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概要:SOMPOホールディングスの奥村幹夫社長は、国内市場の縮小を見据えて拡大してきた海外事業が一定の規模になったことから、国内外の損害保険事業を融合し、資源の最適配分を行っていく方針を示した。今後は、大型買収せずとも、チームを取り込むような形で1、2年で数百億円単位で収入保険料の上積みを行っていけるという。一方で、注力している介護事業は将来の海外展開を見据える。ロイターとのインタビューで語った。
[東京 26日 ロイター] - SOMPOホールディングスの奥村幹夫社長は、国内市場の縮小を見据えて拡大してきた海外事業が一定の規模になったことから、国内外の損害保険事業を融合し、資源の最適配分を行っていく方針を示した。今後は、大型買収せずとも、チームを取り込むような形で1、2年で数百億円単位で収入保険料の上積みを行っていけるという。一方で、注力している介護事業は将来の海外展開を見据える。ロイターとのインタビューで語った。
<海外事業、オーガニックでの成長可能>
同社は人口減少の日本で事業が縮小する前に、成長する海外市場で一定の事業規模を獲得すると同時に、多様な人材獲得のため、2017年にエンデュランス社を約6800億円で買収するなど、海外事業を急ピッチで拡大してきた。足元で、海外損保事業が国内損保事業とほぼ同程度の規模になったことから、今後は、国内外の損保事業の融合を図る。
奥村社長は「損保事業として1つに考えて事業戦略を進めていけるようなサイズにようやくなってきた。使えるバランスシートが1つで、使える資本がこれぐらいで、国内外どちらでも成長するところ、もしくはリスクリターンが高いところに、経営資源を積極的に振っていくことができる」と話す。
国内外を1つで運営すると顧客にもメリットが生まれる。サイバーリスクなど国境を問わない新しいリスクへの対応やグローバルに事業を展開する企業への統一したサービスの提供がより可能になる。
今後の海外事業の成長については「ここまで来ると、それほど慌ててインオーガニック(他社との提携や買収などを通じた成長)でやらなくても、オーガニックで、例えばあるチームを10人採用、50人採用と進めても、1、2年待つと数百億円単位では(収入保険料が)増えていく」。海外は労働流動性が高く、人の移動に顧客やビジネスが付いてくることも多いという。
<介護人材不足に危機感、デジタル化加速>
一方、国内では介護事業に力を入れている。奥村社長は「品質の高い介護事業を作っていくことが必要だし、それが実現できた暁には、そのモデルを海外に持っていく。今後10年スパンで見ると、そういうこともやっていかなければいけない」という。
同社の介護・シニア事業を担うSOMPOケアは、22年3月期の売上高が1361億円で業界2位。
厚生労働省によると、2040年には69万人の介護人材が不足する。ただ、奥村社長は、人材不足はもっと深刻ではないかと指摘する。69万人不足の推計は、介護人材が211万人で横ばいだとした数字。生産年齢人口の減少と併せて減るだけでさらに介護人材が不足するため、労働環境などにも影響されると、簡単に100万人規模の不足に陥る。
現在、利用者3人に1人の介護職員の配置が必要となっており、100万人不足すれば単純計算で300万人がケアを受けられなくなる可能性がある。「見たくない現実を国も我々も、高齢者も家族も直視することからスタートしないと、一部の人しかケアが受けられなくなる。この社会的課題の解決を経済的価値を犠牲にしない形でやっていかないと、日本が、社会が沈んで行ってしまう」という強い危機感がある。
同社はNDソフトを子会社するなどし、介護のデジタル化を進めているが、まだ不足するピースを補うためにも「日本以外も含めてどんどんやっていく」と意気込む。テクノロジーで1対3を1対4、1対5にできれば介護事業者の負担軽減や処遇の改善につながり、生産性向上も実現できる。高齢化は日本が課題先進国となっており、早急にビジネスモデルを確立したい考えだ。
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