すれば、金融政策運営が困難となるからだ。
<30%の円安でも輸出数量マイナスの現実>
10月貿易収支から読み取れるのは、大幅な円安が輸出増に結び付かない日本経済の現実だ。ドル/円は月間平均で前年比30.2%円安の145.09円だった。しかし、輸出額の増加額が輸入額の増加額をカバーしきれず、大幅な赤字となった。
象徴的だったのは、輸出数量が前年比マイナス0.3%と減少したことだ。円安が進めば、輸出数量が増加して輸出額を押し上げる「数量効果」が出るはずだが、30%の円安となっても数量マイナスとなったのは、日本の輸出競争力が総体として低下しているからだと言えるのではないか。
政府や民間企業に、現状の「貿易赤字体質」を抜本的に変革しようとする取り組みが見られないため、赤字の垂れ流しは長期化すると想定するのが合理的だ。足元の赤字が同じペースで進めば、年間の貿易赤字額は20兆円をはるかに超えて25兆円に達する可能性すらある。
<円安ー輸入物価上昇と企業の負担>
その結果、外為市場では円売りの実需が月間で2兆円ペースで発生することになり、円安バイアスはかかり続けることになる。
円安基調が継続すると、その悪影響が輸入物価の上昇継続として端的に表れ、10月に前年比42.6%だった円ベースの輸入物価上昇率と、同9.1%だった国内企業物価指数の上昇率は、高止まりする可能性が大きくなるだろう。
9月全国CPIはコア(除く生鮮食品)が前年比3.0%まで上昇率を高めているものの、国内企業物価指数とのギャップは6%ポイントもある。その差は、今のところ企業が負担していることになる。
企業の負担増は、先に公表された2022年7─9月期国内総生産(GDP)の中で示されたGDPデフレーターと内需デフレーターのかい離にも示されている。原材料コストなどが含まれる内需デフレーターは前期比プラス0.9%(季節調整済系列)だったのに対し、付加価値の価格変化を意味するGDPデフレーターは、同マイナス0.2%(同)だった。企業が最終製品にコストを転嫁し切れていない実態を示していると言える。
<日銀の1.6%上昇見通し、上方修正の可能性>
国内企業の値上げ動向をみていると、値上げによって消費者からの「買い控え」を受けて売り上げが減少・停滞するという経営者の懸念は大幅に後退し、複数回の値上げを実行してもシェアを失わず、売り上げ増に結び付いて業績が好転した企業が少なくない。
企業マインドの大幅な変化は、2023年に持ち越されたコスト上昇分の値上げへのハードルを大幅に下げていると予想する。企業には値上げ継続のマグマは溜まったままと筆者は分析する。
まして23年の春闘は岸田文雄首相の大幅賃上げ要請を受けて、経団連も加盟企業にベースアップを含めた賃上げへの理解を求めており、一段と価格転嫁を進めやすい環境になっていると経営者は見ているのではないか。
日銀は23年度のCPI上昇率を1.6%と予想しているものの、どこかの段階で見通しの上方修正を迫られるだろう。それだけでなく、サービス価格の上昇も伴って23年度のCPI上昇率がコアで2%台を維持し続けた場合、現行の超金融緩和策をどの段階でどのように微調整ないし修正するのかを示す必要性に直面するのではないか。しかし、その時点では物価上昇に伴う景気失速が現実化している可能性がある。
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