シタデルのグリフィン氏｢平和の配当終わり｣数十年の高インフレも

ヘッジファンド運営会社シタデルの創業者ケネス・グリフィン氏は、世界は不安と構造的変化に直面しており、それが脱グローバル化を推し進め、結果的により高い基調インフレが「数十年」続く可能性があるとの見解を明らかにした。

グリフィン氏は９日、シンガポールで開催されたブルームバーグ・ニューエコノミー・フォーラム（ＮＥＦ）で、現在起きている二つの大きな戦争に触れ、「平和の配当は明らかに終わりつつある」と述べ、「実質金利が上昇し、名目金利も上昇する可能性が高い」と予想した。

「平和の配当は明らかに終わりつつある」と話すシタデルの創業者ケネス・グリフィン氏

Source: Bloomberg

それは米財政赤字を賄う資金調達コストにも影響するが、米政府は金利上昇を想定していなかったと同氏は指摘し、「酔っぱらいの船乗りのような」金遣いは持続不可能との認識を示した。

グリフィン氏は、米経済が来年リセッション（景気後退）入りする本物のリスクがあるとした上で、米政府は財政規律を取り戻す必要があると主張。

米連邦準備制度は、デフォルト（債務不履行）回避のためにマネーを供給し続けることは可能だが、「経済的な影響は壊滅的になりかねない。デフォルトの可能性に対処するためだけにドル貨幣を増発し始めた途端、米経済は崩壊に向かう」と警告した。

ケネス・グリフィン氏

Photographer: Lionel Ng/Bloomberg

米雇用市場は比較的良好な状態が続いているものの、消費者は「何かが間違っている」と感じていると指摘した。

また、「現時点でわれわれを脱グローバル化へと押しやっている多くの潮流がある」と述べ、サプライチェーンの再構築が進んでいること、各国が自国で生産すべきものについてより真剣に考えるようになっていることなどを指摘した。