ＦＲＢは利上げサイクル完了、24年に利下げへ－米銀行協会経済諮問委

大手14 行のチーフエコノミストら、米リセッション回避を予想

来年には約１ポイントの見込む－失業率上昇とインフレ鈍化も予想

米銀行協会（ＡＢＡ）の経済諮問委員会は11日、パウエル連邦準備制度理事会（ＦＲＢ）議長率いる金融当局について、現行の利上げサイクルは完了し、来年には計約１ポイントの利下げに踏み切る可能性があるとの見通しを示した。

最新予測では、米経済は恐らくリセッション（景気後退）を回避するものの、成長率は今後の数四半期に大幅に鈍化すると見込まれ、失業率を押し上げる一方でインフレ率は減速するとの見通しが示された。

同委は大手14行のチーフエコノミストらで構成され、委員長を務めるステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズのシモナ・モキュータ氏は「インフレを巡りこれまでに示された進展やこれから予想される進展を踏まえると、委員会メンバーの過半数は米金融当局の引き締めサイクルは完了したと考えている」と説明した。

同氏はビデオ会議サービス「ズーム」を使った記者会見で、「委員会のコンセンサスとして、ソフトランディング（軟着陸）の確率は短期的に極めて劇的に改善した」と指摘。「ただ同時に、米経済がこれまで示してきた異例の底堅さがどの程度持続可能なのか多くの懸念が引き続きある」と語った。

ＡＢＡの経済諮問委にはＪＰモルガン・チェースやモルガン・スタンレー、ウェルズ・ファーゴなどのチーフエコノミストが含まれ、その予測はパウエル議長らＦＲＢメンバーに定期的に提示されている。

同委の予想中央値によれば、米金融当局によるこれまでの利上げや信用状況の引き締まりで、米経済成長率は今後３四半期に実質ベースで年率１％足らずに減速すると見込まれる。

また、８月の時点で3.8％だった失業率は来年末までに4.4％に上昇する一方、７月の段階で前年同月比3.2％の上昇だった消費者物価指数（ＣＰＩ）は2.2％に伸びが鈍化すると予想。来年のリセッション入り確率は50％をわずかに下回るとみている。