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概要:世界で指折りのキャッシュレス決済事業者であるPayPalに、新型コロナウイルス前後での消費行動の違いや、日本での戦略を聞いた。
世界で指折りのキャッシュレス決済事業者であるPayPalに、新型コロナウイルス前後での消費行動の違いや、日本での戦略を聞いた。
撮影:小林優多郎
日本は2018年4月に経済産業省が公表したキャッシュレスビジョンにおいて、国内キャッシュレス比率を2025年までに40%とするとの目標を定め、既存の金融業から新進気鋭のフィンテック企業など、多くのプレイヤーがさまざまな施策を打っている。
その中で意外なニーズを発掘しているのが、業界の古参プレイヤーと言える「PayPal(ペイパル)」だ。PayPalは1998年にアメリカで生まれ、2010年に日本上陸した決済サービス。PayPal傘下のスマホ送金アプリ「Venmo(ヴェンモ)」の人気(米国でのみ展開)もあり、グローバルでのアクティブアカウント数は約3.05億、年間取扱高は約77兆円ある(いずれも2019年12月末時点)。
PayPalのグローバルでの2019の実績。
出典:PayPal
2002年にPayPalはアメリカのオークション大手・eBayに買収された経緯もあり(2015年に独立)、日本では越境通販をするコアユーザーの認知度が高い。
そんな同社が今後より普及を狙うのが10代や20代といった若い世代だ。
PayPal日本法人のカントリーマネージャーを務める瓶子昌泰(へいし・まさやす)氏は「既に手応えは感じている」と自信を見せる。
Advertisement新型コロナ影響の巣ごもり消費「想定以上」
PayPalの加盟店は越境EC以外の領域にも広がっている。
出典:PayPal
PayPalの直近の日本でのビジネスは堅調だ。
PayPalの従来のコアユーザーは越境ECを利用するようなある程度のリテラシーを持った層であり、「PayPalを使うと言えば海外サイト」といった印象は根強い。
しかし、実際には海外サイトはもちろん、「Google Play」「PlayStation Store」や「ニンテンドーeショップ」などのデジタルコンテンツ系ショップ、「ヤマダウェブコム」や「STORES」などの総合通販サイト、全日空(ANA)やAirbnbなどの旅行系サイトでも利用可能。2020年に入ってからも「Microsoft Store」や「楽天市場」が導入している。
PayPal日本法人 カントリーマネージャーの瓶子昌泰氏。
撮影:小林優多郎
PayPalは国毎の詳細な取扱高などは公表していないが、瓶子氏は「日本でも毎年取扱高、アクティブアカウント数ともに20%以上の成長を達成している」と好調ぶりを話す。
また、瓶子氏は昨今の新型コロナウイルスの感染拡大の影響について、旅行系サイトは「非常に苦しい状況にある」とする。
一方、通販サイトや動画配信サイト、ゲームショップなどの利用率が高まっているという。PayPalの取引データ上でも、家でお金を利用するいわゆる“巣ごもり消費”が「想定以上」(瓶子氏)に加速している状況だ。
若者ユーザー増のキーは“銀行口座引き落とし”
PayPalの銀行口座登録サービスの概要。
出典:PayPal
PayPalが幅広い業種のネット加盟店を獲得するのと同時に、ユーザーの多様化も進んだ。瓶子氏によると、「最近PayPalを始めるユーザーの多くは、加盟店の決済画面などから流入している」という。
瓶子氏が「若者のユーザーが増加傾向にある」とする理由はこの加盟店の種類に加え、2018年6月に発表した銀行口座での支払いサービスが大きなポイントとなっている。PayPalは既存のクレジットカードを紐づけて支払えるサービスだったが、2月29日時点ではみずほ、三菱UFJ、三井住友、りそな、埼玉りそな、ゆうちょの6行の口座から直接引き落としができる。
「現在多く取引されているデジタルコンテンツは、インスタントに取引が必要。一方で、ゲームの購入やアプリ内課金などをしているユーザーは、まだコンビニに支払いやプリペイドカードを購入しにいっている人が多い。そのようなクレジットカードを持っていないユーザーに、銀行口座連携機能が好評を博している」(瓶子氏)
ゲームのダウンロード購入など、さまざまな場面でPayPalの決済が導入されいる。
撮影:小林優多郎
その規模について瓶子氏は「デジタルコンテンツ加盟店の新規ユーザーのうち、多いところで約7割は銀行口座からの引き落とし」と話す。さらに、銀行口座紐付けはユーザーからだけではなく、加盟店側からも強い期待感があるとする。
「例えば、コンビニ支払いなどの場合、24時間以内など、一定の期限内に支払いをする必要があり、ユーザーも手間だが、企業にとっても一定数の未払いによる自動キャンセルが発生するリスクとなっている。
ほかにも、コンビニ支払い後にキャンセルが発生した場合、加盟店が顧客に電話などをし、その後銀行に振り込むなど余計な手間や労力がかかる。PayPalであれば簡単かつ迅速にユーザーに対して返金処理を行える」(瓶子氏)
新型コロナウイルス感染拡大の影響でもイベントや旅行商品のキャンセルは行われており、「(加盟店からの)問い合わせは増えている」と瓶子氏は話す。
PayPalは新型コロナウイルスをきっかけとした返金需要などに応えるため、ユーザーからの返金などの異議申し立て受け付け期間を10日間から20日間に延長、未承認や未着と言ったトラブルなどの売り手への保証を一部の無形商品(サービスやデジタルコンテンツなど)にも適用するなど、加盟店への救済策を用意している。
実店舗での決済には慎重な姿勢も、お金の民主化目指す
PayPalは日本で、オンライン決済を主軸とした戦略をとっている。
撮影:小林優多郎
このように年々需要が高まるECにおいて、PayPalはユーザーと加盟店両方の要望に応える施策をとっている。
だが、日本でキャッシュレスと言えば、インターネット上だけではなく現実世界での対面決済の方がまだまだ主流だ。同社は2013年3月にソフトバンクと手を組みiPhoneやiPadでクレジットカードを読み取れる「PayPal Here」を展開したが、クレジットカードのICチップ対応義務化の影響もあり、2016年2月にサービスを終了している。
そんな苦い経験もあってか、瓶子氏は「PayPalが提供できるバリュー」「新規参入者としてのハードル」の2点の「見極めが必要」と積極的な投資の予定が現状ではないと話す。また、QRコード決済を中心に行われている“高還元競争”についても「短期的には厳しい」という見方を示す。
「さまざまな摩擦を低減していきたい」と話す瓶子昌泰氏。
撮影:小林優多郎
レッドオーシャン化しているオフラインに再度出ていくより、すでに大きな基盤を持っているオンラインの世界で、ユーザーや加盟店に対し、利便性やビジネス拡大のチャンスを提供していく方針だという。
「グローバルで『お金の民主化』をミッションに掲げているPayPalとして今後目指していくのは、決済で生じる手間がどこまでゼロに近づけられるかということだ。
(ペイパルは)日本資金決済業協会の理事も務めており、業界活動も通じて、法規制や手数料などのさまざまな摩擦を低減していきたい」(瓶子氏)
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(文、撮影・小林優多郎)
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