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概要:今週は13日発表の8月米消費者物価指数(CPI)に全ての注目が集まるだろう。インフレ率が米金融当局の目標である2%へ近づきつつあることを確かめようと、市場は今後数カ月間のCPI統計に注目している。実際にそれが示されれば、今月の会合で広く見込まれている利上げ休止が金融引き締め終了へとつながり、早ければ来年初めに利下げに踏み切る道も開かれるだろう。ただ残念ながら、今のインフレ退治におけるこの「ラスト1マイル」の現実は、より複雑なものとなる可能性がある。
今週は13日発表の8月米消費者物価指数(CPI)に全ての注目が集まるだろう。インフレ率が米金融当局の目標である2%へ近づきつつあることを確かめようと、市場は今後数カ月間のCPI統計に注目している。実際にそれが示されれば、今月の会合で広く見込まれている利上げ休止が金融引き締め終了へとつながり、早ければ来年初めに利下げに踏み切る道も開かれるだろう。ただ残念ながら、今のインフレ退治におけるこの「ラスト1マイル」の現実は、より複雑なものとなる可能性がある。
単純化して言えば、2023年の強いディスインフレは、エネルギーなど特定項目で急激な価格下落があった財部門が主導している。
最良のシナリオではインフレがさらに鈍化し、米連邦準備制度がバランスシートの縮小を続け、現行の米金利水準が一段と景気抑制的になることだろう。米当局が利下げする一方で、景気は予想外に上振れし、成長や金融安定にほとんど犠牲を強いることなくインフレとの闘いで勝利できるという筋書きだ。
私はこのシナリオが実現し、最貧困層の生活水準が向上することを強く望んでいる一人である。ただ、そのプロセスは市場が示唆するほどスムーズかつタイムリーではないかもしれないと懸念している。またセーフティネットの充実など、他の政策措置が必要になる可能性もある。
最近の原油価格と一部の食料品価格の急上昇は、これまで財部門がもたらした非常に有益かつ力強いディスインフレの勢いを深刻なほど後退させる恐れがある。さらにベース効果が逆風となれば、年率ベースの総合インフレ率が今後数カ月で上振れすることもあり得る。
考えられる問題はこれだけではない。特定の財の投入価格が上昇していることに加え、最近のデータではサービスのディスインフレはよくても穏やか、最悪の場合は効果がないことを示唆している。さらに労働市場が依然として逼迫(ひっぱく)しており、労働者の賃金交渉力が強まっていることも実質賃金の下落を妨げている。
明確にしておきたいのは、この複合的リスクは昨年のような高インフレへと逆戻りする可能性を意味するものではないということだ。それよりむしろ、インフレ率が断続的に低下する過程で3-4%のレンジで定着し、当局目標の2%を一貫して上回り、市場金利の上昇構造が長く続く可能性を意味している。
これが現実となれば、米当局は年末までにかなり難しい政策判断を迫られることになる。目標を上回るインフレを容認するか、あるいは目標を過度に追求することでリセッション(景気後退)と金融不安のリスクを高めるかという選択だ。
この選択は構造的に進展する国内経済や世界経済における金融政策の設計や実行、有効性に関して著しい不確実さがある中でさらに複雑になる。
国内外における供給サイドの変化も、現在および将来の経済にとって望ましいインフレ率とは何かという必要不可欠な議論の材料となる。
複雑さはまだ続く。米国での数十年ぶりの積極的な利上げがもたらす遅行効果についても、エコノミストによって見解が分かれる。経済はすでにその効果の大部分を吸収したと考える人もいれば、まだ先があると考える人もいる。また米当局のバランスシート縮小が経済や金融に与える影響を確信を持ってモデル化することも難しい。米大統領選を来年に控え、このすべてが政治的な意味合いを帯びる、あるいはそう見られることは避けられない。米連邦準備制度理事会(FRB)の信頼性への度重なる打撃、適切な説明責任の欠如、一部当局者による取引活動に対する疑問などを背景に、FRBの政治的独立性をより確実にすることを求める声は多い。
米当局は当初、動向を見誤り、対策を講じ始めるのが遅かった。しかし米国経済が本来持つ回復力と適応力などにより、米当局は物価上昇率の抑制、リセッションの回避、深刻な金融不安の回避というインフレとの闘いで重要な3つの要素において、多くの人の予想をはるかに上回る成果を上げることができた。これによって米国経済はユーロ圏や英国と比べて絶対的にも相対的にも、インフレ退治の「ラスト1マイル」で良好な足場を築いた。
今後についてダラス連銀のローガン総裁は先週、次のように語った。「私は過剰なインフレを消滅させたとはまだ確信していない。現在の複雑な経済環境において、インフレ率を2%に戻すには慎重に調整されたアプローチが必要なのであり、絶え間なく冷水を浴びせることではない」
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