英財務省、20年度財政赤字が3370億ポンドになる可能性指摘＝英紙

［ロンドン １２日 ロイター］ - 英財務省は２０２０／２１会計年度の財政赤字について、新型コロナウイルス感染拡大の影響で過去最大の３３７０億ポンド（４１４０億ドル）になる可能性があると指摘した。英紙デーリー・テレグラフが１２日、政府の内部資料に基づき報じた。

同紙によると、景気が回復しないという最悪シナリオでは、財政赤字は５１７０億ポンドに膨れる可能性もあると予想されているという。政府の３月時点の公式な予想は５５０億ポンドの赤字だった。

同省の当局者らは閣僚などに対し、借り入れ安定化措置を取らなければ債務危機に陥る恐れがあると警告。標準的シナリオでは２５０億─３００億ポンド相当の増税あるいは歳出削減が必要で、最悪ケースでは９００億ポンド相当が必要だと指摘した。

財務省の報道官からコメントは得られていない。

同紙は財務省の匿名筋の話として、この内部資料は現時点で利用可能な手段を要約したもので、政策に関する決定は下されていないと伝えた。

資料はスナク財務相のために作成された。英経済への投資家の信頼を高めるために、数週間内に発表されるかもしれない増税や歳出削減の組み合わせを提案しているという。

ただ、「財政再建のタイミングやスピード、構成については、景気回復を阻害するリスクを回避するために、慎重に検討する必要がある」と報告には記されている。

一方、景気のＶ字回復を想定する最も楽観的なシナリオでは、財政赤字は２０９０億ポンドにとどまると予想されている。ただ、「景気回復に時間がかかり、ある程度の恒久的なダメージも残る」というＵ字型の回復がより現実的なシナリオだとした。

Ｕ字回復の場合、財政赤字は２０２１／２２年度に８３０億ポンドに縮小し、２４／２５年度には３２０億ポンドの赤字まで改善するとみられている。

イングランド銀行（中央銀行）が前週示した景気シナリオや英予算責任局（ＯＢＲ）が４月に公表した景気見通しは、新型コロナ感染拡大を抑制するための行動制限が近く解除され、英経済がかなり早期に回復するという想定に基づいていた。[ID:nL4N2CP1ZF] [nL3N2C23ZF]