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概要:[東京 2日 ロイター] - 日銀の安達誠司審議委員は2日、札幌市金融経済懇談会であいさつし、4月の消費者物価指数の前年比伸び率が2%を上回ったとは言え、エネルギーや携帯電話通信料など変動の大きい要因
[東京 2日 ロイター] - 日銀の安達誠司審議委員は2日、札幌市金融経済懇談会であいさつし、4月の消費者物価指数の前年比伸び率が2%を上回ったとは言え、エネルギーや携帯電話通信料など変動の大きい要因を除いた「実力ベース」のインフレ率は1.0%程度にとどまっていると指摘し、「2%の物価安定目標の達成は、現時点では依然として道半ば」だと述べた。
安達委員は金融政策を引き締め方向に修正するのは時期尚早で、物価目標の実現まで緩和的な政策を粘り強く続けていくと強調。金融引き締め方向に転じることのデメリットを列挙し、市場でくすぶる政策修正思惑をけん制した。
安達委員は、国内エネルギー価格の上昇に対して金融政策を引き締め方向に転換させてしまうと「国内需要が収縮する一方、グローバルな需給関係はタイトな状況が続くと見込まれる中で原油価格は高止まりし、国民生活がますます苦しくなりかねない」と指摘した。依然として新型コロナウイルス感染症の影響が続いている中では、引き締め方向への転換が「企業や家計の経済活動にとって大きなマイナスになりかねない」とも述べた。
また「為替相場は金融政策が直接コントロールする対象ではない」と指摘。為替相場の短期的な変動を受けて「基調としてのインフレ率の目標達成を後回しにして対応すれば、日本経済に悪影響を与えることになりかねない」と警戒感を示した。
<企業の成長期待、まだ高まらず>
安達委員は、昨年来「物価の上昇圧力が高まる可能性が高いと考えるようになった」と述べ、そうした考えのもとになった企業の価格設定行動や成長期待を検証した。
企業の価格設定行動については、予想を上回る原材料高で値上げが広がっており「多くの企業がデフレ期に多くみられた薄利多売のビジネスモデルを転換しようとしているのではないか」と述べた。
一方、企業の成長期待は「世界的な供給制約の要因もあり、残念ながら多くの企業ではまだ高まっていないようだ」とした。企業の成長期待は賃上げの持続性を考える際にも重要だが「多くの企業は、長引くデフレ下で成長期待を失い、売上高が持続的に成長すると期待することが難しくなった」との見方を示した。
<世界経済の変調リスクに警戒感>
国内経済について、安達委員は「ゴールデンウィーク期間中の旅行や外食といったサービス消費には改善の動きがみられたようだ」とする一方、世界経済の変調リスクに警戒感を示し、「世界経済の先行きは、リスクシナリオとしてはデフレやスタグフレーションも排除できない」と述べた。
安達委員は、米国の動向が「私が最も注意を要すると考える世界経済のリスク要因」だとして、「米国の金融引き締めがさらに進展する局面では、資産価格の調整を通じて、景気が大きく減速するリスクに注意が必要」との見解を示した。
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