简体中文
繁體中文
English
Pусский
日本語
ภาษาไทย
Tiếng Việt
Bahasa Indonesia
Español
हिन्दी
Filippiiniläinen
Français
Deutsch
Português
Türkçe
한국어
العربية
概要:9日の米金融市場で、国債相場は大幅安。この日実施された米30年債入札が低調で、利回りが急上昇した。株式相場も下落。米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が、米金融当局は十分な引き締めを行ったと完全には確信を持てていないとの考えを示し、ハト派姿勢を期待する市場関係者に冷や水を浴びせた。
2023年11月10日 3:45 JST
適切なら一段の引き締めをちゅうちょしない-パウエルFRB議長
30年債入札は「全くもって悪かった」との指摘、過剰供給懸念が再燃
9日の米金融市場で、国債相場は大幅安。この日実施された米30年債入札が低調で、利回りが急上昇した。株式相場も下落。米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が、米金融当局は十分な引き締めを行ったと完全には確信を持てていないとの考えを示し、ハト派姿勢を期待する市場関係者に冷や水を浴びせた。
国債
30年債入札では需要が予想に届かなかったことが示唆され、膨らむ新発債の供給を市場が吸収できるのかという懸念が再燃した。2年債利回りは5%を上回った。
国債 | 直近値 | 前営業日比(bp) | 変化率 |
---|---|---|---|
米30年債利回り | 4.77% | 15.9 | 3.45% |
米10年債利回り | 4.63% | 14.0 | 3.11% |
米2年債利回り | 5.02% | 9.2 | 1.87% |
米東部時間 | 16時51分 |
30年債入札(240億ドル規模)の最高落札利回りは4.769%。応札締め切り時の入札前取引(WI)水準を5ポイント余り上回った。ブルームバーグがまとめたデータによると、過去10年に行われた30年債入札で、WI水準を少なくとも5bp上回ったのは1回だけだった。
30年債利回りは一時、22ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)急上昇した。
ブック・リポートの著者、ピーター・ブックバー氏は、今週先に実施された米国債入札は無風だったが、この日の30年債入札は「全くもって悪かった」と指摘した。
トロウ・キャピタル・マネジメントの創業者スペンサー・ハキミアン氏は「入札前利回り水準での需要不足は、長期国債の過剰供給という問題を示している可能性がある」と分析。「特に長期債を市場が吸収することに関して深刻な問題があるようにみえる」と述べた。
株式
パウエル議長はワシントンで開かれた国際通貨基金(IMF)会議の冒頭で、「金融政策のさらなる引き締めが適切となれば、そうすることをためらわない」と述べた。今月1日の米連邦公開市場委員会(FOMC)後の議長会見を受けて、市場では引き締め局面が終了したとの見方が強まっていた。
パウエルFRB議長、適切なら一段の引き締め「ためらわない」 (1)
株式 | 終値 | 前営業日比 | 変化率 |
---|---|---|---|
S&P500種株価指数 | 4347.35 | -35.43 | -0.81% |
ダウ工業株30種平均 | 33891.94 | -220.33 | -0.65% |
ナスダック総合指数 | 13521.45 | -128.96 | -0.94% |
米30年債入札が低調だったことも市場心理を悪化させた。パウエル議長の発言で、市場が織り込む米追加利上げ観測もわずかに高まった。
エバコアのクリシュナ・グハ氏は、パウエル議長の「より厳しいトーン」は金融環境のさらなる緩和に対抗し、利下げ観測を抑えると同時に、必要に応じて追加利上げをする選択肢を維持する取り組みの一環と読むのが適切であろうと分析した。
JPモルガン・チェースのチーフエコノミスト、マイケル・フェローリ氏は、米金融当局が依然として「引き締めバイアス」にあることを議長発言があらためて示したと指摘。発言要旨は議長が先週語った内容と大きくは変わらないが、「市場は米利上げサイクルは完了したとかなり確信していたため、そうした予想と比べてタカ派的だと解釈された」と述べた。
LPLファイナンシャルのチーフ・グローバルストラテジスト、クインシー・クロスビー氏は「相場は力強い動きを見せていたが、買われ過ぎの水準にじわじわと近づいていた。パウエル議長のコメントと失望を誘う入札結果は、相場が値固めに向かう論理的な口実を与える」と指摘した。
この日発表された米失業保険申請件数の統計では、継続受給者数が7週連続で増加し、労働市場が冷え込みつつあることが示唆された。
米失業保険の継続受給者数、7週連続増-労働市場の冷え込み示唆 (1)
外為
外国為替市場ではドル指数が4日続伸。適切なら一段の政策引き締めをちゅうちょしないというパウエルFRB議長の発言を受け、ニューヨーク時間午後の取引でこの日の高値を付けた。
ブルームバーグ・ドル・スポット指数は一時0.5%上昇した。
為替 | 直近値 | 前営業日比 | 変化率 |
---|---|---|---|
ブルームバーグ・ドル指数 | 1268.03 | 5.92 | 0.47% |
ドル/円 | ¥151.34 | ¥0.36 | 0.24% |
ユーロ/ドル | $1.0668 | -$0.0041 | -0.38% |
米東部時間 | 16時51分 |
円は対ドルで一時0.3%安の1ドル=151円39銭まで下落。ユーロに対しては一時0.1%安の1ユーロ=161円80銭と、日中ベースで年初来安値を更新した。
ユーロはパウエル議長の発言が伝わった後、ドルに対してこの日の最安値である1ユーロ=1.0666ドルまで下げた。
原油
ニューヨーク原油相場は小反発。前日に3カ月ぶり安値を付けた動きは行き過ぎだったことがテクニカル指標で示された。
前日まで2日間の下げが5ドルを超えたため、原油先物は相対力(RS)指数で売られ過ぎと判断される領域に入った。朝方の市場では米失業保険申請件数の統計で労働市場が冷え込みつつある兆候が示唆され、金融引き締め政策を継続する必要性が低下したとの見方に支えられた。午後にパウエルFRB議長が適切なら一段の引き締めをためらわないと述べると、原油は上げ幅を縮小した。
サウジアラビアのエネルギー相は9日、石油の消費は依然として健全だとして、最近の価格下落は投機筋のせいだと述べた。サウジが今年5月に投機筋を批判した際、石油輸出国機構(OPEC)と非加盟産油国で構成される「OPECプラス」が追加減産を検討するシグナルと市場は受け止め、実際にその臆測通りとなった。
サウジエネルギー相、原油の投機筋に「気を付けろ」と警告
上段:WTI先物、下段:RSI(9日ベース)
出所:ブルームバーグ
RBCキャピタル・マーケッツの商品戦略責任者、ヘリマ・クロフト氏は「サウジのエネルギー相が負けを認め、市場シェアの最大化を目指す戦略にこの段階で復帰する気配はない」と話す。「今のトレンドが続けばサウジのエネルギー相はもう一度ショートスクイーズに目を向けるだろうかというのが、適切な問いだろう」と述べた。
原油価格は過去3週間に大きく下落。著名な石油トレーダーのピエール・アンデュラン氏は価格下落の一因として、米国とイランでの生産を例に予想を上回る供給を指摘した。シティグループは現行水準付近での値固めを予想。中東での供給障害リスクが来年の市場軟化リスクに相殺されているとした。中国の消費者物価指数(CPI)はアジア最大の経済国でデフレ懸念が再燃したことを示した。
中国の消費者物価、3カ月ぶりマイナスに-景気回復なお不安定 (1)
ウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物の期近スプレッドは、7月以来のコンタンゴ(順ざや)に転換。期日の近い先物が遠い先物より価格が低い順ざやは、弱気示唆とされる。このシフトは過去数週間に比べ、供給不足への懸念が薄れたことを示す。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のWTI先物12月限は、前日比41セント(0.5%)高い1バレル=75.74ドルで終了。北海ブレント1月限は47セント上昇し80.01ドル。
金
ニューヨーク金相場は反発。スポット価格はニューヨーク時間午後4時現在、前日比7.14ドル(0.4%)高い1オンス=1957.34ドル。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物12月限も値を戻し、0.6%高の1969.80ドルで終了。
免責事項:
このコンテンツの見解は筆者個人的な見解を示すものに過ぎず、当社の投資アドバイスではありません。当サイトは、記事情報の正確性、完全性、適時性を保証するものではなく、情報の使用または関連コンテンツにより生じた、いかなる損失に対しても責任は負いません。