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概要:原燃料高に歴史的な円安が加わり、消費者物価指数(除く生鮮食品、コアCPI)は来年1月には3.3%まで上昇率が高まるとの見方が出ている。エネルギー価格の上昇寄与の剥落で来年は伸び率の縮小が見込まれるものの、4―6月期までは2%台の上昇が続くとの読みも聞かれる。
和田崇彦
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[東京 21日 ロイター] - 原燃料高に歴史的な円安が加わり、消費者物価指数(除く生鮮食品、コアCPI)は来年1月には3.3%まで上昇率が高まるとの見方が出ている。エネルギー価格の上昇寄与の剥落で来年は伸び率の縮小が見込まれるものの、4―6月期までは2%台の上昇が続くとの読みも聞かれる。
10月21日、原燃料高に歴史的な円安が加わり、消費者物価指数(除く生鮮食品、コアCPI)は来年1月には3.3%まで上昇率が高まるとの見方が出ている。写真は2016年9月、都内の日銀本店で撮影(2022年 ロイター/Toru Hanai)
黒田東彦日銀総裁は経済を支えるとして金融緩和の継続を強調している。ただ、日銀の政策を分析するエコノミストの一部では、1年以上2%超えの物価上昇が続くことになれば「黒田緩和の役割は十分果たした」として、次期総裁のもとでの政策修正を予想する向きもある。
<ピークは来年1月か>
9月のコアCPIの対前年伸び率は前月の2.8%から0.2%ポイント拡大。消費税率引き上げを除くと1991年8月以来31年ぶりに3%の大台に乗せた。けん引役が生鮮食品を除く食料と家庭用耐久財で、生鮮食品を除く食料は4.6%上昇で1981年8月以来、家庭用耐久財は11.3%上昇で1975年3月以来の伸び率となった。
ここに来て、家庭用耐久財も上昇率が伸びてきており、9月はルームエアコンが14.4%上昇した。家電は2010年代初めにかけての歴史的な円高でメーカーが生産拠点を海外に移した影響で輸入比率が高く、足元の急速な円安が輸送コストの上昇に拍車を掛けた結果、商品価格に反映されやすい特徴がある。
コアCPIは先行き伸び率をさらに高めそうだ。UBS証券は来年1月にプラス3.3%まで上昇するとみている。UBS証券の栗原剛・次席エコノミストは「原油価格は確かに最近は落ち着いたが、円安の影響はラグを伴って反映されるので円安主導の値上げが財を中心に続く」と指摘。値上げは来年1―3月期にかけて続くとみている。
外為市場では、今年2月の1ドル=115円台から急速に円安が進み、10月20日には150円に乗せた。みずほリサーチ&テクノロジーズの酒井才介・主席エコノミストはこの間の30.4%の円安により、CPIで0.52%ポイントの押し上げ効果があると試算する。
<来年はCPIの伸び率縮小か>
もっとも、来年に入るとエネルギー価格の押し上げ効果が徐々にはく落することでコアCPIの伸び率は縮小が見込まれる。UBS証券は、4―6月期は2.4%を見込むものの、7―9月期は1.5%、10―12月期は1.1%と予想している。
黒田日銀総裁は今週の国会で、資源高や円安で年末にかけて消費者物価は伸び率が高まる可能性があるとする一方、供給側の押し上げ要因が剥げ落ち、「来年度以降は2%を下回る」との見方を繰り返し強調した。
安達誠司日銀審議委員は19日、富山市内で行った記者会見で、物価高は想定していた以上に早く進んでいるものの、食料やエネルギーなど商品市況の影響が反映されやすい品目については「海外経済を中心に下方リスクがより大きくなった時には下がる可能性も出てくる」と述べた。
<日銀緩和、春闘改善・サービス価格上昇なら「OKパット」>
安達委員は2%の物価目標達成の観点から、商品市況の影響が及びやすい財の価格下落に備え、なかなか動かず景気変動に左右されにくいサービス価格がもう少し上がっていることが望ましいとした。9月CPIで、サービス価格はプラス0.2%にすぎない。
サービス価格の先行きを占う上で、賃金動向が重要なカギを握る。
来年の春闘を巡り、連合は20日、定期昇給を含む賃上げ率で5%程度を目指す方針を確認した。今年の実績2.07%を大きく上回る数値だ。
みずほリサーチ&テクノロジーズの酒井氏は、企業収益の回復や労働需給の引き締まりを背景に来年の春闘は2015年以来の2.3%超えになると予想する。予想より上振れる可能性はあるものの、「金融政策に影響を与えるような4―5%の大幅な賃上げには至らない」とみている。
コアCPIの伸び率は9月で3%に乗せ、6カ月連続で日銀が目指す2%を上回った。来年4―6月期まで2%台が続けば、目標達成は1年を超すことになる。
日銀ウオッチャーの大和証券チーフマーケットエコノミスト、岩下真理氏は「コアCPIが1年もの間、2%超となれば、もはやデフレではない。コアコア(生鮮・エネルギー除くベース)も2%に近づくことから、黒田緩和の役割は十分に果たした」と話す。
岩下氏は物価や春闘にマイナスの影響が及びかねない米国経済の減速について、来年、深いマイナス成長にはならないとみており「来年の春闘での賃金の改善、来年4月にサービス価格の改定が確認できれば、物価の基調が緩やかに上昇する好循環は形成しつつある」と指摘する。
日銀が目指す2%目標についても「(ゴルフでボールがカップに非常に接近し、最後の1打を省略する)OKパットということで良いのではないか」と話し、次期総裁が来年4月に就任後、7月に政策修正が行われると予想している。
(和田崇彦 編集 橋本浩)
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