米地銀の決算厳しい内容か、預金獲得競争に加え規制強化リスク

金利上昇で預金コスト増大、地銀も金融規制強化の対象となる公算

商業用不動産のリスク、資産1000億ドル未満の銀行が脆弱ーフィッチ

相次ぐ経営破綻で揺れた米地方銀行の第２四半期（４－６月）決算発表が今週から始まる。米銀大手が預金獲得競争によるコスト増に直面していることは、中小銀にとっては望ましくない兆候だ。

キーコープやザイオンズ・バンコープなど地銀の一部はすでに、預金金利引き上げ圧力から収入が減るとの見方を明らかにしている。だが、先週末14日に決算を発表したＪＰモルガン・チェースやウェルズ・ファーゴ、シティグループもそろって同じ圧力にさらされていると認めており、中小銀への打撃がいかに大きいかを予感させた。

米追加利上げが見込まれていることで、こうした圧力が近く和らぐ可能性は低く、厳しい決算を予想するアナリストもいる。中小銀にとっては、バー連邦準備制度理事会（ＦＲＢ）副議長（銀行監督担当）が３月の銀行危機を受けて実施を検討している金融規制強化の対象になるとみられることも重しだ。

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モルガン・スタンレーのアナリスト、マナン・ゴザリア氏はインタビューで、決算シーズンが本格化する中で、注目は預金残高から預金コストや純金利収入（ＮＩＩ）に戻るとの見方を示し、「これらは間違った方向に向かっている」と述べた。

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銀行が支払う利息は増加傾向にある。米金融当局による利上げを預金金利に反映するよう求める顧客をつなぎ止めておくためだ。シティグループのマーク・メイソン最高財務責任者（ＣＦＯ）は決算発表後、支払額を増やしていると発言。ウェルズ・ファーゴとＪＰモルガン・チェースでは、第２四半期の支払利息がそれぞれ465％増という驚異的な伸びを示した。

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空室率の高さと金利上昇で大きな打撃を受けている商業用不動産に対する地銀のエクスポージャーも懸念材料だ。フィッチ・レーティングスは５月、資産規模が1000億ドル（約13兆9000億円）未満の銀行は、資産と総資本に占めるエクスポージャーの割合が高いため、こうした逆風に一段と脆弱（ぜいじゃく）だと指摘した。