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概要:米国でビットコインの現物に直接投資する上場投資信託(ETF)が誕生し、暗号資産(仮想通貨)市場に最大の追い風が吹く中で、仮想通貨交換業者のコインベース・グローバルが主役として躍り出た。ただ、同社が羨望(せんぼう)の的になると同時に、サービス提供の一極化がもたらすリスクを指摘する声もある。
米国でビットコインの現物に直接投資する上場投資信託(ETF)が誕生し、暗号資産(仮想通貨)市場に最大の追い風が吹く中で、仮想通貨交換業者のコインベース・グローバルが主役として躍り出た。ただ、同社が羨望(せんぼう)の的になると同時に、サービス提供の一極化がもたらすリスクを指摘する声もある。
米国初のビットコイン現物投資型ETFは、米証券取引委員会(SEC)の承認を経て先週、取引を開始。ブラックロックやフランクリン・テンプルトンなど大手資産運用会社を含む十数社が長年かけて始動にこぎ着けたETFは、ビットコインの飛躍的な普及につながると期待されてきたが、ETF発行会社の大半がカストディー(保管・管理)から、取引、レンディング(貸し付け)に至るまで、コインベースが提供するサービスに依存する構図となっている。
コインベースは、すでに世界最大の暗号資産カストディアン(保管機関)としての地位を確立しているが、ビットコインETF向けの提供で最も人気がある。ただ、ETF発行各社はリスク開示の中で、コインベースが提供するサービスの一部を制限あるいは縮小する可能性を明記しており、一部でリスク集中が懸念されている。
ETFコンサルタント会社ダブナー・キャピタル・パートナーズのデーブ・アブナー社長は、「多くの企業がコインベースを暗号資産のカストディアンとして利用しており、間違いなく集中リスクがある」と指摘している。
加えて、ETF発行各社が、手数料引き下げに動いており、コインベースの中核事業である取引プラットフォームの収益が別のリスクにさらされる恐れもある。
コインベースの株価は昨年、ビットコインの高騰を背景に、約400%上昇。一方、みずほ証券の最新のリポートによると、ビットコインETFに伴う収入上乗せ効果は5ー10%程度にとどまる可能性があるという。
コインベースが複数の市場機能を担っていることは、SECにとって重要な懸念事項になっている。SECは昨年6月、実際には未登録の証券であるトークンのための未登録取引所やブローカーディーラー、クリアリングハウス(清算機関)の機能を提供したとして同社を提訴。コインベースはSECが権限を越えていると反論し、法廷での争いが継続している。
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