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概要:フランスの総合エネルギー企業トタルエナジーズのトレーディング部門アトランティック・トレーディング・アンド・マーケティング(ATMI)が、米国の原油現物市場での価格押し上げに一役買っている。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。
2023年9月20日 12:48 JST
メキシコ湾岸への出荷にはバレル当たり1-2ドルの上乗せが必要
現物出荷のために支払う価格プレミアムは昨年11月以降で最も高い
フランスの総合エネルギー企業トタルエナジーズのトレーディング部門アトランティック・トレーディング・アンド・マーケティング(ATMI)が、米国の原油現物市場での価格押し上げに一役買っている。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。
原油先物価格が1バレル=90ドルを超えて値上がりする中で、米オクラホマ州クッシングで受け渡しが行われるウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)原油は、現物出荷のために支払う価格プレミアムが昨年11月以降で最も高くなった。国外の買い手がWTI原油の現物を輸出向けにメキシコ湾岸に出荷するには、バレル当たり1-2ドルを上乗せして払う必要がある。
石油輸出国機構(OPEC)と非OPEC主要産油国で構成する「OPECプラス」の減産などに伴う世界的な原油不足を埋め合わせるため、アジアや欧州の買い手は最後のよりどころとして米国からの供給に頼ってきた。現物出荷のためのプレミアムが今の水準にあることで、国外の買い手にとって米国産原油は急に高くなり過ぎた。
米国内にとどまる原油が結果的に増える可能性がある一方、価格高騰がガソリン代と燃料費に波及することは避けられず、インフレを加速させる恐れがある。
トタルエナジーズにコメントを求めたが、これまでのところ返答はない。
石油精製業者が定期的な保守・点検作業に入る時期にもかかわらず、米国の精製マージンはバレル当たり30ドル前後と歴史的に高い水準にとどまっている。世界的に供給が著しく逼迫(ひっぱく)する状況で、高い精製マージンが米国産原油の獲得競争に拍車を掛けており、ATMIがWTI原油の価格を積極的につり上げようとするのもその表れだ。
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