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概要:20億ドル(約2800億円)規模のカーボンオフセット市場は大々的な仕切り直しを迫られている。国内で発生した炭素クレジットの取引に税金や規制、制限を課す意向を示す国が増えているためだ。
排出削減プロジェクトの恩恵をもっと得たいと考える国が増加
ジンバブエ、国内での炭素クレジット取引収入の50%を保持へ
20億ドル(約2800億円)規模のカーボンオフセット市場は大々的な仕切り直しを迫られている。国内で発生した炭素クレジットの取引に税金や規制、制限を課す意向を示す国が増えているためだ。
詳細は異なるが、インドネシアからケニア、ホンジュラスに至る国々の目的は同じだ。自国の気候目標達成に向けたクレジットであれ収入であれ、各国政府は排出削減プロジェクトの恩恵をもっと保持したいと考えている。
アンデュラン・キャピタル・マネジメントの気候調査責任者、マーク・ルイス氏は「新興国で適切な種類のプロジェクト機会があれば、『金の卵を産むガチョウ』を得られる」と述べた。
熱帯雨林やマングローブ湿地といった天然のカーボンシンク(二酸化炭素吸収源)を有する国々で、金やリチウム、銅などの貴重な鉱物・金属と並ぶ資源として、炭素クレジットが注目されるケースが増えている。
炭素クレジット調査・格付け会社、シルベラの共同創業者で社長のサミュエル・ギル氏は「商品市場が先例をつくった。各国が炭素クレジットを他の国家資源と同じように見なし、扱うようになるのは当然と言える」としている。
プロジェクト開発・投資会社エコセキュリティーズのパブロ・フェルナンデス最高経営責任者(CEO)は、今のところ政府や地元の利害関係者が得ているのは海外のプロジェクト開発業者が生み出す収益のごく一部に過ぎないとの認識が広がっていることも一因だと説明した。
例えば、最大のオフセットプロジェクトの一つであるジンバブエのカリバ森林保護区プロジェクトが集めた1億ユーロ(約150億円)の大半を手にしたのは、炭素クレジット創出を手掛けるスイスのサウス・ポールとパートナーのカーボン・グリーン・インベストメンツだった。メキシコの農村でもBPが住民に支払ったのは地域の森林で生み出されたクレジットの市場価値のごく一部だったことが、2022年のブルームバーグ・グリーンの調査で分かった。
「市場のパターンだとは言わないが、設計も執行も不適切なプロジェクトもあり、こうした事態につながっている」とフェルナンデス氏は話す。
メキシコ・ベラクルス州の森林で休憩中の伐採業者
同時に、炭素クレジットは新興国市場に新たな価値をもたらしている。1997年の京都議定書に基づき、先進国は温室効果ガスの排出削減目標を達成するため途上国のプロジェクトからクレジットを買い取ることができる。2015年のパリ協定では、20年以降は途上国も含む全ての国が排出削減目標を導入することが取り決められた。
つまり各国政府は排出権を単なる収入源としてだけでなく、国際的な義務を果たすためのツールと見なすようになった。
この新たなソブリン取引市場は国連によって設けられ、同じクレジットが複数の国の気候変動目標に適用されることを防ぐための会計上の枠組みが採用されている。
詳細はなお微調整中だが、供給確保のため既に取引を始めている国もあり、4分の3余りが「国が決定する貢献(NDC)」と呼ばれる排出削減目標の達成に向けて国連の炭素市場を活用する予定、もしくは活用を検討中だという。
BNEFは自主的なオフセット市場が37年までに1兆ドル規模に達する可能性があると予測。「オフセット市場ではなくNDCに向かう供給量を調整することは大きな意味を持つ」と分析した。
その一つが規制の変更だが、少なくとも当初は国によってばらつきが生じることになる。ジンバブエは先月、国内で発生した炭素クレジットの取引収入の50%を保持する意向を表明。ほぼ直ちに実施するとした。ケニアは排出削減プログラムからもたらされる利益の25%を地元コミュニティーに与える法案を審議している。タンザニアでは昨年10月に取引収入の分配に関する新ルールが導入されたが、依然として詳細の発表が待たれている。
ジンバブエのカリバ森林保護プロジェクト
パリ協定は全ての国に独自の目標を設定し、自国の市場を管理する権限を与えた点で「革命的」だったとフェルナンデス氏は指摘。しかし、トラブルだらけで一貫性のないプロセスでもあり、「われわれは現在もこの問題を抱えている」と付け加えた。
投資家はカーボン市場の明瞭性と安定性、予測可能性を高めるための動きを歓迎するとしている。カーボンファイナンスを手掛けるレスピラ・インターナショナルのアナ・ホーリーCEOは「規制の改善とそれに伴う確実性の向上は進歩を意味する。コストに確実性を持たせることで、市場は支払うに値するかどうかを判断することができる」との見方を示した。
排出権取引業界は投資家に一段の確実性をもたらす新たな規制の枠組みを歓迎しつつも、政策担当者が行き過ぎた行動を取らないよう警告。
国際排出量取引協会(IETA)の国際政策ディレクター、アンドレア・ボンザニ氏は「新たな枠組みや政府介入の度合いによって、それぞれの国が投資家にとってどれだけ魅力的かが決まる」と語った。
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