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概要:米中対立の狭間で日本の立ち位置が難しくなるなか、藤崎一郎・中曽根平和研究所理事長(元駐米大使)は、米国の対中政策が中長期的に変更される可能性も視野に、対立を固定化して見ず、複数の可能性を念頭に対応すべきとの見解を示した。対韓輸出規制は経済的影響より安全保障を優先することが妥当だとし、同時に、北朝鮮問題を踏まえれば、日韓首脳同士も早期に対話することが望ましいとの見方を示した。 藤崎氏は1969年に外務省入省。北米局長、外務審議官、在ジュネーブ国際
[東京 11日 ロイター] - 米中対立の狭間で日本の立ち位置が難しくなるなか、藤崎一郎・中曽根平和研究所理事長(元駐米大使)は、米国の対中政策が中長期的に変更される可能性も視野に、対立を固定化して見ず、複数の可能性を念頭に対応すべきとの見解を示した。対韓輸出規制は経済的影響より安全保障を優先することが妥当だとし、同時に、北朝鮮問題を踏まえれば、日韓首脳同士も早期に対話することが望ましいとの見方を示した。
藤崎氏は1969年に外務省入省。北米局長、外務審議官、在ジュネーブ国際機関日本政府代表部(世界貿易機関(WTO)、国連など)大使などを歴任し、08年から12年まで駐米大使を務めた。13年から日米協会会長、18年から中曽根平和研究所理事長。
<米中いずれとも良好な関係を築くべき>
米中の先端技術を巡る対立に伴い、日本が米国による様々な規制に追随する方針を打ち出しつつあることについて、対中ビジネスの現場からは懸念も強まっている。
藤崎氏は「過去の政権交代を振り返れば、米国は指導者が変われば政策が変わる国だ。米中対立がこの先も続くとみるのは、日本として『お人よし』に過ぎる」と指摘。「次の政権がこのままの対中政策を続けるのか、リセットするか予断を許さない。常に種々のシミュレーションが必要となる」と提言。米中対立の行方については、複数のシナリオを前提に対応を検討するべきだとの見解を示した。
そのうえで「日中はようやく関係正常化に向けて歩み寄ってきており、歓迎すべきことだ」と語るとともに「日本は、あくまで米国との関係を優先すべきだが、米国に先んじて中国非難などすべきではない」とも述べた。
藤崎氏は「日本にとって日米関係が当面基軸である」との認識を示しながら、米中いずれとも良好な関係を築いていくことが肝要になるとの見方を示した。
<対北朝鮮踏まえ、日韓は対話必要>
日本政府が韓国向けの半導体原材料3品目の輸出管理強化に踏み切ったことについて、藤崎氏は「当然の措置」との見解を示した。
その理由として、WTO協定は安全保障を理由とした最恵国待遇の例外措置を認めていることを挙げ、今回の日本の措置は協定違反に当たらないと述べた。
それでも、内外から経済的影響が大きいとの指摘があることについて「経済的影響は考慮する必要があるが、その前にまず、安全保障の問題が優先されるのは当然だ」との見方を示した。
ただ、日本としては、北朝鮮の核ミサイル開発や拉致問題を抱え、韓国との関係を損ねることも望ましいとは言えないと指摘。
「韓国は安全保障上の問題についてきちんと説明し、日本側もまず事務レベルできちんと対応すべきだ」とし、説明によって韓国側の対応が変化すれば、措置の緩和もありえるとした。
さらに「首脳同士も、できるだけ早く意思疎通することが望ましい」と述べ、日韓関係における多様なレベルでの情報交換が重要であるとの見方を示した。
政治問題化を回避するため「徴用工など韓国に対する信頼感低下を理由にするのでなく、安全保障上の不適切事例に問題を絞った形で議論することが望ましい」とも語り「国民の悪感情をあおるような発言は誰もが慎むべき」と述べた。
*このインタビューは10日に行われました。
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