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概要:2021年11月10日に同年最大規模の新規株式公開(IPO)を果たしたリビアン(Rivian)。躍進の原動力を担った最高執行責任者(COO)の退社が判明し、先行きを懸念する声も出ていますが……。業界の専門家に取材しました。
2021年11月10日に同年最大規模の新規株式公開(IPO)を果たしたリビアン(Rivian)。躍進の原動力を担った最高執行責任者(COO)の退社が判明し、先行きを懸念する声も出ているが……。
REUTERS/Brendan McDermid
時価総額860億ドル(約9兆9000億円、2021年11月10日の終値)という2021年最大の新規株式公開(IPO)を果たした電気自動車(EV)スタートアップのリビアン。
その躍進を支えたロッド・コープス最高執行責任者(COO)が2021年12月に退任していたことが報道で明らかになり(2022年1月にリビアン側も「数カ月前から段階的に引退の準備を進めていた」とのコメントを発表)、組織改革は今後も続くと予想されている。
リビアン経営陣の顔ぶれはこの2年間で様変わりし、従来の自動車メーカーとしての色合いが薄まり、テック系スタートアップに近づいてきた。
英高級車アストンマーティンや米ディーゼルエンジン最大手カミンズ、米二輪大手ハーレーダビッドソン出身の経験豊富なベテランたちが退社し、米IT大手アップルや米EV最大手テスラ、米金融大手JPモルガン・チェースなどから新たな人材が加わった。
フォードやゼネラル・モーターズ(GM)のようなレガシー自動車メーカーは、100年以上の月日をかけて製造工程を磨き上げてきた。その繊細さは客観的に証明されており、世界最大の自動車メーカーとして君臨するテスラもかつてはたび重なる製造工程のトラブルに苦しめられ、2018年には「あと10週間持たずに破たんを迎える危機」にまで追い込まれている。
リビアンはいま、電動ピックアップトラック『R1T』と電動多目的スポーツ車(SUV)『R1S』の両方を同時に生産拡大し、しかも競合他社が苦しんできた品質確保にも注力するという困難なハードルを乗り越える必要があり、経営陣の交代はまさにそのための動きと言えるだろう。
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同社最高財務責任者(CFO)のクレア・マクドノーも、そうやって新たに加わった経営陣のひとりだ。
直近はJPモルガンでマネージングディレクターとしてディスラプティブ・コマース(=創造的破壊を伴う新たな取引手法)部門の共同責任者を務めたマクドノーは、今後数年以内という短期間でリビアンがグローバル展開を実現するための財務ロードマップ策定を担う。
マクドノーは米ウォール・ストリート・ジャーナル(2022年1月6日付)の取材に応じ、リビアンは短期的に利益を出すことより、企業としての成長を優先する方針を強調。その言葉通り、同社は50億ドル(約5700億円)という巨額の資金を投じて、米ジョージア州アトランタ東部で第2拠点の建設計画を進めている。
冒頭で触れたコープスCOOの退社は、そうした意欲的な成長計画が全貌をあらわすタイミングで報じられた。
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コープスはハーレー・ダビッドソンの元経営幹部で、前出の『R1T』『R1S』に加え(当初アマゾン向けとなる)配送用バン『EDV 700』の開発と市場投入に大きな貢献を果たした人物だ。
コープスの退社を契機に、リビアン経営陣の変容がさらに加速するとの予測も出ている。
これから新たに加わる経営幹部は、リビアンにとって最初の商用プロダクトである『R1T』『R1S』を、フォードやGMなど大きな実績を持つ大手自動車メーカーのプロダクトと競合させるという気の遠くなるような難題に向き合うことになる。
2003年創業、08年にデビューモデル「ロードスター」を発売開始、2010年代に人気車種の多くを市場投入してきたEV市場の先駆者テスラは、リビアンがいま向き合っているような(デビューモデルから大手自動車メーカーとの競合に直面するという)ハードルとは無縁だった。
自動車専門調査会社エドマンズのジェシカ・コールドウェルはこう分析する。
「最新のアイテムをすぐに欲しがるアーリーアダプターは(数は限られても)いつもいるものです。しかし、テスラが手にしたような大きな成功と巨額の利益を生み出すには、ヒット商品を大量に販売しなくてはなりません」
コープスが退社したいま、リビアンの核心とも言える製造プロセスの顔役となるのは、テスラでエンジニアリング部門の経営幹部(シニアディレクター)を務めたチャーリー・ムワンギだ。
トヨタ自動車、日産自動車の米拠点を含め自動車業界でおよそ15年の経験を持つこのベテランは、2020年にリビアンにジョインした。
現在はエグゼクティブバイスプレジデントとして、製造工程への新技術の導入と最適化、イリノイ州の組立ライン(および建設予定のジョージア工場のライン)の設計を担当している。
経営チームと取締役会のいずれにも自動車業界のベテランを揃えた陣容は、一部のアナリストからリビアンの優位性として評価されている。
オンライン中古車検索エンジン「アイシーカーズ(iSeeCars)」のカール・ブラウアーは、その理由を以下のように説明する。
「リビアンの経営チームに自動車業界の(知見や商慣習に知悉した)ベテランがいることは、テスラがまだ初期ステージのスタートアップだった時代には有していなかった重要な資産だと常々考えています。
リビアンの主力プロダクトはあらゆる自動車のなかで最も『デトロイト的』なピックアップトラックですから、なおさらそう言えるでしょう」
ブラウアーの考えでは、リビアンを含めスタートアップで離職率が高い(あるいは高くなる)のは決して特異な事態ではなく、必ずしも懸念すべきことではない。
実際、テスラも同じように離職率の高い時期はあったものの、製造工程やプロダクトローンチ時の失敗など数々の失敗にもへこたれず克服し、ついにアメリカで最多販売台数を誇るEVメーカーの地位を獲得している。
ただし、そんなテスラですらいまだに品質の問題には悩まされている。リビアンは世界最大の自動車専門メディア『モータートレンド(MotorTrend)』の2022年「トラック・オブ・ザ・イヤー」に選出されるなど『R1T』は第一歩の成功をおさめたが、それゆえに(より高い品質などの)ハードルを自らに課すことになった。
また、先述のようにフォードやGMといった大手メーカーが電動ピックアップトラック(フォードの『F-150ライトニング』、GMの『ハマーEV』を指す)を市場投入するに至り、競争環境はテスラの初期とは比べものにならない厳しさだ。
「リビアンはテスラの歩んだ道を同じように歩んで成功を収めるというわけにはいきません。これから『R1T』をどんどん売り出そうとしても、その先には(大株主でもある)フォードの『F-150ライトニング』を販売を担う特約店があるからです」
フォードは早い段階でリビアンに出資し、2019年には高級ブランド「リンカーン」EV版の共同開発を明らかにしたが、翌年計画取りやめを発表している。
ブルームバーグ報道(2021年11月20日付)によれば、フォードはピックアップトラックで競合するリビアンとの関係見直しを進めており、2021年9月には出資後から継続していた取締役の派遣を中止する決定を下した。ただし、リビアンの発行済み株式12%の保有は継続している模様だ。
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[本文:Rivian is getting rocked by exec turnover, just as it embarks on full-scale production. Analysts are worried]
(翻訳・編集:川村力)
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