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概要:返品を処理するコストの高騰は、あらゆるEコマースビジネスの悩みの種になっています。Amazonは、自社の商品リストの一部で「返品が多い」というラベルの運用を新たに開始しました。
Image via Amazon
Amazonは、自社の返品プログラムを一掃したいと考えている。
ジ・インフォメーション(The Information)が最初に報じたように、Amazonは自社の商品リストの一部で「返品が多い」というラベルの運用を新たに開始した。ジ・インフォメーションのレポートによれば、このラベルが付けられた商品はレコードプレイヤーと、女性向けサマードレスの2つだ。米モダンリテールは、AmazonのMerch on Demandプログラムを通じて販売されたディズニー(Disney)のタンクトップにも、このラベルが貼られている例を発見した。
何年にもわたり、Amazonのフレンドリーな返品ポリシーは、迅速な配達と並んで、顧客にとって最大のセールスポイントのひとつとなっている。顧客は通常、Amazonで購入したアイテムを配達日から30日以内であれば返品できる。返品内容に応じて、出品者は要求を解決したり、返金を行ったりすることができる。しかし現在、返品を処理するコストの高騰が、あらゆるeコマースビジネスの悩みの種になっていることから、Amazonは顧客が何かを買う前に、返品を削減する方法をテストしている。
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多すぎるラベル
Amazonの最新機能について、代理店の経営者やアナリストは、さまざまな見解を示している。この機能は返品の数を減らすのに役立つかもしれないが、すでに商品ページに示されているさまざまな情報やラベルに圧倒されている買い物客を、さらに混乱させることになるかもしれないというのが、これらの関係者の意見だ。
米モダンリテールは、Amazonがこの新しい「返品が多い」ラベルを開始するに至った理由について、同社にコメントを求めたが、記事の締め切りまでに回答は得られなかった。
全体として、返品は、特定カテゴリーのAmazon出品者にとって、大きな問題だ。NRF(全米小売業協会)のレポートによれば、昨年の米国でのオンライン販売の小売返品総額は2128億ドル(約28兆5000億円)に達した。オンラインの返品は、Amazonのマーケットプレイスで販売しているサードパーティーのアパレルブランドに大きな打撃を与えているようだ。なぜなら、以前に米モダンリテールが報じたように、このカテゴリーは一般的に返品率が高いためだ。たとえばアパレルブランドのエビー(Eby)は、Amazonでの返品率が15%から18%にのぼると、以前米モダンリテールに語った。Amazonは2021年、ファッションカテゴリーの出品者に対して、返品無料を販売の必須条件とした。エンビジョンホライズンズ(Envision Horizons)のデータでは、Amazonで販売されているアパレル商品のなかには、返品率が約40%にものぼるものもあるという。
マーケットプレイスパルス(Marketplace Pulse)のCEOを務めるジョーザス・カジウケナス氏は、米モダンリテールに次のように述べている。「ラベルについての総合的な問題は、Amazonが多くの異なる用途に対応し、多くのラベルを使用していることだと思う。Amazonが商品に付加しているベストセラーのバッジや、そのほかすべてのバッジを確認するのは大変な負担だ。それに加えて、今度は返品率が高いことを示すこの注意書きまで加わっても、多くの顧客は注目もしないだろう」。
返品を避ける試み
これは、返品を減らすためにAmazonが近年行ってきた多くの変更のうちのひとつにすぎない。同社は2017年から、招待制でプライム(Prime)会員を対象に、女性、男性、子ども、乳幼児の衣服、靴、アクセサリーにわたる「購入する前に試用(Try Before You Buy)」プログラムのベータテストも行ってきた。同社のファッション(Fashion)チームは、それ以来、このプログラムをより多くのプライム顧客に拡大してきたと、2018年にテッククランチ(TechCrunch)は報じた。
「私はこのラベルに問題があるとは思わない」と、粉末スーパーフードブランドのアップリフトフローラ(Uplift Florae)の創設者で、収益加速代理店のクランチグロース(Crunchgrowth)のCEOを務めるフィル・マシエロ氏は述べる。しかし同氏は、返品率が極端に高い場合、Amazonは単にその出品者をプラットフォームから完全に排除するべきかもしれないとも考えている。
しかし、誰もが賛同しているわけではない。
代理店エンビジョンホライズンズ(Envision Horizons)の創設者でCEOを務めるローラ・マイヤー氏は、「実行が正しく行われる限り、それは、マーケットプレイスのクリーンアップに向けた正しい方向のステップとなり得る。Amazonのエコシステムにとって非常に良いことだと思う」と述べる。「私がこれを気に入っているほかの理由として、特に消費者の立場から、レビューの操作に対抗する新しい方法だと感じたからだ」と、同氏は付け加えている。
最先端の返品ポリシーを掲げてきたAmazon
「私にとって不明なのは、Amazonが、返品率の高いと判断するための指標は何なのかということだ」と、同氏は述べる。
マシエロ氏は、顧客の立場から、「これはたしかに利益がある。もし、アイテムが返品され続けるなら、誰もが損失をこうむり、顧客やAmazonも損失を受けるからだ」と述べている。
カジウケナス氏は、Amazonの現在の返品ポリシーは、業界で最先端のものだと称賛する。「Amazonは、出品者から販売された商品や、倉庫から出品者によって配送された商品も含めて、無条件の返品ポリシーを取り入れた最初の業者だ」。
消費者について同氏は、「Amazonで商品を返品するのは、昔から簡単なことだった。商品の種類によっては、即座に返金が行われ、返却が期待さえされない」と述べている。
ラベルは永続的なものか
このラベルは現在のところ、Amazonのマーケットプレイスでいくつかの商品にのみ使用されており、カジウケナス氏はこのラベルが永続的なものではないだろうと述べている。「このラベルがAmazonで恒久的に使用されることは想像できない。このような返品率が高い商品は誰にも販売すべきではないからだ」と、同氏はさらに付け加えている。
マイヤー氏は、今後このラベルが、「それぞれのカテゴリーについて、フラグ付けされる基準は何なのか、そしてフラグ付けされたあとでどうすれば解除されるのか」ということに関して、今後、不満を引き起こす可能性があると警告する。
総評として、カジウケナス氏は次のように付け加えている。「時代が変化し、経済環境が小売業者やオンライン小売業者に厳しくなった現在、多くの業者は無料返品や無料配送を変えたがっている」。
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