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概要:[東京 25日] - 半導体不足、天然ガス不足などを背景とするエネルギー価格高騰、対面型サービス分野での人手不足など、供給面のさまざまな制約は、年内も残存しそうだ。インフレ率が大幅に水準を切り上げる中、インフレ警戒を強める世の中の「空気」に押されて、金融政策のスタンスをタカ派の方向に傾けることを、いくつもの中央銀行が強いられている。
[東京 25日] - 半導体不足、天然ガス不足などを背景とするエネルギー価格高騰、対面型サービス分野での人手不足など、供給面のさまざまな制約は、年内も残存しそうだ。インフレ率が大幅に水準を切り上げる中、インフレ警戒を強める世の中の「空気」に押されて、金融政策のスタンスをタカ派の方向に傾けることを、いくつもの中央銀行が強いられている。
11月25日、半導体不足、天然ガス不足などを背景とするエネルギー価格高騰、対面型サービス分野での人手不足など、供給面のさまざまな制約は、年内も残存しそうだ。
では、どこまでタカ派の側に傾斜するのか──。危機対応で実施した量的緩和の早期終了までは見えつつあるとして、その先、景気腰折れを自ら招いて「自爆」しかねないところまで利上げを重ねていくことになるのか。これが今、市場で大きな関心事になっている。
<米で高まる利上げ圧力>
米国では、米連邦準備理事会(FRB)のクラリダ副議長やウォラー理事、さらに今年の米連邦公開市場委員会(FOMC)で投票権を有するボスティック・アトランタ地区連銀総裁、エバンス・シカゴ地区連銀総裁、デイリー・サンフランシスコ連銀総裁の発言内容から考えて、次回12月のFOMCでは、量的緩和縮小(テーパリング)の終了時期を、これまで想定されてきた2022年6月から前倒しすることが決まる可能性が高い。
そうした流れが徐々に見えてきていたさなか、バイデン大統領は11月22日にパウエルFRB議長の再任、およびブレイナードFRB理事の副議長への昇格を発表した。
「パウエル議長が、家庭や経済が直面するインフレの脅威に対処し、最後までやり遂げるのにふさわしい人物だと確信している」と大統領は発言。政治問題化しているインフレ率の急上昇にパウエル議長がうまく対処してくれることへの強い期待感を示した。
そして、発表の場に同席したパウエル議長は「高いインフレは食料など必需品の費用増加に対応できない家庭に打撃を与えてしまう。経済と強い労働市場を支えながら、さらにインフレが続かないようにするための手段を活用していく」と述べて、インフレへの対応をしっかりやっていく決意を表明した。
<見えてくる利上げの弊害>
だが、実際にFRBが何をやるのか、あるいはやれるのかという話になると、パウエル議長はとたんにジレンマに陥ってしまう。
供給サイドのさまざまな一時的不足は、金融政策で解決できる類いの問題ではない。FRBが利上げに動けば、たとえそれが期待インフレ率の上方シフトをけん制する狙いの単発のものであっても、FRBに「勝った」形となる市場は、何回もの追加利上げを、自信を持って織り込み続けるだろう。
為替市場におけるドル実効レートの上昇も伴いつつ、金融引き締め効果が米国経済に広く及び、成長率は減速さらには悪化する。FRBの2つの責務の1つである「最大雇用」の達成は遠のくとみられる。
経済活動において何かが足りなければ、需給の引き締まりを反映して、市場メカニズムに沿って価格が上昇する。すると、そこに高い収益チャンスを見出した企業が増産に動き、さらには設備投資を行って生産能力を増強する。
こうした経済のダイナミズムこそが、供給制約を解消していく主役である。このダイナミズムをFRBが信頼するのであれば、性急な利上げなどせず、じっと我慢して様子を見るのが正解になる。
<パウエル議長の本音>
ところが、高いインフレ率が長引くのは困るから「物価の番人」たるFRBがさっさと対処してくれはしないかという世の中の「空気」や、金融市場における利上げ「催促」的な動きが、FRBに対し「待ちの姿勢」を許さないという、厳しい現実が待ち受けていそうだ。再任発表の場に同席したパウエル議長の口から、インフレファイター的な発言が出てきたゆえんである。
すでに触れた通り、FRBがインフレ対応で利上げに動いた結果として景気の腰折れが引き起こされてしまうと「パウエルの政策運営は失敗した」という評価が下されるだろう。
その一方で、黙って様子見を決め込んでいると「パウエルは無策で無能だ」という批判を浴びかねない。
とすれば、これら2つの中間地帯を「ぬらくら」と泳ぎながら、供給制約が峠を越えて解消してくるのを待つというのが、FRBにとって最も望ましい道筋になる。
テーパリング終了時期を前倒しすることで、タカ派への一定の傾斜を市場に印象付けた上で、必要があれば迅速に利上げに動く用意があると強調する。だが、市場が織り込んでいるような累積的な利上げに実際に動いて自滅するつもりはパウエル議長にはなく、物価上昇率が22年前半にどこまで鈍化するのかを見極める必要性などに言及しながら、できるだけ時間を稼ごうとする。これがパウエル議長の採用する戦術ではないか。
FRBの副議長に上院の承認が得られれば昇格するブレイナード氏がおそらく、パウエル議長がぐらついて安易に利上げ実施に傾かないよう、しっかりガードする役回りを演じることになるのだろう。その意味で、ブレイナード氏が金融規制・銀行監督担当ではなく、本線とも言える金融政策を担当する副議長に指名されたことには、大きな意味がある。筆者はそのように受け止めている。
<欧州でもタカ派傾斜の動き>
大西洋をはさんだ向こう側のヨーロッパでも、欧州中央銀行(ECB)に、メッセージ発信内容のタカ派への微妙な傾斜という動きが観察されている。ドイツの大衆紙ビルトがラガルド総裁を「マダム・インフレーション」と呼んで揶揄(やゆ)する状況下、ECBもまた、利上げというリスクの高い選択肢と、何もしないでいることへの批判のはざ間で、コミュニケーション戦略の工夫を試みているのだろう。
その1つの例を挙げておきたい。シュナーベルECB専務理事は11月23日に「インフレのリスクは上向きに傾いている」「中期的にインフレ率がECBの目標である2%を割り込むと想定するのが妥当だが、逆方向への構造的シフトが起きる可能性もある」と述べ、インフレ率が中期的にもECBの目標である2%を上回る水準にとどまってしまう可能性に言及した。
言うまでもなく、そうしたリスクケースの実現可能性が高まれば、ECBは早めに利上げで対処することが不可避と考えられる。だが、実際にはハト派優位のECB理事会が、22年中というような早い段階で金融引き締め策を展開していくようなことにはなるまい。
<利上げ観測と無縁の日銀>
この間、日銀は「カヤの外」であり、マイナス金利の解除は全く視野に入ってこない。22年春に見込まれる消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年同月比プラス1%前後への上昇に関しては、黒田東彦総裁が記者会見で、異次元緩和を縮小するきっかけにはならないと明言した。
金融政策のベクトルから考えれば、市場に早期利上げ観測があるFRBと、そうした観測がない日銀は対照的であり、ドル/円相場でドル買い・円売りが強まること自体はうなずける。
だが、FRBが実際にどこまで利上げに動けるのか、仮に動いた場合に米国景気が腰折れして今度は早期利下げ観測が浮上しはしないかというところまで思考を展開すると、足元の水準からのドル高・円安のさらなる進行余地は限られるという見方になる。
編集:田巻一彦
*本コラムは、ロイター外国為替フォーラムに掲載されたものです。筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
*上野泰也氏は、みずほ証券のチーフマーケットエコノミスト。会計検査院を経て、1988年富士銀行に入行。為替ディーラーとして勤務した後、為替、資金、債券各セクションにてマーケットエコノミストを歴任。2000年から現職。
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