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概要:米中貿易戦争の激化で世界経済は約10年ぶりのリセッション(景気後退)に近づいているとして、政治家や中央銀行は迅速な対応を求められている。
米中貿易戦争の激化で世界経済は約10年ぶりのリセッション(景気後退)に近づいているとして、政治家や中央銀行は迅速な対応を求められている。
悪化を示唆する最新の例はドイツの製造業。6月の鉱工業生産指数は前月比1.5%低下し、予想を上回る落ち込みを記録した。前年同月比でも5.2%低下と約10年ぶりの落ち込みとなった。アジア太平洋では、ニュージーランド(NZ)とインド、タイの中央銀行が世界的な向かい風から自国経済を守ろうと政策金利を引き下げ、市場の意表を突いた。
サマーズ元米財務長官はブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、米国では景気後退のリスクが「本来あるべきレベルよりずっと高く、2カ月前よりもはるかに高くなっている」と指摘。「火遊びをしても特に厄介な事態にならないというのはよくあるが、度が過ぎれば結局はやけどをする」と述べた。ハーバード大学の名誉学長である同氏は、前回の景気後退期にホワイトハウスの経済アドバイザーを務めた。
ニュージーランド(NZ)準備銀行(中央銀行)は7日、政策金利を0.5ポイント引き下げ、投資家を驚かせた。利下げ幅は市場予想の2倍で、NZドルは下落した。タイの中銀も予想外の0.25ポイント利下げを実施。インド中銀行は0.35ポイントの利下げに踏み切った。
世界的にタイトな労働市場や、中央銀行の最近の政策シフトは衝撃への緩衝材になると考えられるが、エコノミストらは景気後退がどのように起こり得るのか、想定シナリオを描き始めた。そこでの焦点は主に、輸入関税がもたらす経済へのダメージだ。
あるシナリオでは、トランプ米大統領が最近の警告を実行に移し、中国製品さらに3000億ドル(約31兆7000億円)相当に10%の関税を課し、それを受けて中国の習近平国家主席が報復に出るというもの。こうした関税の直接的なコストは小さいとみられるものの、貿易戦争のさらなるエスカレートによって生じる不確実性は、投資や雇用、最終的には消費の重しになり得る。
モルガン・スタンレーの予測では、米国がすべての中国製品に4-6カ月間にわたり25%の関税を賦課し、中国が反撃した場合、世界経済は3四半期内に縮小に転じる可能性が高い。こうした緊張は米中にとどまらず、日本と韓国、さらには英国と欧州連合(EU)の将来的な関係にも広がる。
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