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概要:楽天グループは2023年度第1四半期決算を発表。収益に大きな影響を与えている楽天モバイルの状況を三木谷会長自らが語りました。三木谷氏が次の武器と考えている「ワンストップMNP」と「簡単申し込み&開通」を解説します。
国内第4のキャリアとして通信サービスを提供する楽天モバイル。
撮影:小林優多郎
楽天モバイルが反転攻勢をし始めている。
KDDIとの契約を見直し、ローミングエリアでもデータ通信が使い放題になる「最強プラン」を6月から提供。これにより7月末までの契約者数は491万回線と、2022年にゼロ円プランを廃止して落ち込んだ契約者数の回復が見られている。
直近の7月には1カ月間で10万契約を獲得できているものの、同社では損益分岐点を800〜1000万契約としており、目標達成にはほど遠いのが現実だ。
楽天モバイルの解約率の推移。
出典:楽天グループ
8月11日に楽天グループが発表した2023年度第1四半期決算会見によると、解約率に関しても1.93%となっている。これはMNP先でポイント獲得を狙う短期契約者、いわゆる「ポイントゲッター」(鈴木和洋楽天モバイル社長)の影響を除くと1.4%にまで下がるという。
NTTドコモは0.64%、KDDIは0.96%、ソフトバンクは1.00%といったように競合3社には及ばないものの、かつては6〜8%近い解約率を記録した当時に比べれば、格段の改善が見られているのだ。
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ChatGPT開発のOpenAIと楽天が協業、三木谷会長が語る「AI時代にモバイルに取り組む意義」
追加の本人確認をスキップする「簡単申し込み&開通」に注力
楽天モバイルは自社回線とローミング回線(KDDI)を合わせて「データ高速無制限エリア」としている。
出典:楽天グループ
そんな中、楽天モバイルは現在、KDDIと新ローミング契約の詳細を調整している。これにより、全国の郊外エリアだけでなく、繁華街においてもローミング提供が始まり、ネットワーク品質が向上する予定だ。
この新ローミング調整が完了したのち、マーケティング活動をさらに加速させていく。楽天モバイルが今後、注力していくのが、音声SIM契約の「簡単申し込み&開通」だ。
楽天モバイルは7月から楽天カードユーザー限定で「Rakuten最強プラン(データタイプ)」として、本人確認不要なプランを展開している。
出典:楽天モバイル
通常、携帯電話の音声通話回線を契約する際には、運転免許証やパスポートなどで本人確認作業をする必要がある。
楽天グループでは、すでに楽天銀行や楽天証券、楽天生命(保険)のユーザーであれば、本人確認が完了している人がほとんどだ。
こういったユーザーであれば、楽天モバイルのページから新たに本人確認をすることなく、簡単に申し込みができ、eSIMをすぐにダウンロードして、契約できる。
楽天モバイルではすでに7月3日からデータSIMの簡単申し込み&開通を提供しているが、これを8月末以降、音声通話対応のSIMカードに拡大するというわけだ。
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ワンストップMNPと組み合わせて乗り換え促進
楽天グループの三木谷会長は、8月2日の自社イベントでも「乗り換えの煩雑さ」について述べていた。
撮影:小林優多郎
実は通信業界的には「ワンストップMNP」という仕組みが5月24日からスタートしている。
これまでキャリアを乗り換える際には、まずは契約しているキャリアに連絡して「MNPするための番号」を発行してもらい、乗り換え先で契約するというツーストップ方式がとられていた。
これでは、乗り換えが促進されないということで、新規に契約したキャリアだけで乗り換えて手続きが完了する「ワンストップMNP」が導入された。
ただし、今のところは店舗では対応せず、オンライン契約のみ。一度、オンラインで契約しているキャリアにつなぎに行く必要があるなど、やや面倒ではある。
楽天モバイルとしては、この「ワンストップMNP」と「簡単申し込み&開通」を組み合わせることで、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクといった競合キャリアから一気にユーザーを奪い取る考えだ。
競合キャリアは楽天の施策に「待った」
ソフトバンクの宮川潤一社長。
出典:ソフトバンク
しかし、この動きに待ったをかけようとしているのが、ソフトバンクだ。
ソフトバンクの宮川潤一社長は8月4日に開催した2024年3月期第1四半期決算で以下のように述べている。
「(簡単申し込みは)ちょっと問題があるのではないか。本人確認については犯罪防止の観点から非常に重要だと理解している。データ通信回線だったら、いいだろうというのも違う。
アプリでも音声通話が利用できる事を考慮すれば音声回線と同様にデータ通信回線でも本人確認をすべき。これは法律を見直した方がいいと感じており、総務省に働きかけて法整備を進めていきたい」(ソフトバンク宮川社長)
現在の法律では音声契約に関しては本人確認が必須だが、データ契約に関しては必ずしも本人確認が必要というわけではない。
しかし、ソフトバンクではデータ通信回線でもアプリを使えば音声通話ができてしまうということもあり、本人確認をしっかりとしているとしている。
本人確認義務に関しては、KDDIの髙橋誠社長も楽天モバイルの考えに懸念を示しており、既存キャリアが楽天モバイルの取り組みの足を引っ張ろうとしている、という構図だ。
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ChatGPT開発のOpenAIと楽天が協業、三木谷会長が語る「AI時代にモバイルに取り組む意義」
楽天グループの三木谷浩史会長(2023年8月2日撮影)。
撮影:小林優多郎
そんな動きに対して真っ向から反論するのが楽天グループの三木谷浩史会長だ。
「金融ではマネーロンダリングもあるので、本人確認はかなり厳格だ。むしろドコモショップでやるよりは厳格だと正直、思っている」と、すでに楽天銀行や証券、生命保険で本人確認をとっているので問題ないと強調する。
さらに携帯電話会社が行う本人確認自体にも疑問を投げかけた。
「世界、欧米ではポストペイドに関しては、クレジットカードで本人確認をしている。これから日本では海外から7000万の外国人を呼んできたり、一方で日本に居ながらにして海外のeSIMも買えてしまう。
携帯電話の契約における本人確認を厳格にやることは本当に有効性があるのか」(楽天グループ三木谷会長)
さらに
「楽天としては本人確認を別の形でやっていく。例えば、インスタグラム上には私の画像を使った詐欺が行われるなど、別のカタチの詐欺が横行している。
デジタル犯罪を含めて日本国としてどう予防していくか。もはや本人確認の厳格化には限界があるのではないか」(楽天グループ三木谷会長)
と指摘する。
楽天は自社の携帯業界参入によって、家計には4兆円の寄与があったとしている。
出典:楽天グループ
一方で、「楽天モバイルが携帯電話事業に参入したことで、ユーザー1人あたり2000円の値下げ効果があり、家計には4兆円の寄与があった。さらにキャリアの乗り換えが進むと8兆円、10兆円が家計に入る計算が成り立つ」と、乗り換えを促進させることで、家計の負担が減っていくという利点を訴求した。
三木谷会長の主張は電話による詐欺行為を防ぎたい警察庁にはなかなか理解されないかも知れない。
ただ、楽天モバイルを首の皮一枚、つなげるためにも音声契約の簡単申し込み&開通は是が非でも実現させたいことだろう。
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