スティーブ・コーエン氏、米は年内に景気後退も「見せかけの恐怖」

来年は成長率が高まり株高に、金利は人々が考えているよりも上昇へ

• ＡＩを利用して価値を生み出すことができると「強く確信している」

資産家スティーブ・コーエン氏は、米国経済は今年、短期的なリセッション（景気後退）に陥る可能性があるものの、来年１－３月（第１四半期）に回復するとの見通しを示した。

コーエン氏は25日、ロビンフッド・インベスターズ・カンファレンスで、こうした状況は市場が回復するまでの間、一時的に人々の不意を突くような短期の混乱、つまり「見せかけの恐怖」といった形をとる可能性があるとした上で、「短期的な性質なものに過ぎないだろう」と語った。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。イベントは報道機関には非公開で行われた。

同氏は、自身のヘッジファンド運営会社ポイント72アセット・マネジメントは、米経済については依然「かなり前向き」だと述べた。来年には経済成長率が急上昇し、株式市場は３－５％上昇、金利は「人々が考えているよりも上昇」するとの予想を示した。

コーエン氏の見通しは他の一部資産家に比べ楽観的だ。エリオット・インベストメント・マネジメント創業者、ポール・シンガー氏は先週、市場が織り込む以上に世界は危険性が高い状況にあるとして、投資家はもっと慎重であるべきだと語っている。またポール・チューダー・ジョーンズ氏は今月初め、米国の財政状況は第２次世界大戦以降で最も脆弱（ぜいじゃく）だと指摘し、24年の第１四半期にはリセッションに陥るとの予想を示した。

ＡＩ

一方、コーエン氏は人工知能（ＡＩ）にも触れ、ポイント72にとってＡＩ技術はまだ「アルファを生み出す」ものではないが、同社がそれを利用して価値を生み出すことができると「強く確信している」と語った。

同氏は「まだ時期尚早だ」としながらも、ＡＩが「生産性を向上させるものであることは間違いない。これからたくさんの使用例を考え、試し、何が有効で何が有効でないかを見極めるつもりだ」と同氏は説明した。