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概要:日本の国内企業物価は直近の6月データをみると、上昇率の鈍化が鮮明になってきた。12日発表の米消費者物価指数(CPI)上昇率が鈍化したこともあり、日本のCPIにも上昇率鈍化の力が強まるのではないかとの見方が一部で出ている。だが、CPI上昇で世界の流れから「周回遅れ」の日本には、2つの大きな要因が存在する。
[東京 13日 ロイター] - 日本の国内企業物価は直近の6月データをみると、上昇率の鈍化が鮮明になってきた。12日発表の米消費者物価指数(CPI)上昇率が鈍化したこともあり、日本のCPIにも上昇率鈍化の力が強まるのではないかとの見方が一部で出ている。だが、CPI上昇で世界の流れから「周回遅れ」の日本には、2つの大きな要因が存在する。
7月13日、日本の国内企業物価は直近の6月データをみると、上昇率の鈍化が鮮明になってきた。
1つは食料(除く生鮮食品)価格の大幅上昇、もう1つはようやく動き出した大幅賃上げが値上げにリンクする流れだ。もし、この2つが持続しそうだと日銀がみれば7月の金融政策決定会合でイールドカーブコントロール政策(YCC)修正の可能性が高まるだろう。しかし、持続すると判断するには材料が少ないとみれば、政策維持に傾くことになるのではないか。2つの要因は今後、一段と注目を集めそうだ。
<鈍化する国内企業物価の上昇率>
日銀が12日発表した6月の国内企業物価指数は前年比4.1%上昇と、前月の5.2%から上昇幅が縮小。2021年4月以来の低い伸び率となった。中でも輸入物価指数は前月比1.2%減、前年比11.3%減と大幅に低下し、一部の市場関係者や専門家の間では、前年比3%台の上昇が続く全国CPIが近いうちに減速するとの見方が浮上した。
また、6月米CPIが前年比3.0%上昇と5月の4.0%から鈍化し、21年3月以来、約2年ぶりの小幅な伸びとなったことで、国際商品市況の軟化がCPIを減速させる流れは、先進国で共通との指摘も出ていた。
<10月まで高止まる食品値上げの品目>
だが、CPI上昇のスタートが大幅に遅れた日本では、先行した米欧とは違った現象が足元で見られ始めている。その点を見落とすと、日本のCPIの先行きを見誤ることになりかねない。
まず、日本では足元で食料(除く生鮮食品)価格の大幅上昇が続いている。5月全国CPIでは前年比9.2%上昇で、4月の同9.0%から加速した。
帝国データバンクが主要な食品メーカー195社を対象にした調査では、5月の値上げは4月の5256品目から830品目に減少していた。この調査対象を超えて、実際は幅広い値上げが実施された可能性がある。
同社の調査では、6月は3581品目、7月は3566品目と値上げ品目が増加する見通しだ。その後、いったん減少するが、10月には3385品目と増加すると予想している。食料価格の上昇を中心に夏場から秋にかけての全国CPIの上昇力は、鈍化せずに横ばいないし強まる可能性がある。
この背景には、国際商品価格の大幅上昇を小刻みに製品価格へと転化してきたメーカーが多かったという事情がありそうだ。国際商品価格の最終製品への転嫁には、1年を超すタイムラグがあると専門家の間では言われている。足元で原油価格が弱含みなのに、電力7社が6月から電気料金を引き上げたのは、まさにこのタイムラグの典型的な例と言える。
<さくらリポートに盛り込まれた賃上げと値上げの声>
2つ目は、大幅な賃上げの実施とその原資確保のための値上げの動きが、少しずつ出始めている現象を挙げたい。
今年の春闘の実績は、平均賃上げ率が3.58%(連合調べ)と、30年ぶりの高水準を記録した。この賃上げの原資を値上げで確保する動きが大きな流れになれば、輸入される原材料価格の下落が鮮明になったとしても、物価上昇率の減速につながらない要因となる。
実は、その兆しが日銀の公表した地域経済報告(さくらリポート)の中にも垣間見える。「人手不足による納期遅れが懸念される中、採用競争力の強化を目的とした販売価格
の引き上げが取引先から認められたため、大幅な賃上げを予定」(金沢支店、金属加工)、「今後もコスト上昇分の転嫁や将来の賃上げ原資の確保を念頭に値上げを進め、適正な利益を確保していく」(仙台支店、宿泊)、「原材料費の上昇分に加え、アルバイトの時給引き上げ分を主力商品の価格に転嫁」(名古屋支店、飲食)などのコメントがあった。
賃上げコストの確保のための値上げの動きが本格化すれば、CPI上昇率はこれまでの日銀シナリオと異なり、23年度後半に低下せず、高止まりする可能性が出てくるとみられる。
<どうする日銀>
以上の2点のうち、賃上げコストの確保のための値上げが恒常的に実施されることになれば、国際商品市況の価格変動の影響力が相対的に低下し、日本のCPIが2%台でアンカーされる可能性を高めることになるだろう。
もし、その流れが持続しそうだとのデータが多く得られ、賃上げと値上げのリンクが強固になると判断できるのであれば、7月会合でYCCの修正もあり得ると言えるのではないか。
他方、そこまでの証拠はないと判断すれば、データをさらに収集するということで、7月会合でのYCC修正は見送られると思われる。
また、食料価格についても、帝国データバンクは10月が年内のピークになり、一部酒類を中心に価格据え置きと値下げが1000品目に迫っていると指摘している。
ここでも、7月のデータで判断可能か、それとも「さらに待つ」と判断するかの選択を日銀は迫られる。
日銀は様々なデータを幅広く分析して情勢判断を下し、政策を決定していくが、上記の2つの要因は重要性が増していると筆者は指摘したい。
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