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概要:[ロンドン 9日 ロイター] - ロシアはこのほど、国際市場で発行したドル建て国債を初めてルーブル建てで返済する手続きを講じたため、対外ソブリン債で初のデフォルト(債務不履行)を起こす可能性が出ている
[ロンドン 9日 ロイター] - ロシアはこのほど、国際市場で発行したドル建て国債を初めてルーブル建てで返済する手続きを講じたため、対外ソブリン債で初のデフォルト(債務不履行)を起こす可能性が出ている。
格付け会社S&Pは9日、ロシアが海外債権者への返済義務を果たせない、あるいは果たそうとしないリスクが高まったとして、同国の外貨建て国債格付けを「SD(選択的デフォルト)」に引き下げた。
ロシアは1917年のロシア革命直後以来、対外債務でデフォルトを起こしていない。ロシア国債の格付けは、同国がウクライナに侵攻する2月24日までは投資適格級となっており、デフォルトは最近まで想像不可能な事態だった。
ロシアのデフォルトの可能性について要点をまとめた。
◎ロシアは返済できるか
ロシアは4日、2種類のソブリン債について6億4900万ドルの返済期限を迎えた。しかし米財務省は、ロシアが凍結された外貨準備を使って返済することを阻止した。
ロシアは代替策として、いわゆる非友好国の債権者への返済資金を、ルーブル建てで国家保管振替機関(NSD)の特別口座に振り込む措置に出た。
4日に期限が到来したソブリン債の元利支払いには、30日の猶予期間が存在する。
アナリストによると、ロシアには返済の手段も能力もある。エネルギー輸出で数十億ドルの収入を得ているほか、外貨準備の約半分が凍結されているとはいえ、凍結されていない外貨準備も数億ドル分残っている。
国際金融協会(IIF)のデピュティ首席エコノミスト、エリーナ・リバコワ氏によると、これは「支払い意志(WTP)のある状態」と見なせそうだ。
米財務省は、米銀がロシアの支払いを代行する「コルレス銀行」になることは禁じていない。5月25日まではロシアのソブリン債の返済に関する支払いができるよう、認可を与えた。
こうしたことを総合すると、ロシアは意志さえあればまだ返済が可能なようだ。
◎デフォルトの種類
デフォルトとは、最も基本的なレベルで言えば契約違反だが、この言葉には幅広いシナリオが含まれ得る。
国際通貨基金(IMF)の債務再編専門家の論文によると、返済デフォルトとは、猶予期間が過ぎても元本、利払い、その他の債務を支払わないことを指す。
しかし行政上のミスなどで起こる技術的なデフォルトもあり、これらは一般に市場参加者から重視されず、速やかに修復することが可能だ。
不適切な通貨、この場合はルーブルで返済することは、返済不履行に当たると法律専門家は指摘する。
ロシアは、このデフォルトの概念を否定している。ペスコフ大統領報道官は6日、「理論上のデフォルト状態を作り上げることは可能だが、それは純粋に人為的な状態だ」とし、「実際にデフォルトになったという根拠はない」と切り捨てた。
◎だれがデフォルトと認定するか
デフォルトは「状態」であって格付けではないが、市場はしばしば格付け会社によるデフォルト認定に注目する。
ロシアを「選択的デフォルト」に認定したS&Pは、投資家が受け取ったルーブルを30日の猶予期間内にドルに転換できる、あるいはロシア政府が転換することはない、との見通しを示した。
主要な格付け会社は軒並みロシアの格付けを停止しているため、どのような形でデフォルトが発表されるのか明確ではない。
デフォルトになれば、その影響は広い範囲に及ぶ。
例えば、デフォルトに備えた投資家の「保険」に当たるクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)が発動される可能性がある。この場合、「決定委員会」が、「返済不履行」事由に相当するかどうかを判断するが、判断が出るのは一般に猶予期間が過ぎた後だ。
ロシアに関するCDSの契約残高は60億ドル前後。
◎モラトリアム宣言の可能性
ロシアが一方的に返済猶予(モラトリアム)、つまり一時的もしくは恒久的な返済停止を宣言する可能性もある。
IMFによると、モラトリアムは返済不履行とは切り離して発表されるか、法制化の形で実行に移されるものだ。つまり、宣言のタイミングは返済不履行の前と後、どちらもあり得る。
メキシコが1982年に行ったように、政府が債務再編に着手するまでの暫定的な返済中止措置としてモラトリアムを宣言する可能性もある。
モラトリアム宣言もCDS発動の契機となり得る。
◎デフォルトの後
デフォルトのリスクがある、あるいは既にデフォルトした債務は、「ディストレスト債」専門のファンドが買い取ることが多い。目的は、債務再編に至った際に利益を上げること、もしくは法廷闘争に持ち込んで補償を得たり資産を差し押さえたりすることだ。
ただ、法廷闘争や資産差し押さえの手続きには長期間を要し、コストもかさむ。過去には失敗に終わった事例が多い。
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